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第24話 感傷急襲

 帰りの電車の中で、巴はあまり喋らなかった。皇には悪いなと思いながらも、頭の中を整理したかった。思考回路はショート寸前で、いろいろと思うところはあるのだが……。そして巴は気付く。一連の局面を複雑化させているのは、自身の疑念が入り込んでいるからなのでは……と。


 ——憶測を混ぜず、事実だけを話そう。そう巴は決めた。まずはそこから。自分なりの考えがあっても、いたずらにそこへ誘導することになれば、真実から遠ざかってしまうリスクも孕む。主観に触れるのは最後の最後でいい。


 車窓からは郊外の街並みが見える。それらは瞬く間に通り過ぎていく。過去から未来へと進むように。レールの上を走る列車は逆行など許されず、決められた経路を辿っている。それは自動的で正しくて、何の問題もなくて——だからこそ、空虚に感じてしまう。

(完全な言いがかりだなあ——)

 柄にもなく感傷に浸りながら、巴は流れる景色を見ていた。


 皇は静かに巴に合わせてくれていた。会話がなくて居心地がよくないだろうに優しい。巴はその優しさを利用している。かわいく言えば、優しさに甘えている。……なんか、できた彼氏かもしれない。巴は皇についてそう思い始めている。まだお試しスタートから丸2日に満たないが、皇への好意は多少なりとも強まっている。少なくとも、先輩後輩の関係からは前進しているといえるだろう。

(まあ、まだ先輩って呼ばれてるけどね……)

 付き合ったのだから名前で呼んでくれてもいいのだけれど、自分から言うのは恥ずかしい。

(それに……すぐ別れるかもしれないし)

 自分で言うのもなんだけど、美人は3日で飽きるという。まだ巴は皇に飽きられる可能性が少なからずあると思っている。そして、それに不安を感じている。

(でも——)


 ——先輩は見た目だけじゃないですよ。


 その言葉に。

(確かに、私は救われた——)


 巴は一緒に電車を降りた彼氏(仮)の顔を見る。微笑みかけると、少し照れたように頬を緩めていた。

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