シーモア様でコミカライズが配信記念SS「王子の運命が変わる日」③
―ミーサ視点―
「殿下。今日は助けていただいた上に、エスコートまでしていただいてありがとうございます」
私は電化に向かって心の底からの笑顔を向ける。
「ああ、俺も楽しかったよ」
今日は、彼のあらゆる行為を褒めちぎった。彼は比較的に厳しくしつけられているからだろう。こういうおべっかに弱い。どうやら、私のことを純情で優しい女に思ってくれたようだ。
「でも、よろしいのですか。殿下には婚約者様がいらっしゃるとお聞きしましたが」
それを聞いて少しだけ戸惑う様子を見せる彼の様子を見て、これはチャンスだと理解する。
「いえ、何も言わないでください。今日は、私にとって夢のような日だったのです。まるでおとぎ話の主人公になれたみたいに。だから、この思い出は宝物として、殿下と私のふたりだけの宝物にすればいいのですよね。私は一生の思い出になりました。殿下、本当にありがとうございます」
自分でも歯の浮くような言葉だとわかっているが、殿下にはとても効果的だった。
私は名残惜し気に、一度だけ振り返り、手を振りながら殿下と別れる。
これで、彼の中には、私のことが美化されて刻まれるだろう。計画はここからだ。
陛下と完全に別れた後で、私は待ち合わせの酒場に向かう。
そして、雇っていたチンピラたちに金貨を渡しながら微笑んだ。
「あんたたち、最高の演技だったわよ」と。




