第三十八話 死刑囚として収監されました
僕はゼルバン大将軍に案内されて、罪人の収容施設に到着した。
そして門を守る衛兵に引き渡されました。
「この方は、丁重に扱ってくれ、頼んだぞ」
ゼルバン様がわざわざ頼んでくれました。
「はい、分りました」
衛兵はにこりと微笑み僕の手をつかみました。
そして門をくぐった。
門が閉じて、ゼルバン様から姿が見えなくなると、衛兵は僕のお尻を蹴り飛ばした。
僕はマリーの魔法でひ弱になっている為、転んでしまう。
「ここでは、丁重に扱えと言うのは、こういうことなのよ、くふふ」
衛兵は僕を見下ろしながら、笑っています。
やれやれ、楽しくなりそうです。
そして、牢の前で牢番に僕の身柄が引き渡されました。
「ふふふ、こいつが、カドモス様に逆らった馬鹿です。丁重にもてなして下さい」
「ひひひ、分りました」
牢番は、体の大きな筋肉の発達した女だった。
「トロトロ歩いているんじゃ無いよ」
ドカア、ドスン
僕は牢番にお尻を蹴られ、転んだ所をさらに脇腹まで蹴り飛ばされた。
うん、肋骨が折れましたね。
まあ、たいして痛くはありませんけど。
そして、長い階段を降りて、地下の広い牢に放り込まれました。
光が差し込まない地下牢は、ロウソク二本ではとても暗くて僕には快適です。
「ここは、死罪が確定している罪人が入るところさ、カドモス様に逆らえば皆、こうなるのさ。あと何日生きていられるのかねえ。恐怖に震えながら過ごしな! ひひひ」
暗くて広い牢の中に、一人だけ人の気配がします。
奥で、体を小刻みに震わしながら、横になっています。
「あの、大丈夫ですか」
「……」
「心配しないで下さい、僕も近いうちに死刑になる罪人です」
ゆっくり顔をこちらに向けました。
「まあ、綺麗な方……」
弱々しい声を出すと、にこりと笑った。
頬がこけ、やつれてはいますが、すごい美女です。
んーー、ここって女性用の牢獄じゃないのかなー。
今頃になって気が付いた。
「ちょっと、失礼します」
額に手を当てると、すごい熱です。
「だ、大丈夫ですか」
「わ、わかりません、でも、もうどうでもいいのです。うっ」
泣き出してしまった。
どうしようかなー。困った。
「あの、私、ンデラと言います」
少し泣いた後、名前を言いました。
変わった名前です。
「あ、僕は、ノコです」
「ぷーー、ご、ごめんなさい、変わった名前だったものですから」
まあ、お互い様です。僕は全然怒っていません。
「ノコさんは、何をしてここへ入れられたのですか」
「ふふふ、カドモスという貴族に逆らいました」
「そうですか……」
「ンデラさんは何をしたのですか」
「わかりません」
「えっ」
「わからないのです。何故こんなことになったのか」
「無実の罪ですか、誰かにそれは言ったのですか」
「いいえ、いいえ。誰も何も聞いてくれません。伝える機会もありません。うっうっ」
どうやら、えん罪でしかも、何の罪かも分らないようです。
「おーーい、囚人共、めしだぞーー」
さっきの牢番が食事を運んで来たようです。
さて、どんなご馳走でしょうか。
ンデラさんが立とうとしたので、
「そのまま、横になっていて下さい。僕がもらってきます」
そう言って、僕は牢番のところへ歩いて行きました。
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