第三十九話 耐えられない夕食
牢番が顔をそむけながら、汚い物を持つようにつまんで、僕に碗を差し出した。
僕が受け取ろうとすると、その碗を一度引き戻す。
そして、口からねっとりとした唾を碗の中に垂らした。
ご丁寧に二つの碗にたっぷり垂らすと、嫌な笑顔を浮かべると僕に碗を渡した。
「おい、礼も言えないのかい」
「ありがとうございます」
僕は、満面の笑顔でぺこりと頭を下げた。
牢番は満足したのかゆっくり階段を上っていった。
うふふ、嫌がらせのつもりかもしれないけど、人によってはご褒美ですよ。
僕は、改めて右手の碗の中をのぞいた。
丸い里芋のような物と、大きめの芋虫のような物、そして蛙だね。
これは絶対蛙だ。
そして左手の碗を見て驚いた。
誰かが、こっちを見ているからだ。
良く見たら、目玉だった。右手の碗の中の目玉は裏側で里芋に見えたのだ。なんの目玉なのだろう。
具も最悪だけど、汁も最悪だった、茶色の汁は腐った生ゴミの臭いがした。
ンデラさんは、こ、こんな物を食べるのか……。たべられるのか?
「どうぞ」
どうせ僕は食べる必要も無いので、ンデラさんに両方を差し出した。
「あのー」
ンデラさんは、どちらを取っていいのか困っているようだ。
「お好きな方をどうぞ」
「あ、はい。ありがとうございます」
ンデラさんは喉が渇いているのか、碗に口を付けて汁を飲もうとした。
ウゲーーッ
ンデラさんが、えずいている。
目から大量の涙を流していた。
それでもまだ食べようとしている。
美女にこんなもん食べさせてはいけませんよね。
「あっ」
僕はよろけた振りをして、ンデラさんの碗を手から払いのけた。
僕の碗も床に落とした。
「すみません」
「いいえ、気にしないで下さい」
ンデラさんはとてもいい人です。
泣きそうな顔をしながら、口だけは笑顔にしてくれています。
「そんな、わけにはいきません。ローズ来てください」
僕はローズを呼んだ。本当は声を出さなくても呼びだせるけど、突然人が出てくると驚くと思って声に出した。
「ノコ様お呼びですか?」
「きゃっ」
突然ローズが現れて、結局、ンデラさんは少し驚いた。
そして三人の目が点になった。
ローズは僕と二人きりになれると思って喜んで来てみたら、知らない女性がいて目が点になっている。
ンデラさんは突然何も無いところに人が出て来て目が点になっている。
僕はローズが何を考えているのか、下着姿で現れて目が点になっている。
スッポンポンでなくてよかった。
「ローズさん、取りあえず服を着て下さい」
「あのー、何のご用ですか」
少しふてくされて、ほっぺたを膨らませて、服を着ている。
「僕のミスで、大事な夕食をこぼしてしまったんだ。ンデラさんにお詫びがしたいんだ」
「そうですか。ンデラさん、私の主人が申し訳ないことを致しました」
そう言いながら、ローズはンデラさんを品定めするようにジロジロ見ている。
うん、ローズさんすごく失礼ですからね。
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