第三十七話 逮捕
扉を乱暴に叩く音がした。
「はい、はい」
僕が扉を開けると、兵士とカドモスの襲撃隊の隊長の姿があった。
「こ、こいつです」
隊長が僕を指さし兵士に伝えた。
兵士は僕を後ろ手にして拘束し外に連れ出した。
「さっさと来い!!」
乱暴に外に連れ出されると驚いた。
家の門の外に何千人もの兵士の姿があった。
「ひゃーはっはっはー、これがカドモス様の力だ」
襲撃隊の隊長が勝ち誇った様に笑い出した。
だが、門の外にはゼルバン大将軍の姿も、ホベルトさんの姿もあった。
「貴様―!!」
ゼルバン大将軍が怒った。
兵士と襲撃隊の隊長は勝ち誇った様に、僕の顔をにらみ付けた。
「誰が拘束しろと言ったー、私は丁重にお連れしろと言ったんだー、ばか者め!」
怒られたのが自分たちだと気づいたのか、兵士と襲撃隊の隊長が驚いた顔をしている。
ゼルバン大将軍は、騎馬から降りてうやうやしく頭を下げた。
「ふふふ、カドモス商会から被害届が出ておりましてな、まあ、カドモス商会に喧嘩を売るような人物は、ノコ様しか思い当たりませんので、私が出向いてきました」
「そうですか、お手数おかけしました」
「ところで、兵士三千人で来ていますが、この程度だと何分持ちますかな?」
「ふふふ、ローズでも、ユーリさんでも、アクエラさんでも、十秒はかからないでしょうね……殺すだけなら……」
「ふふふ、でしょうな」
「はははは」
僕とゼルバン大将軍は声を合わせて笑った。
「では、ノコ様失礼いたします」
「待って下さい。手ぶらで帰しては、ゼルバン大将軍の名に傷がつきます。僕を連行して下さい」
「し、しかし……」
「くすくす、誰がカドモスの味方をするのか知りたいですし、連れて行って下さい」
「よろしいのですか。牢獄に入る事になりますよ」
「あっ、その前に教えて下さい。カドモス領まで早馬を飛ばすと何日で行く事が出来ますか」
「二日でしょうな」
「でしたら、領民に避難するように至急早馬を出して下さい。アクエラさん、デルイドさんを連れて、三日後カドモス領を無条件降伏するまで攻めて下さい」
家から僕の事を心配して全員が出て来ていたので、アクエラさんにお願いしました。
「えーーっ、ぬし様デルイドでありんすか」
アクエラさんが驚いています。
デルイドさんは魔王のゾンビの一人です。
そして僕はデルイドさんに、この戦いでクラスアップしてほしいと思っているのです。
「そうです。一人で戦かわせて、クラスアップまでさせて下さい」
「わかったでありんす」
「ぎゃーーははははー、カドモス様には領兵が四千人いるんだ。そのうち十人はドラゴンの装備を付けている。勝てるわけがねえ!」
襲撃隊の隊長が涙を流して笑っている。
「ノコ様、本気なのですね」
ゼルバン大将軍が心配そうに聞いて来ました。
「はい。最初僕は、カドモスさんに話し合いをお願いしに行きました。でも、暴力によって返事をしてきました。僕と戦うことを選んだようです。だから少しお灸をすえたいと思っています」
「……」
ゼルバン隊長は、唇をギュッと結んだまま黙って僕の顔を見つめている。
「ただ、デルイドさんがやり過ぎる場合があるかもしれません。早めに降伏してくれるとありがたいのですが」
僕は会ったことも無いですが、カドモスが恐怖におののく姿を想像していた。
この時の僕の顔はきっと悪魔のような顔をしていたのでしょう。
心配して家の外に出て来た人達に、笑顔をみせようと振り返ったら、全員の腰が抜けたように膝から崩れ落ちて、へたり込んでしまいました。
「じゃあ、ローズ後は頼んだよ」
座り込んでボーっとしている、ローズに声を掛けて、僕は家を後にした。
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