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落とし穴は続く

 鎧の持ち主が決まってから数時間後。

 鎧を着た女の子改め男の子は、自室の鏡の前でくるくると回りながら鎧を眺めていた。

 鎧が着られたのがよほど嬉しいらしく、男の子は鎧を全く脱ごうとしない。

 自室に戻ってからは、ずっと鎧を見ていた。

 勘弁してくれー…。

 どうして分かったのか口が裂けても言いたくはないが、男だと分かった今、喜一郎は鎧を即刻脱いで欲しかった。

 俺は男に着られる趣味はない。

 まさかこいつが第十王子で、部屋を抜け出して遊び回るために女の姿をしていたとは……。

 王子が鎧を着っぱなしだったため、喜一郎は王子の周りで話される色々なことを聞くことが出来た。

 最初の方で挑戦してきたマッチョどもも王子だったらしいのだが、第十王子はまだ幼かったため、チャレンジさせてもらえなかったそうだ。

 それにしても……。

 まさか俺が男用だったなんて……。

 喜一郎が聞いた中で、今日一番の衝撃的事実は、鎧が男用だったことだった。

 どうりで男しか挑戦しにこないわけだ。

 始めから女に着てもらえる可能性はゼロだったのだ。

 まあ、それを考えれば……。

 喜一郎は鏡の中の鎧を着た王子を見る。

 ドレス姿でも違和感のなかった可愛らしい顔は鎧とは不似合いなものの、笑顔いっぱいの表情はとても癒された。

 もしこの王子を選んでいなければ、再び挑戦者のマッチョ責めが始まっていただろう。

 永遠のマッチョ責めは、考えただけで寒気がした。

 これは最善の選択をしたのではないだろうか。

 喜一郎はマッチョに着られないという幸せを維持すべく、この王子を全力で守ることに決めた。

 しかし、喜一郎の幸せは崩れることになる。

 第一王子から第九王子まで全員爆マッチョ。

 もちろん王様も超マッチョで、前王様も、さらにその前の王様も超絶マッチョ。

 この国のマッチョ遺伝子は、第十王子にもしっかりと受け継がれていた。

 その事実に、喜一郎が気付けるまであと三年。

 絶望のカウントダウンは、まだ始まったばかりである。




end


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