王子様登場
で、誰ですか?この二人
人の事ジロジロ見てちょっと失礼ではないかしら。
「失礼、私はサイファ・レイズモントです。」
「メレディ・バルモティです。」
レイズモント公爵家のご子息ですね。
「手の上に何かあるのですか?」
質問され顔を上げる、後ろのもう一人もこちらを見ている。
「ほら、アーサー君も挨拶して。」
「アーサー・ベレデクトです。」
ベレデクト侯爵家のご子息ですね。
同じように挨拶を返します。
「バルモティ家といえば、あの?殺された令嬢?」
生きてますけど。
「・・・」
「はぁ、何?殺されたって?」
「えっ知らないの?ほら、今噂の美しい子爵令嬢と結婚したくて邪魔な冴えない婚約者を殺したって話。」
「うーん・・・聞いたことあるような?」
生きてます。
「・・・」
冴えない婚約者って、私のことですかね?
公爵子息と侯爵子息は勝手に私を殺された令嬢にして話している。
(失礼だな、この二人)
あっちに行ってくれないかな、心のなかでシッシッと追い払う。
「それで、こんなところで手のひらを見つめて何しているの?」
「王子殿下がもうすぐ来ますよ。」
「・・・」
なぜ?王子様が来るから私も行かなくては行けないの、それにあんなに大勢居るところに入っていく勇気もない。
「どうぞ私のことはお気になさらずに、こちらで兄を待っておりますので。」
丁寧にお辞儀をして、二人がここから離れるのを待った。
奥で令嬢達の歓喜な悲鳴が聞こえてきた。
「来られたようだね、行こうか。」
「?」
レイズモント公爵子息が、笑顔で、手を差し出してきた。
「さぁ、サイファの手をとって、行きましょう。」
ベレデクト侯爵子息は当然の様に言ってくる。
「なぜですか?」
私の言葉に驚いている。
「えっ、私のエスコートを断るの?」
「私のエスコートは兄です、先ほどもお答えしましたが、ここで兄を待っております。」
サイファ様とアーサー様は顔をみあわせている。
(何のこの二人)
「くっ、まだまだだね、サイファ」
「僕の笑顔で、そんな対応する令嬢は余り居ないのに。」
モテ自慢ですか?確かにイケメンですが、兄達には敵いませんから、免疫はついてます。
「メレディ。」
「あっ、お兄さま!」
私の前を塞いでいる二人から助けて欲しくて、両腕を前に出した。
二人が振り返った隙に私を隠すように前に立ってくれた。
「我が妹が何か失礼なことでも致しましたか?」
「いえ、お一人でいらしたので、お話相手にと、思いまして。」
ソイネルの威圧に後ずさる。
「アーサー・ベレデクトです、ソイネル様にお会いできて光栄です。」
「ソイネル・バルモティです、初めてお会いすると思いますが。」
「サイファ・レイズモントです、昨年の剣大会でのご活躍大変素晴らしく、お会いできるのを心待ちにしておりました。」
「ああっ、左様ですか。」
ソイネルお兄さまはご令嬢だけではなくご子息達にも人気なんですね、その剣大会見てみたかったな。
「それで、妹にまだ何かご用でしょうか」
ソイネルお兄さまの腕を握りしめ、帰りたいを猛烈アピールする。
「ん?メレディ?」
(帰りたいです。)
口パクして訴えていると、大勢でこちらに向かって来るのが見えた。
その先頭集団にハイゼルお兄さまがいた。
「ハイゼルお兄さま。」
その場にいる三人が目線の先をみた。
ハイゼルお兄さまが口パクしてる?何か言ってる
「こんな隅に集まってどうしたんだい。」
ソイネルお兄さま、サイファ様、アーサー様が、最上級の挨拶をしたのを見て、あわてて後に続いた。
王子様がソイネルお兄さまに視線を移した。
「ソイネル、久しぶりだね、剣の腕がさらに上がったと聞いているよ、今度相手をして貰おうかな。」
「恐れ多い事にございます。」
この方が王子様ですか。
ゆっくりと視線を二人に移動して、声を掛けていく。
「サイファ、アーサー、二人ともここに居たのか、姿が見えなくて、ご令嬢達が寂しがって居たよ。」
「はっ、御挨拶が遅れて申し訳ございません。」
最後に私に視線を移して、じっと見られているのがわかる、緊張してきた。
「こちらのご令嬢が噂の妹君かな?」
噂のね、王宮にまで噂されてるのですね。
「バルモティ侯爵家が娘、メレディ・バルモティでございます。」
「ゲイリー・ワォールコムだ、兄君達にはいつも世話になっている、二人が離れ難いのもわかるね、とても愛らしい妹君だ」
うわぁ、イケメン慣れしてるとはいっても、格別ですね、流石、ゲイリー第一王子様。
王子様の登場に、ご子息ご令嬢が集まってしまった、ひっそりと隠れていたのに。
元凶はこの二人だ!
サイファ様とアーサー様を軽く睨んだ。
よろしくお願いします。




