新11.受賞の合否はアイデアとプロットで決まる
一次選考を突破する筆力があるなら、問われてくるのはアイデアとプロットです。
長編小説というのは勢いだけで書けるものではありません。方向性を決め、プロットを作る必要があります。
そして、受賞の合否は、文章の巧さではなくこの「アイデア」と「プロット」で大方決着がついていると言っていいと思います。
余談ですが、よくQAサイトで「あらすじを書きました評価してください」というのを見かけたりします。
しかし、読みますとそれは「舞台設定」だったりするんですね。「あらすじ」は舞台設定のことではありません。物語の大まかな流れのことなんです。
応募要領には「あらすじ」を求められることが多いのですが、それは「あらすじ」を読めば全体がわかるからです。
逆に言えば、全体が掴めないようなものは、「あらすじ」として書かれていないということです。
話しを戻します。
「プロット」を作る中で重要になっていくのが、「冒頭」「盛り上がり」「斬新さ」などです。
「など」と表記しましたのは、私自身はラノベ作家ではないので、断定できないからですが、私なりに意識していることを書かせて戴きます。
例えば、学園ラブコメの小説を書こうと思ったとします。
主人公が朝起きるところから学校に到着するまで順番に全部書く、というのは意味がない事ですよね。
文章が書き手の伝えたい事を伝えるための手段である以上、そこには必ず“伝えたいこと”という目的があるはずなんです。
逆に言いますと、その目的が曖昧なものは、書く必要がありません。
「朝目覚めるシーン」を書くということは、作者としては伝えたい意図があるはずで、それが伝わるよう書く必要があります。
もちろん、効果的に伝えるために必要な5W1Hを取捨選択し、きちんと順番に書くことは基本的な技術になります。
今度は異世界喚ものを書こうと思ったとします。
世界観や設定を冒頭に持っていく関係で、登場人物の動き出しが遅くなる方がいます。
そうなると小説で「魅せる」べきものが、読者になかなか届かないわけです。読者からしたら面白くない。
また、後半で盛り上がるべきところで、序盤のスローが響いて盛り上がらない・深みが無いなんてパターンもあります。
これらはプロットミスなんです。
プロットと言いますのは「世界観」「登場人物の特長・性格など」「物語の目的」「始まり方」「終わり方」だけを指しているわけではありません。
上記を練りましたら次に「あらすじ」を考えます。そして、第1章はどういう流れにするのか、第2章はどうするのか。全体の流れを練ります。
この組み立てに失敗しますと、冒頭でしなくていい説明を冒頭でしてしまって間延びする作品になったり、物語が浅くなったりします。
小説で「文章はどうですか?」と気にされる方がいますが、その段階は最初のステップになります。
次のステップが、小説の縦軸です。
テーマが分かり難くなっていないか(余計な話を詰め込むと分かり難くなります)?
キャラクターの性格がブレていないか(斬新さと有り得ない展開は違います)?
物語は最高潮に向かって進んでいるか?
これら縦軸が問題になるのが次のステップです。
最後に、皆さんが書かれている小説で、「このアイデアなら売れるぞ」と思うものがあったなら、私は削除を勧めます。
受賞において一番重要なのは「斬新なアイデア」と「それを形に出来るプロット」で、筆力は最低限あればいいです。
そのことを考えます、あなたのそのネタを使ってデビューする方がいても不思議ではないという事なんですね。
文章を写せば盗作です。舞台設定・登場人物など類似点が多くても盗作でしょう。
しかし、アイデアだけを盗んでも「盗作」にはなりません。
そのことを考えると、斬新な作品の投稿は、自身の首を絞めることになるかもしれないと思うのです。




