苦しいことも上書きして
あれから一週間。どうすればえるに好かれるかを考える日々が続いていた。だけどここ数日は頭が回らない。ぼーっとすることが増えてえるにも心配されてしまった。なんでもないフリをして大丈夫って伝えたけど次の日にはベッドから起き上がれなくなっていた。あぁ……体重い。頭も痛いしなにも考えられない。……早くえるに好かれる方法考えなきゃいけないのに。………える……会いたい…………。
たくさん、たくさん考えていたら熱が出た。学校を休まないといけなくなり、えると過ごせる時間が減ってしまった。
いつもならこの時間はえると登校してるはずなのに……なんで………。そう考えるだけで、余計に具合が悪くなる。それでも今は沢山眠らないと。えるが会いに来てくれるから。朝に来たメッセージとえるの顔を思い浮かべながら目を閉じる。
『さとみくん。今日学校が終わったら家に行ってもいい?』
その言葉への返事はただ一つ。
『待ってる』
それだけだった。それ以外ありえない。
小さい頃、熱を出したあの日。誰にも心配されず、一人部屋で過ごしたあの時間。えるに会えない苦しさと寂しさで心臓が押しつぶされそうだった。そんな記憶も今はもう無い。えるが全部消してくれた。上書きされて熱が出たことさえも嬉しいと感じる。そばに居てほしいと願ったら、えるがいてくれるから。えるはいつだってオレに幸せをくれる。
あぁ─────早く時間が過ぎてほしい。
次に目を開けた時には一日の半分が過ぎていた。まだえるが来るまで時間がある。そう思いながら、スマホを手に取った。最初に目に入ったのはえるからのメッセージ通知。急いで開いて確認する。
『具合はどう?少しでもいいから何か食べてね。ちゃんと水と薬も飲むんだよ。また後でね。さとみくん』
えるがオレを心配してる。こんなに心地のいい心配はきっともうないだろう。返事を送って再び目を閉じる。次に目を開けた時はきっと、えるがいてくれるから。




