14話 レベルアップ!
メキメキと引き裂かれる音がした。
(なにぃ!?)
大きな木が俺に向けて倒れてきた。
真っ直ぐ全力疾走していた俺は回避動作が一瞬遅れた。
「め゛ええええええ!!!!」
全身を貫く衝撃! 倒れてきた木に押しつぶされ俺は身動きが取れなくなった。
「グゥオオオオオオオオオオオオ!!」
(もう一匹……番だったのか!)
木を倒したのはもう一匹のホークベア。
種族 ホークベア
タイプ 魔獣
レベル モンスター レベル25
筋力 卓越
敏捷 普通
耐久 卓越
知力 皆無
精神 普通
魅力 普通
スキル 攻撃レベル5、 隠密レベル10(+5)
アビリティ 暗視、嗅覚、武器(爪)、武器(牙)、鋼の肉体、スキルフォーカス:隠密、先制攻撃
知覚の代わりに隠密スキルが高い。片方が追跡、片方が奇襲という風に役割分担しているのか。
ズンと二匹のホークベアが近づいてくるのを感じる。
やばい、やばい、やばい!
必死にもがくが俺の身体の何倍もの太さのある木はびくともしない。
「めええええ!!!!」
油断した! 自分の嗅覚を信頼しすぎた!
相手はおれよりレベルが高いんだ、俺より上手に隠れられる可能性は考慮すべきだった!
(うおおおお動け動け!)
必死にもがくが、異世界転生したといっても俺は勇者ではなくヤギだ。肉食動物に捕食されようとしている群れなす草食動物に奇跡は起こらない……。
「ヤギさん!!」
次の瞬間、俺の視界がすべてが輪郭しかない奇妙な影の世界へと変わった。
「めぇ!?」
瞬きすると、今度は浮遊感。慌てて目の前にあった枝にしがみつく。
(ここは……)
「ヤギさん! ヤギさん!」
(ナタリー)
気が付くと俺は木の上にいたナタリーの直ぐ側に移動していた。
下を見ると、ホークベア達が不思議そうに倒れた木を動かし俺を探している。
「良かった無事で、ああこんなボロボロになって」
(ナタリーが俺をテレポートさせたのか?)
「テレポート? えっと、分からない。ただヤギさんが木に押しつぶされたのを見たら全身が痛くなって、ヤギさんが死んじゃうのは絶対に嫌だッて思ったら」
(気が付くと俺がここにいたと)
「うん、ごめん、勝手なことして」
(いや助かったよ、ありがとうナタリー)
ホークベアの一体がこちらを振り向いた。
(ふぅ、あとは同じこと繰り返すだけだ)
片方はもうすぐ倒れる。あたらしく現れた方も戦力は一緒だ。
(よし、もうひと踏ん張りだ)
俺は枝から駆け下りるように下っていった。
その後、俺は時間はかかったが順調にホークベアを倒すことが出来た。
二体目のホークベアをようやく倒した時だった。
『レベルアップ、レベルが16に上昇しました』
うぉびくりした!
俺は何が起きたのかあたりを見渡そうとするが身体がピクリとも動かない。
(なんだこれ?)
身体が動かないが、同時に周囲も時間が止まったように静止していた。
んん!?
一体何がどうなって……。
『上昇する項目を選んでください。
1.スキル:攻撃
2.抵抗値』
よ、よく分からないけどいきなりレベルアップする項目を選べることになったぞ?
えっと、まずは用語の意味を。
スキル:攻撃:命中率、攻撃回数に影響する。
抵抗値:特殊攻撃に対する基本低効確率に影響する。
ふーむ。特殊攻撃とは?
特殊攻撃:範囲攻撃、毒、呪いなど。
防御力とは違うステータスらしい。
でもなんで急にレベルアップを自分で選べるように?
考えてもわからないから、とりあえず進めてみよう。
迷ったが、今回は抵抗値を上げる。
『抵抗値が0.5上昇しました』
おいこら、1点すら上昇しないのか。しょぼい。
『HPが上昇しました』
『レベルアップ、レベルが17に上昇しました』
おお? さらにレベルアップか。
レベルアップは1レベルごとに選択か。
『スキルを1点取得できます』
おお? これまでは経験からスキルを習得していたのが、自由に選べるようになったのか?
頭のなかにズラリと技能が並ぶ。よしよし。
さてどうするか。
ぱっと見で良さそうなのは。
鑑定:物品の価値を評価できる。
解除:鍵、罠、その他機械、魔法の仕掛けなどを解除できる。
言いくるめ:嘘が見抜かれなくなる。
……ヤギでここらへんのスキル取っても仕方がない。
知識(ダンジョン):ダンジョンに関する知識やモンスターに対するステータスオープンの成功率と開示スピードが上昇する。
知覚:五感が鋭くなる。
得意分野を伸ばすのがいいのだろうか。
並んだスキルを見ながら悩んでいると、ふと思い出す。
そういや、よく分からないスキルがあったな。
記憶:記憶があがる
この説明って正直役に立っていないんじゃないだろうか。
……記憶ねぇ。
まあここは素直に知識を上げておこう。
『知識(ダンジョン)が1点あがった。』
『アビリティを一つ習得できます』
なに? アビリティも自由に選べたのか?
次の瞬間、恐ろしいほど大量の情報が頭に溢れ、思わず悲鳴を上げた。
何百、何千というアビリティが頭のなかをぐるぐると渦巻いている。
うぐぐ、じっくり吟味したいところだけどこのままじゃ発狂してしまいそうだ。
血脈の覚醒:1日に2回、筋力と耐久にボーナスを与え血脈の種類に応じたアビリティを得る。
前提条件、『血脈』
俺の血脈の発露でも前提条件は満たせるらしく、選択できるようだ。
『血脈の覚醒を習得しました』
『HPが上昇しました』
ふっとめまいがしたかと思うと、俺は動けるようになり周囲の時間が動き出していた。
「めぇぇぇ」
頭を振りながら、俺はため息をついた。やれやれ。
さて、俺のステータスはどうなっているのか。
名前 ヤギさん
種族 ヤギ
タイプ アンデッド
レベル アニマルコンパニオン レベル17
筋力 優秀
敏捷 優秀
耐久 --
知力 劣等
精神 普通
魅力 普通
スキル 攻撃レベル3、知覚レベル2、跳躍レベル3、知識レベル2(+2)、記憶レベル4
アビリティ 大いなる彼方の記憶、武器強化(角)、突撃強化、暗視、嗅覚、スキルフォーカス:知識、主人との絆、呪文共有、アンデッドの耐性、血脈の発露、危険回避、突き飛ばし(初級)、能力上昇、血脈の覚醒




