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そのご

初めて書いた戦闘シーン。ちとテンポ悪くなってしまった・・・。

翌日。

旅で疲れていたセレとニクスは睡眠を貪り続け、なかなか起きてこないことに痺れを切らしたギオデンに叩き起こされた。

ニクスの身支度が整った後ギオデンが持ってきてくれた朝食(支給らしい)を渡す。

ギオデンは何か用意するものがあるらしくセレに朝食を渡すと行ってしまった。


今朝のメニューは黒パン一片と肉が一切れ。

ニクスはその朝食を見ると不満そうに顔を微かにしかめた。ニクスは朝食をしっかりとる主義なのだ。

不満を口に出さないのはレジスタンスの現状を知っているからだ。それを見たセレは自分のパンを千切りニクスの皿の上にのせた。


「え、ちょっとセレ……」


「不満そうな顔しといて遠慮しないの。 俺が食わなくても平気なのは知ってるでしょ?」


「う……あ、ありがと」


「ん」


「そ、それとね」


「ん?」


「もうちょっと……」


恥ずかしそうに、だがしっかりと視線の先に残りのセレのパンを捉えながらニクスは言った。

どうやらまだ足りないらしい。

色々めんどくさくなったセレは残りのパンを丸ごとニクスに放った。


「太ってしまえ」


少々の嫌みを添えて。


「お、乙女に向かってなんてこと言うのよ!」


ニクスは顔を真っ赤にしながらセレの頬をギリギリとつねる。


「でも俺としてはもう少しくらい肉がついてたほうが健康的て良いかと……」


「それとこれとは話が別なの!」


「なにやってんだお前ら」


「あ、ギオデンさん」


セレとニクスがじゃれていると呆れた様子のギオデンが部屋の前に立っていた。

その手にはいくつかの武器を抱えている。


それを見たセレは一切れの肉だけが残った自分の皿を置くとギオデンに駆け寄った。

ニクスも同じように皿を置いてからセレに続く。


「ほら、武器の支給だ」


「弓は?」


「あるぞ、ほれ」


渡された弓は戦闘用らしく今までセレが使っていた狩猟用の弓と違い頑丈な木が使われていて弦の張りも強い。

また全長も60センチほどなので取り回しも良さそうだ。


「うん、良い感じ」


「気に入ったならなによりだ。 だがすまねえ、剣は品切れだ」


レジスタンスの兵士への武器の支給率はそこまで良くはない。

武器どころか食料の補給すらままならないのだ。むしろ使える武器が余っていた事自体が幸運だったのだ。


「代わりと言うわけじゃねえがこれを持ってな」


そう言うとギオデンはナイフを一本ずつ二人に渡した。

刃渡り20センチほどのダガーに似た形をした刺突用のナイフだ。


「護身用に持っとけ。 懐に入られた時に役に立つだろ」


「役に立たないことを願うわ」


ナイフを手のなかでくるくると回しながらニクスが呟いた。


「それとニクスにこれだ」


次にギオデンが取り出したのは杖だった。

長さは1メートルほど。先端には魔石と呼ばれる魔力を増幅させる力を持つ石があしらわれている。


「この杖は?」


「昔オルンが使っていた物だ」


「パパが?」


ニクスは杖をそっと撫でた。まるでかつての持ち主のぬくもりを感じるかのように。


「あいつの遺品で俺が唯一確保できたもんだ。 娘であるお前に渡すべきだと思ってな」


「うん。 ありがとう、ギオデンおじさん」


「渡すもんはそれで最後だ。

 それとこの後作戦の説明があるからとっとと飯食え。 広間へ行くぞ」


セレとニクスは食事に取り掛かった。

ニクスがパンを頬張っている横で干し肉をかじっていたセレはその肉がここへの道中で狩って食べた肉より柔らかいことに気づいた。


「ギオデンさん、この肉ってなんの肉?

 干し肉なのにオゾムの肉より随分柔らかいけど」


「そりゃあただの獣肉だからな。 魔獣の肉よりは柔らかいだろ」


「魔獣?」


聞いたことがない単語にセレは眉を潜めた。


「なんだ知らねえのか? 簡単に言えば魔獣ってのは魔力を大量に取り込んだ獣のことを言う。 その辺は嬢ちゃんに教わってねえのか?」


「一般常識中心に教えたから生態系とかは教えてないのよ」


ギオデンは仕方ねえな、と呟くとセレに説明をし始めた。


魔獣とは何らかの原因により大量の魔力を取り込んだ獣の総称である。

魔獣は普通の獣に比べ遥かに優れた肉体を持っており種類によっては魔物並みの脅威となる。

鹿や兎が魔獣となった『オゾム』や『ラビ』は精々足が速くなった程度だが熊や猪が魔獣となった『バハラタル』『ブハル』に至っては数人がかりでないとまず倒せないといわれていた。

ニクスの家の近くの森は空気中にある魔力が溜まり易い場所なのでそこで産まれる獣達は生まれながらにして魔獣であることが多い。

また、運動能力が高いゆえに身が絞まっておいしいのではと思われがちだが実際には肉は魔力によって常に強化されているようなものなのでやたら硬く食べづらいのだ。


「なるほど」


ギオデンによる説明が終わった後セレは納得し何度も頷いた。

説明が終わる頃にはニクスも食事を終えており身支度の仕上げをするだけとなっていた。


セレも先ほど貰ったばかりのナイフを腰のベルトに装着した。続いて矢筒を斜めになるように背負いその上にマントを羽織る。

そうすることによりちょうど矢筒の先がマントから出る形となり矢を取り出す際に邪魔にならない。

最後に弓を矢筒と同じように斜めに背負えば準備は終了だ。


ニクスもナイフを腰紐に括りつけてからマントを羽織った。杖は長いためか手に持っている。


「用意は済んだな。 行くぞ」


二人の準備が終わったことを確認するとギオデンは部屋を出た。

セレとニクスも後に続いた。




アジトの大広間にはすでに数人の男女がいた。

仲間と談笑しているものもいれば壁に寄りかかって目を閉じているものもいる。

ギオデンはセレとニクスにここで待ってるよう言うと奥に行ってしまった。二人が大広間で手持ち無沙汰に立っていると横から声をかけられた。


「あんた達がセレとニクスだね?」


声をかけてきたのは赤髪を短く切りそろえた妙齢の女性だった。

動きやすい布の少ない服の上に皮製の胸当てをつけ、腰には小剣をつけている。


「話はコンスタンス様から聞いてるよ。 あんた達、城に忍び込むつもりなんだってね?」 


「あの、あなたは?」


おずおずとニクスが尋ねるとその女性はいけないいけない、と呟き自己紹介をした。


「あたいはブレンダ。 コンスタンス様の部下さ」


「じゃああなたが?」


「そうさ。 にしても城に忍び込むなんていうからどんな偉丈夫かと思えばまだ子供じゃないか」


その言葉にニクスはム、っとした。


「バカにしてるの?」


「おっと、悪い悪い。 気分を害したなら謝るよ。 でも誰だって危険な任務に15かそこらの子供が来るなんて予想できやしないよ」


「まあ任務じゃないからね」


ブレンダは眉をひそめた。


「どういうことだい?」


「早い話、城への潜入は半分以上俺達のわがままなのさ」


「わがままって・・・。 よくコンスタンス様が了承したね」


「ま、俺達が城へ行くのに目をつぶるだけでこの後の亡命が楽になるんだから当然じゃないかな?」


何のことだと訪ねるブレンダにニクスが昨日のことを説明する。

それを聞いたブレンダは関心しつつも呆れたような表情で苦笑した。


「よくもまあそんなこと思いつくもんだね」


「主のために従者が最善を尽くすのは当然のことでしょ」


「従者ねぇ・・・。 正直そうは見えないけど・・・。

 ねぇ、ほんとのとこはどうなの? お二人はどんな関係なのさ?」


ブレンダがずいっとニクスに顔を近づけ、からかい混じりに言った。

ニクスは数秒ポカンとしていたが何を邪推されているのかに気づくとたちまちニクスの顔は赤く染まっていった。


「べ、別にあたしとセレはそんな関係じゃ・・・」


「そうそう。 ニクスは俺の命の恩人なんだよ。 だから俺は全身全霊で恩返しをしてるのさ」


「・・・たしかにその通りだけどそうはっきり言わなくても・・・あたしにも女としてのプライドってもんが・・・」


その様子を見るとブレンダはゲラゲラと笑い始めた。良く見れば目尻に涙まで浮かんでいる。そのまま彼女は顔を真っ赤にするニクスとポカンとした顔のセレの前で笑い続けた。

しばらくすると漸く笑いが収まったようだったが未だ苦しそうに(もちろん笑いすぎが原因だ)呼吸を荒くしている。


「はぁ・・・いやーいいもん見せてもらったわ。 うん、気に入った。 全力でお二人さんのわがままに付き合ってあげるわ」


「・・・どうも」


機嫌が良いブレンダと若干機嫌が悪くなっているニクスを見ながらセレは、返答ミスったかなぁ、と反省するのだった。


それから数分後にコンスタンスとギオデンを引き連れたレオナルドが大広間に入ってきた。

とたんにざわめきが消え部屋中の視線がレオナルドに集中する。


その時だった。


「大変だ!」


アジトの入り口から息を切らせた男が飛び込んできた。そこで力尽きたのか倒れこむ。

何事かと周りがざわめく中、数人がその男に肩を貸しレオナルドの下まで運んでいった。


「どうした、何があった?」


「て、敵・・・敵襲ですっ。 教団の兵がっ・・・教団の兵が街に侵入してきましたっ! 住民を次々と殺しています!」


「教団だと!?」


「何故こんなときに!」


ざわめきが大きくなる。


「静まれ! 静まるのだ!」


コンスタンスの一喝でざわめきは収まった。視線が再びレオナルドに集まる。


「敵の場所は?」


「広場です!」


「そうか、よく伝えてくれた。 休んでいろ」


レオナルドは大広間にいる者達を一度見渡す。


「なぜ教団がわざわざこの街に乗り込んできたのかはわからないが罪無き者を襲うならやることは一つだ。

 戦いだ! すぐさま広場付近に集結し敵を撃退せよ!」


一斉に鬨の声が上がった。それぞれが素早く行動を開始する。

セレとニクスはギオデンの下に駆け寄った。その後ろにはブレンダの姿もあった。


「ギオデンおじさん、あたしたちも行くわ!」


「なに!? ・・・いやそうも言ってられねえな。 今は戦力が足りねえ、こき使われること覚悟しとけ!」


「「はいっ!」」


「ブレンダ、お前も来い。 俺が指揮を執ることになったから手を貸してくれ」


「貸し一つよ」


「言ってる場合か! 行くぞ!」


ギオデンは斧を担ぐと駆け出し三人も後に続いて走り出した。





「ギャアアアァァァ」


叫びと共に血飛沫がとんだ。

貧民街にある広場は普段は貧民街には珍しい整地された場所ということもあり簡素ながら屋台が並ぶ憩いの場所だ。

だが今この時はいくつもの死体が転がる地獄に変貌していた。

その地獄を創りだしたのはアノマール教団所属の神殿騎士達―――通称、教団兵と呼ばれる者達だった。

教団兵は皆揃いの青銅の鎧を身にまとい、揃いのエストックのような細身で薄い剣を手に持っている。

そして彼らの持つ剣にはおびただしい血が付着していた。

彼らはレジスタンスを誘き寄せるために広場にいた人々を斬ったのだった。


「こんなことで不穏分子たちが出てくんのか?」


その内の一人が剣に付いた血を払いながら愚痴るように呟いた。

教団兵達にとっては自分達がしたことと言えば貧民街でゴミ(・・)を斬り捨てただけなのでこれが本当に意味があることなのか疑問だったのだ。


「意味ならあるぜ」


その愚痴に答えたのはこの部隊の隊長であるケイリク・オズナーだった。


「奴等はレジスタンスを名乗りこいつら貧民街の連中の救済を目的としている。 その救済すべき連中の危機に立ち上がらない訳がない」


「なるほど」


その教団兵は納得すると持ち場に戻った。

ケイリクは一人笑う。

(さあ来なレジスタンス共。 お前らには俺の栄光のための踏み台になってもらう)


ケイリクの狙い通りレジスタンスは広場の周囲に集まり始め攻撃の機会を窺っていた。

その中にはセレ達四人の姿もあった。







「ギオデン!」


四人が広場の近くまで来ると武装した民兵達が駆け寄ってきた。


「状況はどうなってる!?」


「最悪だ。 奴ら住民を片っ端から殺しまくってる」


レスターという名のレジスタンスの案内でほかの兵が集まっている場所に移動する。

そこには30人ほどのレジスタンスの兵士がいた。ギオデンは兵士たちを見回したがその表情は優れない。

報告によれば教団兵の数は30人ほど。数では同数だがレジスタンス兵たちは正規の訓練を受けているものがほとんどいない。

それに比べ教団兵たちは皆、ある程度とはいえ訓練を受けており纏まりもある。

さらにはレジスタンス兵たちは教団兵と違い装備はバラバラで物によっては手入れが十分ではないものもあった。

正直言ってこちらが不利。錬度も装備も劣る現状では同数での戦闘は避けたかった。

ギオデンはせめてもう少し兵士が集まるまで待つことにした。

その間にセレとニクス、そしてレジスタンス達に指示を出す。


「レスター、ブレンダ。 お前らは他の奴らと一緒に俺と突撃するぞ」


「おうよ!」「任せといて」


「嬢ちゃんとセレは弓兵と一緒に援護してくれ」


「わかったわ」「りょーかい」


さらに十数人の兵が合流したことを確認してからギオデンは持ち場に着くように告げた。

兵士達は小声でだが口々に「自由のために」と言うと自らの待機場所に散っていった。

レジスタンスの数はおよそ50人。まともな戦闘経験がない者達でどこまで戦えるかわからないがやれるだけやるしかないのだ。

指揮官のギオデンにとって正念場だった。



弓を持ったレジスタンス達に続きセレも物陰に隠れ弓に矢を番えた。

弓兵達は奇襲として矢を放った後、建物の屋根に登り突撃する兵士達を援護する手筈だ。

セレが初の実戦に緊張していると隣にいた兵士が声をかけていた。


「お前、名前は?」


「セレ。 あんたは?」


「アドニスだ。 セレ、お前緊張してるのか?」


「初めての実戦だからね」


こういうときこそ落ち着かなくてはいけないのは知識として知っていたがそれは難しそうだった。

緊張のあまりセレの手は震えうまく弓に矢を番えることができない。


「お前はマシなほうさ。 俺なんか初めての時は半泣きでガクガク震えてたものさ」


「そりゃひどいね。 ・・・今は?」


「守るものができたからな。 いつまでも怯えてはいられない」


セレはアドニスから視線を外し少し離れたところで精神集中を始めているニクスを見た。

(そうだ。 俺にも守るべきものがあるんだ)

手の震えは治まっていた。




ギオデンがすっ、と手を挙げる。作戦開始の合図だ。

セレを含めた弓兵達は静かに弓を構えた。

ギリ、と弦を引き絞る音がセレにはやけに大きく聞こえた。

あとは合図を待つだけとなったがここで予想外の出来事が起こった。


教団兵に向かって石が投げられたのだ。


「痛っ。 クソ誰だ、石なんかぶつけやがったのは」


石をぶつけられた教団兵は犯人を捜し、そしてすぐに見つけた。

――――子供だ。


「おとうさんをかえせ! えいっ、えいっ!」


殺された住民の中に親がいたのだろう。

まだ幼い少女が教団兵に向かって石を投げつけている。


「このクソガキが!」


激高した教団兵が二人、剣を抜き少女に向かっていく。

少女は剣を手に持ち自分に向かってくる兵士に怯え石を落とした。


「アドニス! 女の子が!」


「チッ、お前は右をやれ! 俺は左をやる!」


セレとアドニスは素早く教団兵に狙いを定めた。

そして少女の前に立った教団兵が手に持った剣を振り上げ――――


「放て!」


それより早くギオデンの合図が響き、それと同時に矢が放たれた。

セレが放った矢は兵士の喉を、アドニスが放った矢は心臓を貫いた。

よし! と歓声をあげるアドニスの横でセレは自分が放った矢を受けて崩れ落ちる兵士を見ながら初めて人を殺した事を実感した。

だが感傷は抱かなかった。感じたのは結果を出せた事による高揚感のみだった。

矢による奇襲を受けた教団兵達が浮き足立つ。その隙を逃さずギオデンは斧を振り上げ突撃命令を下した。


「やっちまえ野郎共! 教団の奴らをここから追い出すぞ!」


雄たけびを上げレジスタンス兵達が突撃を開始した。

弓兵達もそれを援護するために屋根の上に登る。真っ先に屋根の上に登ったセレがニクスを引き上げながら少女がいた方向を見ると母親らしき女性に抱かれて逃げていくのが見えた。

どうやら無事だったらしい。


「―――――!―――――!」


ニクスが呪文を唱え始める。呪文は精霊言語と呼ばれる言葉を使って唱えられるために魔術を学んでいないセレには聞き取ることができない。

だがニクスが呪文を唱えるたびに空気中にある何かがニクスに集まっていくのが感じられた。おそらくそれが魔力なのだろう。

弓兵達も矢を番えた。ニクスの呪文に合わせて矢を放つつもりなのだ。

セレも弓を構える。眼下ではレジスタンス兵と教団兵が戦闘を始めていた。


ギオデンが斧を振り下ろし敵を鎧ごと切り裂き、ブレンダは戦場を駆け回り遊撃に徹している。

レスターは敵の剣を確実に受け止め反撃の隙を窺っている。

他のレジスタンス達も武器を手に教団兵に挑みかかっていった。

レジスタンス側は数では勝っていたが教団側より兵の質で劣る。それ故にギオデンは二人一組で敵に当たるように指示をしていた。

それが功をなしたのか今のところ戦闘は互角といったところ。

乱戦になることもなく前線の兵士達だけがぶつかりあっている状況だった。


それを確認した弓兵達は少しだけ射角を上げた。

先ほどは前衛に向けて矢を放った。だがもう一度前衛に向けて矢を放てば今度は味方を巻き込みかねない。

なので狙うのは中衛。これは中衛に被害を与えるだけでなく後衛にいる兵士達への牽制となり、同時に前衛で戦う兵士達のプレッシャーになる効果もあった。

弓を限界まで引き絞りその時を待つ。そしてニクスが呪文を唱え終わった。


「紅き炎よ、我が敵を焼き尽くせ! 『ファイア』!」


ニクスが持っている杖の先端の魔石が輝き、そこから大きな火球が放たれた。

火球は狙い違わず教団兵達の中央に着弾し、燃え盛る炎が数人の教団兵を包み込む。


「おお、魔術師もやるな! よし、俺たちも負けるな、矢を放て!」


アドニスの合図で続くように矢が放たれ炎に包まれのたうちまわる者たちに降りそそいだ。

ニクスは己の生み出した光景に顔を青くしながらも次の呪文を唱える。

一方、その光景を見ながらセレは皮肉げに口元を歪めた。

(矢に射られて死ぬのと炎で焼き殺されるんじゃどっちが幸せなのやら・・・)

そこで思考を打ち切る。今、そんなことを考えても何の意味も無い。

セレは弓を構え矢を番えた。


奇襲が成功したとはいえ兵の質の差は埋めがたく徐々にレジスタンス側は押され始めていた。

次第に戦闘は乱戦になりつつあり誤射の危険があるので弓での援護もままならないことにアドニスは歯噛みした。ニクスの魔術も同様の理由で使えない。

弓の援護を失ったレジスタンス兵達はひとりずつ、だが確実に数を減らされていった。

ギオデンやブレンダ、レスターといったリーダー格を中心にして戦闘を続けていたが不利は否めなかった。


(チッ、このままじゃジリ貧か)

ギオデンは状況が不利になってきていることを誰よりも理解していた。

教団兵の数も減っていたがそれ以上に味方の被害が大きい。敵一人倒す間にこちらは二人倒されているのだ。

このままではすぐに数の優位は失われるだろう。その前に一石投じる必要があった。

(斬り込むか?)

少し迷うがその考えを却下する。今ここをギオデンが離れれば戦線が崩壊する。そのためギオデンにこの状況を打破できる手はなかった。






「頃合だな」


ケイリクは戦況を見て勝利を確信していた。

奇襲で数名の兵を失った以上敵を侮るつもりは無かったがまともな訓練を受けていない民兵が相手なら真正面から戦えば負けることはありえない。

さらに勝利を確実にするために更なる手を打つ。


「弓隊、出て来い!」


合図と共に家屋の中から弓を持った教団兵達が出てきた。


「ふ、伏兵だ!」


誰かの絶望の叫びをあげる。それを聞きケイリクは笑みを深める。

ケイリクにとって敵の悲鳴とは自らの将来を祝福する声なのだ。






伏兵の出現によりレジスタンス側の状況はさらに悪くなった。

どこからとも無く出てきた敵の弓兵達がレジスタンスの弓兵に向かって矢を射かけ始めたのだ。

セレは素早く呪文を唱えていたニクスの前に出て彼女の盾となり、アドニスは自分の方にくる矢を切り払った。

数本の矢がセレの身体に刺さったがセレは動じない。グール化により痛覚が鈍くなっているためだ。


「セレ!」


ニクスが小さく悲鳴を上げ、アドニスが慌てて駆け寄ろうとしたがセレはそれを手で制した。


「大丈夫。 この程度ならなんの問題も無い」


「だが!」


矢を抜き傷をニクスに治してもらいながら消えていく傷に驚きを隠せないアドニスに


「いろいろ事情があってね。 この程度でどうにかなるような身体じゃなくなってんの。 だから大丈夫」


「セレ・・・」


その言葉にニクスは密かに心を痛める。表には出さなかったが彼女はセレの身体を生きながらにして人ならざるモノにしたことに強い罪悪感を覚えていたのだ。

セレを人間に戻す方法を探す、それゆえに父の死霊術の資料を取り戻したかったのだがそれがまたセレを戦いに巻き込むことになる。

それを理解しているがゆえに彼女は己を嫌悪した。だがそうして立ち止まっていてもいても何も改善できないことも理解していた。

だからニクスは戦場にいるのだ。共に戦場に立ち彼の負担を少しでも減らす。それが魔術師である自分に出来る最善なのだと信じて。

そして今、彼女がセレのために出来ることは一刻も早くこの呪文を唱え終わることなのだ。


「二射目が来るぞ!」


味方が叫んだ。

矢がほとんど効かないセレや飛んでくる矢を払い落とせるだけの技量を持つものたちが味方を守るために前に出る。

だが全員を守りきることなど出来るわけがない。再び矢が降り注ぎ悲鳴が上がった。

遮蔽物の無い屋根の上では逃げ場が無くすでに何人かは体から矢を生やし倒れていた。


「ニクス、準備は!?」


セレは自分の体に刺さった矢を引き抜くとニクスに声をかけた。

その間にもセレの体には飛んできた矢が数本突き刺さっていく。だがセレは体に刺さった矢を引き抜くとそのままその矢を自分の弓に番え射返した。


「終わったわよ! さまよえし霊魂よ、我が命に従え! 『スピリット』!」


倒された敵味方の死体から白い靄のようなものが現れ弓兵の大半を飲み込んだ。


「うわあああああっ!」


死者の念が生者を飲み込んでいく。飲み込まれたものは死者の念を直接体に叩き込まれ発狂し死んでいった。一時的に敵の矢が止まる。

その隙に無事だった味方が負傷した者達を後ろに運んでいく。セレも負傷者の体を支えながら少しだけ振り向いた。

生きたまま死に触れ発狂していく教団兵を見てセレは死霊術が忌み嫌われる理由の一端を見た気がした。

事実、味方のはずの兵士たちもニクスのことを恐ろしいものを見るような目で見ている。

死者の魂を操り生けるものを襲わせる魔術、それが死霊術なのだ。


「なんておぞましいことを・・・」


後ろから呟きが聞こえた。それを聞いたニクスの体がビクンと震える。

背後を見れば矢を腕に受け膝を突いていたレジスタンスの一人が呟いていた。


「おい」


声をかけると同時にセレはその男を殴りつけていた。

ぐへっ、と悲鳴を上げ男が倒れこんだ。さらに起き上がろうとした男を踏みつけ押さえつけた。


「お、お前なにすん」


「無駄口叩く余裕あるならさ・・・」


男の言葉は遮られた。

淡々と、だが怒りを露にしながらセレは男の腕に刺さった矢をつかみ、力任せに引き抜く。


「あああああああ!」


「座り込んでないでとっとと戦えよ。 戦い方に文句付けられるほどの立場なんだろ?」


だが男は悲鳴を上げるだけでセレの言葉もまともに聞いてなさそうだった。

それを見るとセレは軽く舌打ちして悲鳴を上げ続ける男を意識から除外すると負傷者達が持っていた矢をかき集めた。

集められるだけ集めると急いで元の配置場所に戻り無事だった者達に矢を渡した。


「セレ」


「なにさ」


その途中でアドニスがセレに声をかけてきた。


「やりすぎだ。 確かにあいつの言葉はほめられたものじゃないが・・・」


「悪いけど謝る気はないよ。 ・・・正直言うとあれで済んでよかったとすら思ってる」


アドニスはセレの言い方に違和感を覚えた。


「済んでよかった、ってどういうことだ?」


「・・・あいつの言葉聞いた瞬間、怒りで頭ん中が一気に沸騰したかと思った。 それであいつは主を害するものだって考えが浮かんできてね・・・。

 へたすりゃ殺してたかもしんない・・・」


「セレ、それはいったい・・・その身体と関係あるのか?」


「っと、やつらもう体勢を整え始めてるね。 また掃射が来るよ」


そう言うとセレはアドニスの言葉を意図的に無視しニクスの下へ戻ろうとして―――少しだけアドニスを振り返った。


「今言ったことは誰にも言わないで。 俺がああなった原因の目星はついてる。 自分で解決するから・・・お願い」


「あ、ああ」


セレは再びニクスの前に立ち防御の姿勢になる。その行動には一切の迷いがない。

アドニスは呆然とそれを見ていたが敵が弓に矢を番えるのが見えると我に返り戦闘に備え矢を引き絞った。



死霊術を用いてもすべての弓兵を倒しきることは出来なかった。死霊術から逃れた生き残りは魔術師を仕留めようとニクスに矢を集中してきていた。

さらに数本の矢を受けながらもセレや他の生き残りの弓兵達が矢を射返すが距離があるためにまともに当たらない。

だが教団兵の放つ矢は確実にこちらの戦力を削っていた。訓練を受けているかどうかの違いがここでも差となりつつあった。


このままでは埒が明かない。

セレは空になった矢筒を外し、敵の弓兵を見据えた。


矢が届かないなら直接叩けばいい。だがそれはそれは産まれてこのかた斬り合いなどしたことがない少年には少々無茶な事に思えた。

実際、ギオデンが彼を弓隊と行動させたのはニクスを守らせるためだったが、実戦経験がない事、さらに言うならまともに剣すら握った経験すら無い事を心配しての配置だった。


セレは自分の腰に目をやる。手持ちの武器はナイフ一本。敵に突っ込むにはあまりにも心もとない装備だった。

だが―――


「ニクス、アドニス。 ここは任せた」


「セレ?」


「は? お前何を」


アドニスが言い終わる前にセレは弓を捨てると腰につけていたナイフを抜き放ち屋根から飛び降りた。


「ちょっと、セレっ!」


「おい、身を乗り出すな! 危ないから下がれ、魔術師!」


足への衝撃。普通なら足が折れていてもおかしくない高さだ。軽減し切れなかった痛みが脳に伝わる。

その痛みが脳から急速にアドレナリンを分泌させ、気分が高揚し思考が鈍化する。

本来なら思考の鈍化は避けるべきこと。だが今のセレにとってそれが必要だった。


(ああ、怖い。 さっきから手の震えが止まらないし心臓だって破裂しそうだ)

セレはニクスに自分は恐怖を感じないと言った。だがあれは嘘だった。

正確に言うならば恐怖を感じにくくなっているだけだ。痛覚と同じで戦いでは邪魔になるために最低限に抑えられていたのだ。


―――だがそのおかげでこうして戦いに行ける。戦える。


セレは身体を低くして駆け出した。目指すのは生き残りの弓兵だ。

ナイフ一本手に持っただけで鎧すらも身に着けていないセレの動きは速く弓兵との距離が瞬く間に詰まっていく。


セレに気づいた兵士がこちらに矢を向ける。動きを牽制するつもりなのだ。

だがそれを無視してセレは弓兵に肉迫した。

(狙うのは首!)

驚き硬直する兵士に体ごとぶつかっていき壁に叩きつける。

後頭部を打ちつけた兵士が一瞬気が遠くなったのか脱力した瞬間、セレはナイフを敵の喉に突き刺した。

セレの手に肉を切り裂く感触が伝わっていく。それに一瞬顔をしかめたが手を止めることはなくさらに奥へと刃先をねじ込んだ。


「け、かっ……」


喉を刺された弓兵は何かを言おうとしてパクパクと口を動かすがそれは言葉とならず、ひゅ、と息が漏れる音がするだけだった。

それでも弓兵は突き立てられたナイフをかろうじで動く手で掴む。その兵士は最後まで抵抗はやめる気はなかった。

だがセレはそれを意に介さずにナイフを握った手を力いっぱい横に動かした。

ブチブチ、と音を立てながら刃が肉を裂いていき、ついには兵士の首を切断した。


どさ、と首を失い崩れ落ちた兵士から視線を外す。まだ敵は多く、そこら中で剣戟の音が鳴り響いていた。

(大丈夫だ、今と同じようにやればいい)

セレはそう自分に言い聞かせると再び敵兵に向かって行った。






「ぐあっ!」


「レスター!」


レスターが腕を斬られ剣を取り落とした。絶体絶命だがギオデンは目の前の敵に精一杯であり助けに行くことができない。

目の前で振り上げられた剣を見てレスターは反射的に目を閉じた。

だがその剣が振り下ろされる前にブレンダが二人の間に割り込み敵の剣が振り下ろされるよりも速く小剣を振りぬいた。

斬られ血を流しながら倒れた兵士を尻目にブレンダはレスターに駆け寄る。


「ちょっと、大丈夫かい?」


「ああ、なんとかな。 だが・・・ちくしょう! これじゃ剣を握れない!」


レスターの腕の傷は深いものではなかったが出血が多くなにより利き腕を斬られていた。

そこに敵兵を倒したギオデンが駆け寄った。そしてギオデンはブレンダと同じように大丈夫か?と聞きレスターは剣を握れない、と返した。

そこでギオデンはレスターを下がらせることにした。


「レスター、他の負傷兵達と一緒に下がっていろ」


「・・・すまないがそうさせて貰うぜ」


レスターは負傷していた者たちに素早く指示を出すと後ろに下がっていった。

それを好機と見たのか教団兵達が突っ込んでくる。その場に残ったレジスタンスたちは味方を守るためにそれに向かっていった。







「せいあっ」


「ぐっ!」


教団兵が素早く突きを繰り出し、反らしきれなかった刃がセレの肩を貫いた。


「・・・っ! このっ!」


セレはお返しとばかりにナイフを教団兵に突き立て殺した。

ナイフを死体から引く抜くとセレは肩を押さえ数歩後ずさる。

そして素早く辺りを見回し近くに敵がいないことを確認するとその場でへたりこんだ。

(正直戦場ってやつを甘く見てたかも・・・)

荒い息を吐きだくだくと血が流れ出る傷を押さえながら軽く舌打ちをする。その体には肩の傷以外にも大小問わず傷があちこちに付いていた。

敵に向かって矢を射るのとは違い、斬り合いというものはセレの予想より遥かに神経を使った。

また、まともに斬られることこそ無かったが斬り合いの最中に出来たかすり傷もバカにはできない。

実際、痛みが軽減されていなければとうに痛みで動きが鈍り、下手すれば動けなくなっていただろう。

呼吸を整えつつ顔を上げ辺りを見渡せば戦闘はより激しさを増していた。


広場にはレジスタンスと教団、双方の兵が何人も倒れその上でまだ生きている者達が刃を交えている。

最早レジスタンスも教団も余裕がないのだ。自分も休んでいる暇は無い。

立ち上がろうとした時、肩の痛みがほとんど消えているのに気づいて咄嗟に肩の傷を見た。傷はまだ残っていたが既に血が止まりつつある。

(自然治癒? いやこの速度はもはや再生か?)

自分の身体に驚きながらも軽く肩を動かし動かす分には問題ないと判断とした。

それならここで膝を突いている理由はない。素早く立ち上がり味方に止めを刺そうとしていた教団兵に飛び掛かった。

教団兵を組み伏せ首をかっ切ると続いて向かってくる兵士に備えナイフを構える。


その時だった。


ズン!という衝撃と同時にセレの腹部から剣が生えた。

背後に回り込んだ教団兵がセレに剣を突き刺したのだ。


「か、はっ……」


血が口から溢れ膝をついた。

さらに近づいてきた他の教団兵がセレを斬りつける。

痛みに叫び声を挙げることすらできない。

(痛い痛い痛い痛い痛い痛い)

痛みが許容量を越え意識が遠のく。

(いたいいたいいたいいた―――)

そして意識は途切れ―――


―――ドクン


何かが脈動した。

セレの瞳から光が失われ色彩も薄い紫色から濃い紫色に変化する。

そのただならぬ様子は離れた場所にいたギオデンにも感じとれた。



(セレの野郎どうしちまったんだ? 死んじまったわけじゃねえのはわかる。 だがあいつに何が起こっている?)

ギオデンは今すぐにでもセレに駆け寄りたかったが目の前にいる敵の集団がそれを許さない。

自分がここを抜ければ一気に押し込まれてしまうのを理解しているからこそ、そこを動けないのだ。

ギオデンにできることは一刻も早く目の前の敵を倒すことだった。





セレを斬りつけた教団兵は恐怖していた。


「な、なんだこいつ・・・。 なんで死なないんだ!?」


後ろから剣を刺した上、前からも斬りつけた。普通なら死んでもおかしくない傷だ。

なのに目の前の少年は大人しくなりこそすれ未だに死んでいない。

もしかしたら何度斬っても死なないのではないか?そんな考えが過る。

(い、いやこいつがしぶといだけだ。 もう一度刺せば・・・)

その兵士は今度こそとどめを刺すために剣を振り上げる。


次の瞬間、セレが動いた。

目の前にいた教団兵の首を掴み持ち上げる。

突然のことに持ち上げられた兵士は状況を把握しきれずじたばたともがくことしかできない。

暴れる兵士の体ににセレはナイフを突き刺した。

何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返し刺す。

そのたびに兵士の体から血が吹き出て流れた夥しい量の血が地面に血溜まりをつくった。


それでも刺すのを止めずにナイフを刺し続けていたが兵士の体がピクリとも動かなくなると漸く刺すのを止めた。

そしてもはや物言わぬ死体となった兵士を放り投げた。

まるで子供が壊れた玩具を捨てるかのように。無造作に。

次に目の前で起こった惨劇に呆然としていたもう一人の兵士――セレを背後から刺した兵士のこと――に手を伸ばすと首を掴みねじ切った。

敵味方共にその光景に息を飲む。


腹に剣が突き刺さり血を流しながら平然と立ちあがるその姿。

返り血と己の血で真っ赤に染まった顔。

そしてその赤の中で異様に目立つ紫の瞳。


「ば、化け物・・・」


その姿を見たケイリクが呟いた。

それに反応したのかセレは教団兵達に視線を向ける。

生気が感じられないその瞳を向けられケイリクら教団兵達は恐怖した。


「う、うわあああああっ!」


「お、おい!」


恐怖に耐えきれなくなった兵士の一人が剣を振り上げ駆け出した。

隣にいた兵士が慌てて後を追う。だが恐怖が残っているためか足がもつれうまく走ることが出来ない。

結果として恐怖に駆られた兵士が一人突出することになった。


「死ねぇぇぇっ! 化け物ぉぉぉ!」


駆け出した勢いのままその兵士はセレに向かって剣を振り下ろす。

だがそれは途中で止められた。

セレの手が振り下ろされる寸前に兵士の手首を掴んで止めたのだ。捕まれた手首がミシミシと音を立て兵士が悲鳴を上げる。


それを気にも止めずセレはナイフで掴んでいる手首を切り落とした。

兵士の悲鳴がより一層悲壮なものになった。


「よ、よくも!」


それを見たもう一人が悲鳴を上げる兵士を救うべく向かっていく。セレはこちらに向かってくる兵士に少しだけ視線を向けるとナイフを無造作に投げた。

サクッ。そんな音がした気がした。

それは兵士の喉にナイフが突き刺さった音だった。その兵士は首を押さえながらゴポゴポと声にならない声を発しながら倒れた。


投げたナイフの代わりにセレは先ほど切り落とした手が未だに握り締めていた剣を奪うとそれを未だ悲鳴を上げ続ける兵士に突き刺す。

断末魔の叫びがあがり悲鳴が止まった。

その様子に誰もが言葉を失い遠巻きにしていたがまだ惨劇は終わらない。

セレは無機質な瞳で次の獲物を捕らえると薄く笑みを浮かべ駆け出した。


おかしいな。この物語を書き始めた当初は軽い雰囲気の異世界ファンタジーにする予定だったのにどうしてこうなった。

そして地味に主人公の性格悪い。

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