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「それでは、全員の復帰を祝して……乾杯!!」


髭をたくわえた隊長らしき騎士の声が部屋に響く。


大陸北西にあるフィン共和国。

「福祉」という、この時代としては特異な産業により発達してきたこの国には、国を守る要として、二つの騎士団が存在していた。


フィン政府の中枢である評議会を守護し、他国からの侵略に対し防衛にあたる「護法騎士団」、市民の安全と街の治安を守る「護民騎士団」。他国から見れば、やや弱体な軍事体制ではあるが、これら二騎士団がなければ、フィンが長きにわたる平和を維持できなかったのも確かだろう。


先ほどの乾杯が行われたのは、フィンの首都、ヨルム市にある護民騎士の宿舎に併設されている大食堂でのことだ。普段は、護民騎士たちの朝晩の食事をまかなっているこの場所も、今日はいつもとは違うにぎわいにつつまれていた。


テーブルははじによせられ、その上には様々な料理が並べられている。食堂内には、ところ狭しと護民騎士たちが食べ物を求めて歩き回り、親しい者同士は輪をつくり談笑していた。

騎士たちは剣こそ腰に帯びたままであったが、平服や軽い皮の鎧といった、比較的くつろいだ格好をしており、この集まりが公式の堅苦しいものではないことがうかがえた。


部屋の片隅で椅子に座った一人の若者が、杯につがれたにごり酒をうまそうにグビグビと飲んでいる。

鮮やかな茶色の髪を後ろで束ね、切れ長の目をした、なかなかに美しい青年である。首からは金属製のプレートを下げているが、これは実は、強力な魔除けの力を持った護符であり、今まで何度も彼の窮地を救ってきた。さっぱりとした平服を着ているが、腰から剣を下げてこの場にいる以上、彼が護民騎士の一人であることは疑いようがなかった。


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