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死に戻ったら前世で私を殺した宿敵が溺愛してきます  作者: しののめ


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91/91

28-5

 その場所はリアーヌの故郷、スヴェン領である。


(これはーーローランは高速騎獣を使ったんだな)


 騎獣とは魔法を帯びた空を飛ぶ生物で、人間を運搬させるために飼い慣らされたものを指す。


 その中でも高速騎獣は、小さな転移魔法を繰り返しながら移動するため、馬の何十倍もの速さで移動できる。現に、王都からここまで、馬を乗り継いで移動すると1ヶ月、通常の騎獣だと半月かかる距離を一日で移動してしまう。

 その分、費用も高額だけれども。


(まあ、領主は2、3匹飼っているものだけど)


 ちなみに、魔力を注げばさらに早く移動できるが、乗り手の負担は大きい。しかしローランはリアーヌの元に一刻でも早く駆けつけるため、かなりの魔力を注いだことだろう。


「あー、それだと私の屋敷も割と近いから、近くの村で騎獣を借りて、屋敷に寄っていきましょう」


 この距離だと、通常の騎獣でも一時間もかからず辿り着くだろう。


「リアーヌの実家?」

「そう」


 あまり気乗りしない様子のローランは、


「俺はこんな格好なんだが」


と自分の服装を指差した。


 ……何でもない顔をして歩いているので、血まみれの格好も気にしていないのかと思っていた。


「今、ここを通りがかった人が貴方の姿を見たら、腰を抜かすでしょうね」


 水も滴るいい男とは言うけれど、血塗れの男となれば、いくら顔が良くても、突然出くわせば恐怖しか感じないだろう。


 しかし、ローランがそんなことを気にするのが意外だと思っていると。


「………今、俺もそんなことを気にするんだな、とか思っただろう」

「何故分かる」

「君は俺を誤解している」


 ローランは「心外だ」という表情をして、続けた。


「俺は表面を取り繕うことくらいは知っている」

「そうですね」


 そうでなければ、清廉潔白の白騎士なんて呼ばれてはいないだろう。彼の優等生の仮面は、概ね完璧だ。


「大事な一人娘が、血まみれの男を突然連れてきたら、親はどう思うだろうと想像するくらいの常識も持ち合わせている」

「うん」


 ローランは苦悩するように眉を寄せた。


「君のご両親からの第一印象が最悪だと困る。本来なら選りすぐった手土産の一つでも持って……」

「恋人の親に結婚の許しを乞いに行く彼氏かな?」


 思わず突っ込み、すぐに、


「心配する必要はありませんよ」


と言ってリアーヌは、思いのほか第一印象について心配しているローランを安心させるよう、笑いかけた。


「貴方は私を助けてくれた人だから。貴方に感謝することはあっても、ちゃんと説明すれば怯えたりなんかしない」


 まあ、最初はびっくりするだろうけれど、と付け加え、先に歩みを進め始めたところで、


「リアーヌ」


と呼び止められた。


「うん?」


 足を止めて振り返ると、ローランは真っ直ぐに自分を見つめていた。


「俺はここから君の館までの道のりを知らない」

「そうでしょうね」


 知っていたら、それはそれで怖い。


「迷うといけないから、手を繋いでくれないか」

「…………」


 貴方、私に位置探索魔法をかけてるじゃないですか。リアーヌはそう思ったが、言葉にすることは控えた。

 今のローランは、どこか情緒不安定で、迷子ようだった。


「仕方ないなぁ」


 リアーヌがローランの手を取ると、ローランは安堵したように息を吐くと、そのまま強く握り返してきた。


 ーーもちろん、家まで歩いて行ける距離ではなく、騎獣を借りるまでの間である。


 実家に立ち寄ると両親は、突然帰宅した娘に驚くと同時に、その傍にいる血まみれの男の姿に硬直したのだった。




実を言いますとーー。


このお話は既に終盤に差し掛かっているんです!


ここまで続けられたのも、読んでくださっている皆さま、リアクションや評価、ブックマークを贈って応援くださっている方々のおかげです。ありがとうございます!


TS男女好きさんが増えますように……!



⭐︎明日23日は更新をお休みし、明後日24日に次話を更新します⭐︎

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