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死に戻ったら前世で私を殺した宿敵が溺愛してきます  作者: しののめ


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33-3 エピローグ

「ローランの相手は君に任せた」


 そう言って、カミーユ王子はリアーヌを残して去って行った。多分、ローランの相手をするのが面倒で、全てリアーヌに投げたのだろう。


 ちなみにローランは、面会室から連れ出してから、一度も口を開いていない。


「怒ってる?」


 全て、ローランに相談することなく、カミーユ王子と進めてしまった。


 王子との共謀とはいえ、勝手に彼の籍を名門シャルトル家から抜くという荒技を使ったのだ。


 ーー実のところ、ローランの籍は当面エルヴィーユ家でも問題なかったが、敢えてセネヴィル家の藉にしたのは一応、


「ご褒美は私」


なので容赦してね、作戦だったが、もしかするとローランは、そこまで自分のことを想ってくれていなかったのかもしれない。結婚なんて考えてなかったとか。


 となると、自分は彼の結婚歴を汚す、とんでもない暴挙をしでかしたことになる。


(自意識過剰すぎた………!)


 ローランは喜ぶと思い込んでいた自分が恥ずかしい。


 話しかけても黙り込んだままのローランに、ますます焦りが募る。


「……いや、ローランに任せてると、結構、貴方って物騒だから、殺すだのシメるだの言い出しそうな気がしたし、そこまでないにしても穏便には済ませそうになかったので私とカミーユ王子で色々考えたというか……」


 息継ぎなしに言い訳を重ねている最中に、がしっと両肩を掴まれた。食い入るように見つめてくる。


「リアーヌ。君は……もう、俺の妻なのか……?」


 ………どうやらローランは、リアーヌの話を聞いておらず、自分の考えに耽っていたため無口だっただけのようだった。

 妻と呼ばれ、照れ臭くなったリアーヌは、そっぽを向いたまま頷いた。


「書類上はね。……というか怒ってないの?」

「怒る? 何故だ? 君が俺の妻になるというのに怒る必要がどこにあるんだ??」


 ローランは心底不思議そうに首を傾げる。


「勝手に養子縁組しちゃったんですよ?」

「? 君が必要だと思ったからそうしたんだろう? ……あの家に、何の未練もない。むしろ、せいせいした」


 そのうち叩き潰すつもりだし、と怖いことを付け加えた。


「そんなことより」


 ローランが近づいてきて、ぎゅっと抱き締めてきた。


「君が既に俺の妻だなんて、夢みたいだ」


 そう言いながら、リアーヌの頭に頬をすり寄せる。


「君がいい加減な人間でないことを、俺はよく知っている。君は、一生を俺と添い遂げていいと思ってくれたということだ」


 ローランの両手が、リアーヌの頬をそっと包み込んだ。


「君は……全て俺のものだ」


 そう言いながら口づけようとしてくるローランの唇を、リアーヌは手の平で阻止する。


「それは、ちょっと違うな」


 そしてリアーヌは手を離し爪先立つと、自分から口づける。ーー小鳥のように啄むようなものとはいえ、リアーヌから口づけをしたは初めてだ。

 驚いた顔をしたローランに向けて、リアーヌは悪戯っぽく笑った。


「私は貴方のものだけど、貴方も私のものなんですよ」


 自分たちは恋人であると同時に永遠のライバルだ。主導権を一方的に握らせたりはしない。

 そんなリアーヌの気持ちを読み取ったようにローランは、


「ああ……そうだな。俺の全ては、君のものだ」


と呟き、リアーヌの前に跪いて手を取った。


「君に忠誠を誓う。君が愛する領地を守り、君の望む全てを必ず叶えよう」


 そして手の甲に恭しく口づけた。その所作が、びっくりするくらい様になっていて、リアーヌは照れ隠しに軽口を叩く。


「騎士みたいですね」

「みたい、じゃなくて騎士だ。ただし、これからは白騎士ではなく黒騎士だけどな」


 セネヴィル家の男は、原則として騎士を経る。そして、リアーヌの家は黒騎士の家系だ。


「そっか。もうセネヴィル家の男だものね。じゃあ、黒騎士の正装を準備しないと」


 白い正装のローランも精悍だったが、黒衣の騎士というのも、きっと似合うだろう。

 卒業までに仕立てておかないといけないな、とあれこれ頭の中で算段していると、ローランがこの上なく真面目な顔で見つめてきた。


「リアーヌ」

「ん?」

「君は、学生の間は駄目だと言い張っていたが」

「………」


 瞳がぎらついている。

 今まで、とても健全で健やかな空気だったのに、急に雲行きが怪しくなる。


「夫婦なら良くないか?」


 何が、と聞くのは野暮だろう。


 ーーいつか言い出すだろうと思っていたが、ここまで即座にとは思わなかった。じりじりと距離を詰めてくるローランの胸を押して、一定の距離を保つ。


「学生の本分は勉学に励むことですよ」

「夫婦の本分は仲良くすることだろう?」

「仲良くしてるじゃない」

「………」


 そういう意味じゃないって分かっているんだろう? と言いたげなローランが恨めしげに自分を見た。


「卒業まであと一年ですよ。それまで頑張りましょう!」

「……」


 ローランはしばらく不服げな表情だったが、やがてふっと笑った。ーー納得してくれたのだろうかと思っていると、彼はいい笑顔でこう告げた。


「君が心変わりしてくれるよう、俺も頑張るよ」

「……」


 ーー駄目だ。諦めてくれたようには見えない。


 自分はいつまで「学生だから」で言い逃れできるのだろうか。


 リアーヌの「学生の間は清く健全なお付き合いを」という使命のもと、貞操を守る戦いは、今始まったばかりである。




完




みなさま、TS男女学園ファンタジーラブコメはお好きですか?

私は好きです!


というわけで、完結です。

ここまで読んでくださった皆さま、そして様々な方法で応援してくださった方々に勇気づけられて、完結まで突っ走ることができました。本当にありがとうございます!


また、完結にあたり少しでも「面白かったよー」「TS男女いいかも」「むしろTS男女最高!」と思っていただけたら、是非、評価やブックマーク、リアクションで教えていただけると嬉しく思います!


TS男女に光あれ!


⭐︎この世界と並行世界の騎士時代のアンリとローランのお話をシリーズで連載中です。朝起きたら女になってた系TS男女もいけるよ! という方は、ちょっと覗いてくださると嬉しいです⭐︎

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