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95 道草しちまったよ

「あっ、ンドペキ」

 すぐ近くでチョットマの声がした。

「そんなところに!」


 通路の天井が高くなっていた。

 数メートル上に、黒光りする格子。

 その上にチョットマが立っていた。


「ここは」

 格子の間から顔を覗かせている。

「焼却場」


「チョットマ! 無事なんだね!」

 ライラが声を掛けた。

「あっ、ライラも!」

「急ぐから、これでね!」

 と、スゥを急き立てる。


「急いで戻るんだよ! このぼんくらのせいで、道草しちまったよ!」

「まあ、そう言わない!」


「ここからは上がれないのか!」

 ンドペキの質問を、ライラはピシャリとはねつけた。

「無駄!」


 スゥは既に、もと来た道を取って返している。

 ンドペキは、辺りを見回した。

 データとして記録するために。



 通路は格子の下を通り越して先に延び、暗闇に消えている。

 ただ、石の壁が続くばかりで、目につくものは何もない。

 これまで同様、人ひとりが通れる程度の狭い通路。

 ただ、かなり強い風が吹き込んでいた。

 格子の天井は、下から見上げてもいかにも頑丈で、容易に破壊できるようなものではない。

 よく見ると、格子の穴の中に、さらに細かい格子が嵌っていた。


 炎はどこから。

 格子本体にも壁にも、それらしき吹き出し孔などはない。

「床が熱いんです」

 なるほど、格子の床自身が数百度以上の熱を持つという。

 今、格子が熱を帯び始め、赤銅色に変わりつつあった。


「サキュバスの庭に向かいます!」

「よし!」

 チョットマと短い言葉を交わし、スゥを追った。

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