92 あたしを負ぶうんだよ!
ンドペキは、パリサイドに銃を向けたまま、部屋に入った。
ライラの部屋。
「こっちの方が安全」と、スゥ。
どっちでもいい!
扉を閉める直前に飛び掛ってきたパリサイドをまたひとり、撃ち殺す。
「ふうっ!」
「ライラ!」
ベッドに横たえられたライラ。
血の気のない顔。
「息はある!」
「しっかりして!」
パリサイドが体当たりしているのだろう。
扉がドンと鈍い音をたてている。
「懲りない連中め!」
たとえ扉が破られても、そこらじゅうのパリサイドを全滅させる自信がある。
相手が、肉弾でぶつかってくるだけなら。
万一、パリサイド流の攻撃を仕掛けられたら、それはそのとき。
それに、この連中が、怒りのままにエリアREFに出て行けば、かなりまずいことになる。
隊員をサキュバスの庭の入口付近に急行させたいが、この部屋からは通信が使えない。
ンドペキは覚悟を決めた。
「スゥ! 俺はこいつらをひきつけて、上層階に向かう! そこで一網打尽にする!」
「えっ!」
「ここじゃ、袋のネズミ。俺が全員を撃ち殺すか、なだれ込まれるか、しかない!」
「ちょっと待って! それは!」
「話し合ってる時間はない!」
「じゃ、私も!」
「おい!」
「行く!」
「二人で危険を冒す必要はない!」
「あっ、ライラ!」
突然、ライラが目を開けた。
起き上がるや否や、大声を上げた。
「あんたら!」
と、身を起こした。
「ここはあたしに任せな!」
「でも!」
「ごちゃごちゃ言ってないで、あたしを負ぶうんだよ!」
「はい!」
スゥが背負うのももどかしく、ライラが言う。
「こっちだよ!」
指差されるままに、スゥは部屋の奥へ走っていく。
「ンドペキ! なに突っ立ってるんだい!」
ライラの指が触れるや否や、石の壁が消えていく。
「五秒だ!」
壁の向こうに通路が現れた。
「早く! 閉まるよ!」
ンドペキが通路に飛び込むと同時に、壁は再び実体化し、暗闇に包まれた。




