9 エリアREFの比較的地表に近い場所で起きた事件
「ね、私、セオジュンを探す。だから」
ライラが、ぴしゃりとはねつけた。
「おやめ! お前にゃすることがたくさんあるだろ!」
「だって」
チョットマは、エリアREFサキュバスの庭、女帝と呼ばれるライラの部屋で、小さな黄色いリンゴを前にしていた。
東部方面攻撃隊がエリアREFに駐屯するようになって、老呪術師ライラの髪のセットはより一層凝ったものになっている。
夫のホトキンがエーエージーエスのオーエンの元に去り、気持ちが解放されたんじゃないかと噂されている。
ライラは機嫌よく、小さなフォークをリンゴにプツと刺し、さ、と差し出してくる。
「心配……」
「あいつは大丈夫」
「どうして?」
「考え無しに行動する子じゃない。それよりチョットマ、おまえの方こそ」
ライラが、YMUでのことを蒸し返す。
エリアREFの比較的地表に近い場所で起きた事件のこと。
ンドペキ隊はエリアREFの地理的全容をすでに把握していた。
レイチェルのシェルタ、あるいはその入口がこのどこかに存在するはずだが、その地点を除いて、という意味である。
まず、ゲートは思いのほか多く、最初にチョットマがプリブに連れられて入った出入口以外に、大小合わせて十二箇所あった。
最初に入ったあの出入口が最も広く、いわばメインエントランス。
出入口全てに、ンドペキ隊は呼称をつけていた。
それぞれ元素記号で、メインの出入り口はゲート・コバルト、略してGCOといった具合だ。
それぞれの出入口からの敵の侵攻ルートを想定し、主要な通路やホールや交差路などにも名称を設定してある。
こちらは、エリアREFの人々が呼び習わしてきたサキュバスの庭のように、世界中の古代神や英雄の名などを宛てている。




