85 まるでミイラ
クシの死体。
白い布でぐるぐる巻きにしてあった。
「まるでミイラ」
躊躇することなく、スゥは死体の頭部に釘をあて、玄翁を振り下ろした。
頭骨が割れる音がするが、スゥは構うことなく釘を打ち込んだ。
「単に、死体」
次は両足と見られる位置に五寸釘を打ち付ける。
「本当は腕もするんだけど、これじゃあね」
ミイラ状に巻いてある。
「ここにしておこう」
と、肩の辺りに釘を打ち込んだ。
「さ、終わり。急いで降りましょう」
スゥは、あっさり階段を下りていこうとする。
ンドペキはもう一瞬だけでもと、再び周囲を見渡した。
街の眺望などに興味はない。
このステージや煙突の周りに、目に付くものはないかと。
シェルタの入口に関係する何かがないかと。
「速やかにご移動をお願いします!」
階段室に入るなり、スゥはまた事務的な口調に戻る。
厳しい声に促されて、ンドペキはステージを後にした。
イコマと意識が同期するようになって、こういうときに役に立つ。
電脳に蓄積された画像を後でゆっくり吟味すればいい。
「ここから先、立ち止まることは許されません。誰かが立ち止まれば、私達全員の命はないものとお考えください」
あの横穴をしっかり観察しようと思ったが、その期待は裏切られた。
そのときだ。
おっ。
微かに床が揺れた。
と同時に、低い爆発音が聞こえた。
「何かあったのか」
その場でンドペキは、コリネルスに連絡を入れた。
今、隊員たちは、ごみ焼却場の内部を徹底的に調べているはず。
「追ってこちらから連絡する」
コリネルスの短い返事の後、プリブから連絡が入った。
「ゴミの下に横穴を発見! 燃焼室に空気を供給するための穴と見られます。人が通れます! 引き続き調査を進めます!」
踊り場に差し掛かった。
横穴を見ながら通り過ぎる。
依然として奥の様子は掴めない。
「爆発音は我々のものではない。ただ、ひとつ発見がある」
煙突の内部を調べているコリネルスからの報は、多数の横穴の発見を告げていた。




