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7 自分ができる最善のことをしたかい?

「ねえ、ライラ」

 ライラは、カットしたチーズを温め、色々な野菜を鍋に放り込んでいる。夕飯をご馳走してくれようとしている。


 ライラの厚意に甘えよう。

 今日も。

 隊員はカロリーチップを口に放り込む食事を摂っている。

 自分だけこんなに素敵な夕飯を、しかも素敵な人と一緒に楽しむのは申し訳なかったが。



「ライラが行けないところでも、私、探しに行ってくるから」


 ライラが、ふっと厳しい顔つきになった。

「チョットマ」

「はい」

「自分ができる最善のことをしたかい?」

「えっ」

 そういわれて、チョットマは考え込んだ。


 最善のこと……。



 たちまちライラは微笑を戻し、

「お前はいつまでもチョットマだねえ。ちょっとだけ魔物」

「ライラ……」

「いっそのこと、どでかい魔物なら良かったのにねえ」

「どういう意味……」



 ライラがなにを言おうとしているのか分からなかったが、なんとなく悲しい気持ちがした。


「なにか、私にできること……」

「そうさ。それを考え抜くこと」

「うん……」



「あたしゃね、セオジュンがどうなったのか、それはそれは調べたよ。でも分からない。考えた。でも分からない」

「……」


「きっと、どこかで自分の道を進んでいるんだよ」

「うん……」



 チョットマは、これ以上、ライラにセオジュンのことを聞くべきではない、と悟った。

 いわば育ての親であるライラが、心配していない、気にすることじゃない、と言っているのだ。

 本当はとても寂しいはずなのに。

 悲しいはずなのに。

 たとえセオジュンが自分の進むべき先を見つけて出て行ったとしても。


 たかが数日前に知り合った自分が、とやかく言って、ライラの心を掻き乱す権利はどこにもないのだ……。




「さあ、夕飯ができたよ!」

 ライラの快活な声に、チョットマは滲んだ涙を吹き飛ばすように、「うん!」と応えた。


 そのときだった。

「アンドロ軍、GPT急襲! 戦闘配置につけ!」

「あっ、ライラ、ごめん!」

「行っておいで」

「うん」

「敵は小部隊! 接近中!」


 チョットマは部屋を飛び出した。

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