55 首を突っ込まないで!
「セオジュンは卒業したら政府に勤めることになってるから。だから、そんなことを言ったんだと思った」
ニニが涙を拭い、きっぱりと言った。
「私、その言い方がなんとなく気に食わなかった。だって」
アンジェリナはセオジュンの言葉を聴いて、大きく頷いたという。
「私、そんなこと、考えてみたこともなかった。なのに、アンジェリナは分かってる、というように……」
ただ、セオジュンは将来のことなど、なにも話さなかった。
ニニはそのことも心に引っかかるものを感じたという。
本当は、セオジュンの夢、そんなことを聞きたかったのに。
なんとなく、かすかな疎外感を感じたというのだった。
「そうなの……」
チョットマの口からは、そんな言葉しか出てこなかった。
三人がどんな友情を紡いできたのか、私にはわからない……。
正直に言えば、興味もないかも。
私の心の中にあるのは、セオジュンだけ。
アンジェリナには何度か見かけた程度。レイチェルのSPだから。
親しくもないし……。
と、ニニが挑戦的な目を向けてきた。
そして、その口から出た言葉に、思わず目を剥いた。
「ねえ、チョットマ。これでどう? セオジュンとアンジェリナの行方を捜せる?」
「えっ」
何も応えられないでいると、ニニが唐突に立ち上がった。
「あなたに何が分かるの! あなたのパパに、何が分かるというの!」
「そんな……」
「首を突っ込まないで!」
あっ。
チョットマは生まれて二度目の平手打ちを味わった。
「放っておいて! 私たちのこと!」
そう叫びながら、ニニがまた、たちまち涙声になった。
「ごめんなさい……」
「ニニ……」
「ごめんなさい……」
チョットマは打たれた頬を手で押さえながら、テーブルに溜まっていく、ニニが落とした涙を見つめた。




