54 アンドロの涙
思わず身を乗り出した。
「私はね、ハイスクールには行ってないよ」
ニニが少し朗らかな声を出した。
「アンドロだしね。アンジェリナはメルキトだけど」
ニニはアンジェリナの任務については語らなかった。
自分の役割も。
その代わり、毎日がどんなに楽しかったかを話してくれた。
セオジュンの名が頻繁に出てきた。
私たち三人という言葉も。
セオジュンが、私の誕生日に……。
セオジュンはいつも……。
セオジュンが、私たち二人を……。
私たち三人は、よく……。
そんな話をしながら、ニニがまた涙ぐんだ。
「どうして……」
いなくなってしまったのか。
ニニの涙は次々と零れ落ち、声にならなくなっていった。
「三人いつまでも一緒だって、あんなに……」
そして、嗚咽をあげ始めた。
チョットマは貰い泣きしそうになりながらも、先を促した。
「卒業式の朝、一緒だった?」
ニニは首を横に振った。
「私、準備のために、先に学校に……」
尋問調に聞こえないようにと祈りながら、言葉をかぶせた。
「朝、アンジェリナはいつもと変わりなかった?」
またニニが首を横に振った。
「ううん。朝、起きるといなくて……」
前夜、ニニの発案で三人が集まり、この部屋で小さなパーティをしたという。
いつものようにはしゃいで、色々な話をして。
夜遅く、セオジュンがこう言い出したという。
今は僕たち三人、こうして集まって遊んでいるけど、これからはそれぞれの役割を果たすときが来る。
でも、そうなっても友情は消えない、と。




