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510 いい加減にしろって怒鳴られて
「KC36632に助けてもらってから、少しずつだけど、自分が見えてきたの。それと同時に、周りの人のことが理解できるようになってきた。少しだけだけど」
レイチェルは一拍の間をおいて、宣言するように言った。
「そして、私、もうキャリーじゃないんだって」
そして半ば叫ぶように言った。
「頭の固いオールドミスの、自己中心的な女じゃないんだって」
そして涙ぐんだ。
「キャリーという意識は依然としてあるけど、私、レイチェルなんだって。みんなに囲まれて、ンドペキに、おまえ! いい加減にしろって怒鳴られてなんとなく喜んでる、そんな女の子、レイチェルなんだって」
「変なこと言うなよ。誤解の元だろ」
ンドペキは冗談めかして、レイチェルをたしなめる振りをした。
レイチェルの息は明らかに上がっていた。
肩で息をしている。
一息つかせてやりたかった。
込み上げてくる涙をこらえさせてやりたかった。
「いいじゃない、もう。わたし、振られたんだから」
「また、そんな」
レイチェルの笑った頬に涙が一筋流れた。
「最後に一言、いい?」
「身体のこと考えて、手短に。最少の言葉でな」




