43 物騒な話
「僕は」
アビタットが話そうとしている。
しかし、そう言ったきり、なかなか言葉が出てこない。
ようやく発した言葉は、行かなくちゃいけないような気がして、というあいまいなものだった。
「ロア・サントノーレに知り合いがいるはずで……」
言いにくそうだ。
「そいつに用がある、ということなんだけど……」
アビタットの用件。
こちらも人探し。
どうでもいいこと。関係ない。
疑念があるのは、サブリナの方だ。
セカセッカスキがニューキーツに向かってくれるという、先ほどの自信に満ちた顔。
会いたい人を忘れたことがないというのなら、なぜもっと早くに。
なぜ今になって。
そんな疑問も、食後のデザートのようなもの。
眠りにつく前の儀式。
どうでもいいこと。
「そいつは……」
アビタットが話している。
サブリナが真剣な顔をして、少年の話を聞いている。
スジーウォンはふと思った。
サブリナとセカセッカスキの間で、ある程度の話はできていたのではないか。
店での話ぶりでは初対面とは思えない。
カイラルーシ長官ジュリエットとセカセッカスキ。どんな関係が。
サブリナは何を知って……。
「そいつを殺さなくちゃいけない」
アビタットの言葉に、スジーウォンは我に返った。
「殺す?」
「ああ。そんな気が……」
「物騒な話ね」
「まあね!」
アビタットがはじけるように笑った。




