37 誰かを好きになるとは
イコマと同期するようになって、思い出したことがある。
六百年も前のこと。
イコマ、つまり生駒延治であった自分に、JP01つまりユウ、三条優が言ったこと。
知り合ってすぐの頃。
大阪、天王寺の知り合いのバーで。
誰かに「好き」という感情を持ったら、その人のことを知りたくなる。
そして次に、自分のことを知って欲しくなる。
この言葉を思い出してからというもの、ンドペキは自分の心に大きな変化が起きたことを知った。
自分だけではない。
隊員たちにも。
あの日、荒地の窪地で、ヘッダーを取り、マスクさえ取り、互いに素顔を見せあってからというもの。
互いの生の声を聴き、素手で相手の肌に触れてからというもの。
瞳の奥を覗き込みあってからというもの。
「心」を見せ合うことの心地良さを。
たとえそれが、おずおずとした遠慮がちなものであったとしても。
心の襞の奥深くに隠されたものを、その輪郭だけを、垣間見るだけのことであっても。
自然な感情。
誰かを好きになる。
誰かに好かれたい……。
そして、この思いを伝えたい……。
そんな当たり前のことを……。
ハクシュウ、スジーウォン、コリネルス、パキトポーク、チョットマ、プリブ、スミソ、シルバック……。
彼らの心に生じた心地良い風が……。
肌で感じられるように……。
「敵襲! GZN!」
「ちっ。ちょこまか出てきやがって!」
パキトポークが、はじかれたように立ち上がった。




