表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
36/518

36 相手に対してはもちろん、夜のしじまにさえ

「スジーから、連絡はないか?」


 今朝、出立したばかり。

 あろうはずがない。


「俺には、どうも信じられないんだがな。地球の破滅なんて」

 パキトポークが呟いたが、それはンドペキ自身とて同じこと。



 昨夜、ンドペキは、前のめりになるスジーウォンに折れる形で、ロア・サントノーレ行きを指示したのだった。


 ハクシュウとの合流が意図されている。

 それがスジーウォンを突き動かしたのだろう。


 今、コリネルスやロクモンは表情を消している。

 パキトポークは天井を睨んで考え込んでいた。

 その瞳には、明らかに苛立ちの色がある。

 そして、口から漏れた言葉は、くそう。



 ふわりと忍び寄ってくるさまざまな記憶。

 小さな小さな出来事や些細な言葉の数々。

 ンドペキは、心の中に小波が立つのを感じた。


 もしや。


 スジーウォンはハクシュウに、パキトポークはスジーウォンに……。

 それぞれの想いを……。


 これまでの平凡な日常では、そんな想いが煮詰まることはなかった。

 己の気持ちを投げかけることもなかっただろう。

 相手に対してはもちろん、夜のしじまにさえ。


 マトやメルキトにとって、人を愛することなど、もうとうの昔に忘れてしまった感情……。



 しかし今、死ぬかもしれない、再生されない死が目の前にある、そんな状況になって、どんな感情が頭をもたげてきたとしても不思議はない。


 そして、ンドペキ自身がスゥに出会って感じたように、人を愛することの切なさと心地よさを思い出したとしても。

 しかも、まさに今、ンドペキとスゥは、誰はばかることなく、愛する者同士として隊員達の前にいる。


 そしてレイチェルがサリやチョットマに求めたこと……。

 それらが、スジーウォンやパキトポークに何の影響も与えていないはずがなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ