17 囮の可能性あり!
隊はすでに、ホトキンの間を放棄していた。
最前線として監視カメラやセンサーなどは設置してあるが、百名余りでこのエリアREFからスゥの洞窟まですべてをカバーすることはできなかった。
物資や人材はすべて、すでにエリアREFに集結してある。
チョットマは、あのコウモリ男の前を過ぎ、細い鉄橋を渡り、俊足を飛ばしていることだろう。
エリア内で、敵の攻撃から最も安全と考えられているのが、プリブの部屋の先にある前線基地、通称GFE。鉄のゲート。
ホトキンが仕掛けていた謎かけに由来した名。
スゥの洞窟あるいはホトキンの間から襲来する敵を事前に把握しやすい点で、安全だとはいえるが、守りに弱点がある。
防御基地としての足がかりに弱いのだ。
しかも、撤退時にあの細い鉄橋を渡ることになる。
「重火器はない模様!」
「ゲートに集中! 迎え撃つ!」
「視認! 敵数、三!」
「ゲートから出るな! 確実にものにする!」
「ひきつけろ!」
わずか三名!
これまでにも急襲を受けたが、これほど少ない数は初めてだった。
いやな予感がする。
「他のゲート! 警戒を怠るな! 相手は少数! 囮の可能性あり!」
わずか三名でも、敵が接近しつつあるときは緊張で気分が悪くなる。
スキャンを飛ばした隊員から、重火器を保持していない模様と報告されてはいる。
しかし、万一小型のエネルギー弾でも保持しておれば、バリケードや建物の外壁は吹き飛んでしまい、ゲートは大口を開けることになるだろう。
瓦礫に埋もれ、土埃と炎が舞う中で、広がった入口を数名で守るのは難しい。
隣接のゲートから隊員を急行させるOポジションに移行するタイミングが難しい。
イコマはンドペキの意識として、急接近しつつある敵の部隊を凝視した。
後、二秒ほどで双方射程距離内に入る。
これまでの経験で、アンドロ軍は遠距離攻撃は仕掛けてこないことが分かっていた。
必ず、一般的な近接戦の効率的射程といわれる三百メートル前後から攻撃を仕掛けてきている。
街の破壊や市民の犠牲を最小限にするためか、他の理由があるのか分からなかったが、今回もその例に漏れないようだ。
「迎撃用意!」




