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17 ライラの伝言

 数日前、ライラが訪ねて来た。

 自分はメッセンジャーだと言いながら。


 ライラの話は奇妙な話だったし、迷惑な話でもあった。

 市長。

 そんな人物がこの街にいるという。初耳だった。


「ブロンバーグという男がいる。この街の市長さ」

 ライラはこう、話を切り出した。

「あんた達、カイロスってのを知ってるかい?」



 カイロス。

 エリアREFを治めている大蛇を崇めている団体らしい。

「あたしゃ、宗教なんて信じないよ。大蛇教であってもなんでもね。カイロスってのは、本当はある使命を帯びた連中。宗教団体めいた雰囲気は、カムフラージュなのさ」



 ある使命とは。

 地球滅亡を阻止すること。



「寝ぼけたことを言うな、って顔だね。そりゃそうだろうさ。でもねえ」

 ライラは真顔だった。

「あたしゃ、あながち嘘でもないと思うんだよ」




 ライラの夫、科学者ホトキンが、地球滅亡の日が近いことを話してくれたという。

 その理由も。


 かなり以前から指摘はされていた。で、ある種の装置が極秘裏に作られたって言うんだよ。

 地球滅亡、いや人類滅亡だね、を回避するための装置がね。

 ゲントウという男によって。

 そいつは、オーエンの昔の右腕。


 しかし、時が経ち、その装置が持つ本質の解釈に、変化が生じた。

 カイロスは二つの派閥に分かれたのさ。百年ほど前に。

 ひとつはここニューキーツ。もうひとつはロア・サントノーレという街に。

 その装置を発動させまいとする一派が、ニューキーツからロア・サントノーレに逃れ住んだというのが実態らしい。



「でさ、市長の頼みはこうさ」


 いよいよその時が近い。いつ何時、装置を発動させるべき日が来るやもしれぬ。


「市長はカイロスなんだよ。で、言い伝えを信じている」


 言い伝えにはこうある。




ーーーーー 若草色の髪を持つ女が、カイロスの珠を開くであろう




「カイロスの珠を開く道具、相手は「珠」なんだから、たぶん「剣」みたいなものなんだろう」


 それを取り返して欲しいと言うのさ。

 ロア・サントノーレにあるらしい。

 市長は、ゲントウの装置を発動させるアイテムを揃えておきたいんだろうよ。


「ブロンバーグ市長は焦っているのさ。地球人類を救うのは、ここニューキーツ。自分が何とかしなくては、とね」



 ライラは、言い伝えを繰り返し口にした。

 若草色の髪を持つ女が、カイロスの珠を開くであろう。


「つまりは、何かが作動し、放出されるエネルギーかなにかによって地球は救われる、らしい」



 そして、ライラはンドペキをじっと見つめたのだった。


「で、ンドペキ」


 言われなくても分かっていた。

 緑色の髪を持つ女性が現れたことによって、その日が近いと市長は考えたのだ。


 さすがにライラは、チョットマだとは言わなかった。

 だが、

「クシっていう男も、見かけるしね」と口にしたのだった。

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