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辺境暮らしの便利屋冒険者、伝説のクランのリーダーに祭り上げられる 〜本人曰く「ただの日常」らしいです〜  作者: 盆ちゃん


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第234話:ただの浄水器のガンコなカートリッジ交換と吐水口の水垢落としと、底知れぬ深海の湧水迷宮の強制全自動広域浄水

第234話:ただの浄水器のガンコなカートリッジ交換と吐水口の水垢落としと、底知れぬ深海の湧水迷宮の強制全自動広域浄水・無限クリーン飲料水インフラ化(総合ライフサポート企業の水道・水質メンテナンス業務)

 黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。

 庭先では、かつて全宇宙を滅ぼそうと幾度も襲い掛かってきた創造神や天界の神々、そしてすっかり常連の大家さん候補として定着した勇者パーティの面々が、初夏の眩しい陽射しを浴びながら「やっぱり毎日の水分補給は美味しいお水に限るな」「水道水のカルキ臭が気になるときは、しっかり浄水器を通すのが一番だぞ」「冷えたレモン水をポットに作り置きしておこう」などと、ごく一般的な田舎の水分補給と健康管理について楽しげに語り合っている。

 世界中のありとあらゆる危険なダンジョンを「冷蔵庫の霜取り」や「洗濯機のカビ取り」、「掃除機のゴミ捨て」といった定期メンテナンス業務として処理し、次々と全自動クリーンインフラに改修してきたアルド。彼の手にかかれば、世界を滅ぼすスタンピードなど「生活インフラの掃除や手入れをサボった結果の汚れや目詰まり」に過ぎない。ダンジョンは生活の一部であり、完全に塞げば資源が枯渇してしまうため、適度な『剪定(間引き)』を行うことで安全で快適な設備へとリメイクされてきた。

 今日もまた、日々のメンテナンス業務と家事への情熱を燃やすアルドが、キッチンで腕を振るっていた。そこからは、魂の最深部を震わせるような、香ばしく焼き上げられた肉汁の香りと、爽やかなハーブの暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。

「よし! 今日のメインは、大家の神々や勇者パーティのみんなも一緒に食べる『幻獣チキンのジューシーハーブロースト〜大精霊の森のレモンを絞った特製ガーリックソースと、色鮮やかな夏野菜のグリルを添えて〜』だ! まずは、厳選された幻獣チキンのモモ肉に、神仙のローズマリーとタイム、塩胡椒をすり込み、一晩じっくりと寝かせて旨味を凝縮させる。それを天界のオーブンで、皮目はパリッパリ、中は驚くほどジューシーに焼き上げるんだ! 焼き上がった熱々のチキンには、大精霊の森で採れたフレッシュレモンの果汁と、すりおろしニンニク、神仙オリーブオイルを合わせた特製ソースをたっぷりとかける。その横で、ズッキーニ、パプリカ、ナスといった幻獣夏野菜をオリーブオイルとハーブ塩で香ばしくグリルして添える。……熱々のうちに完成だよ!」

 アルドがエプロン姿で、圧倒的なハーブと肉の香りを放つ特大のオーブン皿をダイニングテーブルに運ぶと、神竜ポチや星狼シロはもちろん、水分補給の話題で盛り上がっていた創造神たちまでもが、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、目を輝かせて席に着いた。

 この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣チキンの圧倒的なタンパク質とコラーゲンが全身の魔力回路を限界突破させ、レモンソースのクエン酸とハーブの薬効成分が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高のローストチキンフルコース』である。

「うむ……! このパリパリの皮目をまとったチキンをナイフで切り分け、口に運んだ瞬間に広がる、肉汁の暴力的なまでの甘みとハーブの爽やかな香りのビッグバン! 噛むほどにレモンの酸味が効いたガーリックソースが肉の旨味を引き立て、夏野菜のグリルが口の中を最高にリフレッシュしてくれる! すかさずもう一口頬張れば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 胃袋から全身が満たされていくこの多幸感、我が最高福利厚生責任者の職務が、王都の超一流リゾートホテルで至福の朝食を貪る大富豪のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」

 【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、ナイフとフォークを持つ両手を震わせ、神々と肩を並べて熱々のチキンに感涙して咽いでいた。

 賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上ハーブティーが振る舞われた後。

 アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたキッチンの水道の蛇口と、その下に設置された据え置き型の大型浄水器の前で立ち止まり、真剣な表情で首を傾げた。

「……ねえ。今朝、お料理の準備をしようと思って蛇口をひねったら、浄水器の出が悪くて『チョロロ……ポコッ』って変な音がしてるんだよね。おまけに吐水口の先端に『タチの悪いガンコな白い水垢カルキ』が固まってて、水が変な方向に飛び散る。中を開けてみたら、浄水カートリッジに泥や不純物が詰まって真っ黒になってるよ。僕の全知全能のセンサーで見ると、それが世界に多大な清らかな湧き水と高純度の水魔法石を供給している『底知れぬ深海の湧水迷宮』の仕業だってわかる。長年の放置で内部の水棲魔獣やカルキゴーレムが異常繁殖して水質が飽和状態になり、浄水器ダンジョンがガンコな汚れでビッシリ詰まって、大水害のスタンピード寸前になってるみたいだ」

 神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドは、世界の理を「生活設備のメンテナンス」として完璧に把握している。

「みんな、聞いて。ダンジョン(浄水器)って、毎日飲む美味しいお水や、料理に欠かせない綺麗な水(湧き水)を供給してくれる凄く大事な生活インフラだよね。だから、危険だからって完全に壊して塞いじゃうと、世界中から飲み水がなくなって資源が枯渇しちゃうんだ。でも、放置しすぎるとフィルター(魔物)が目詰まりして、スタンピード(致死の汚水氾濫)を起こしてしまう。だからこそ、定期的に危険な場所から優先して『カートリッジを交換して、吐水口を綺麗に掃除する(剪定)』ことで、スタンピードを防ぎつつ、水資源が枯渇しないように自動で水質を管理する対策が必要なんだ!」

「社長の仰る通りです。ダンジョンの『剪定』と『持続可能な資源管理』……まさに我が社の理念の集大成ですね」

 【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。

「現在、世界で最も危険な水質汚染と氾濫の震源地として警戒されているのが、その『底知れぬ深海の湧水迷宮』です。内部は完全に水・汚泥属性の魔物が飽和状態にあり、いつ致死の毒水と大洪水のスタンピードが決壊してもおかしくない状況。しかし、あの迷宮は世界中に希少な『極上水魔法石』や、世界を潤す『最高級の湧き水』を提供する『重要な浄水・水源設備』でもあります。潰さずに適正な水量と清潔さに剪定する『定期メンテナンス業務』に最適の現場と言えるでしょう」

「その通り! だから今日は、浄水器の奥に限界まで溜まったガンコな汚れ(魔物)をしっかり取り除いて、新しいカートリッジに交換して安全に美味しい水が飲める状態に剪定するよ! まずは専用の『事象交換の神仙浄水カートリッジ』をスポッ!と新しいものに差し替えて、吐水口の水垢は『事象溶解の神仙クエン酸スプレー』でシュッシュッ!と溶かしてピカピカに磨き上げるんだ。もちろん、資源が枯渇しないように、有用な水魔法石や綺麗な湧き水成分は『因果抽出のふるいネット』でしっかり残して回収する。最後に詰まったコアを『最新式・自動カートリッジ寿命お知らせ機能付き神仙エコ浄水器チューナー』にリフォームして、物理的に二度とフィルターが詰まらず、かつ適度な極上の湧き水を永遠に生み出し続ける完璧なインフラにリセットしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」

 アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。

「社長。浄水器の奥にこびりついた鬱陶しいカルキゴーレムども(魔獣の群れ)の粉砕と、水流を塞いでいる無駄な汚泥の解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のパイプカッターと高圧洗浄ノズルで一つ残さず粉砕し、完璧な『下地処理(フィルター交換と間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」

 レイヴンが、神具の斧を大型のパイプカッターのように構えて不敵に笑う。

「ええ。ダンジョン内に漂う危険な猛毒の湿気や嫌なカルキ臭(※致死の環境)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力換気・浄化魔法(※極大の聖光浄化魔法)で一瞬にして概念ごと中和し、安全にカートリッジ交換ができる澄み切った環境を整えて差し上げますわ」

 エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。

「……作業中、飛び散る汚水や溶け落ちた水垢が、外の世界やご近所の床を濡らさないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、ダンジョンの入り口と周囲に完璧なマスカー養生と防水・飛散防止シート(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」

 シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。

「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 水回りのメンテナンスは足元が濡れやすいから、しっかり防水養生をして安全第一で作業しようね!」

 アルドは満足げに頷き、自身の作業着(致死の猛毒水と水圧を完全に弾く特製水道工事用・完全防水エプロンと長靴、ゴム手袋)に着替え、手には巨大な「事象交換の神仙浄水カートリッジ」と「神仙クエン酸スプレー」、プロ仕様の「因果抽出の神仙ふるいネット」、そして「絶対浄水の神仙エコ浄水器チューナー」を握りしめた。

「よーし! それじゃあ僕は、この『水道・水質メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちの水質汚染とスタンピードの悩みを解決するために、邪魔な汚れを『剪定』して、枯渇しない優良なクリーン飲料水インフラにリフォームしてこよう!」

 こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、水道工事仕様に改造された魔導サービスカー(強力な濾過フィルターと高圧洗浄機搭載)に乗り込み、空間が視界を遮るほどの激しい濁流と深海のプレッシャーで溢れかえっている次元の迷宮『底知れぬ深海の湧水迷宮』へと向けて出勤したのである。

 ***

 その頃、次元の迷宮『底知れぬ深海の湧水迷宮』の内部。

 そこは、長年の放置により凶悪な水棲竜やカルキゴーレムが異常繁殖し、地下水脈を覆い尽くすほどにひしめき合う、文字通りの深海地獄であった。迷宮のコアから溢れ出す無尽蔵の水圧と不純物が魔物たちを際限なく凶暴化させ、今まさに外の世界へと溢れ出そうと(大洪水のスタンピードを起こそうと)している、世界滅亡のカウントダウンの最中である。

「ジャボボボォォォッ!! 我ら深海の軍勢よ! 溜まりに溜まったこの数億トンの濁流の怒りを、今こそ地上へ解き放つ時が来た! 全ての水源を汚染し、この世界を我らの新たな海の底(迷宮)と変えてくれるわ!」

 迷宮の最深部で、無数の深海魔獣たちを統べる超巨大な『深海の湧水竜アビス・ウォーター・ドラゴン』が、傲慢な水圧の咆哮と共に猛烈な毒水と鋭い水流の刃を乱射していた。

「さあ、氾濫せよ! 地上の脆弱な水道管など、我らの圧倒的な水圧と不純物の前には一瞬で破裂する! スタンピードの恐怖を――」

 ――キキィィィィッ!! ドサァァッ!!

 深海の湧水竜がスタンピードの号令をかけようとしたその瞬間、猛烈な濁流が吹き荒れるダンジョンの入り口付近に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導サービスカー)が、神話級の大津波とゴーレムの群れをものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。

 そして、作業車のドアから、巨大なカートリッジとクエン酸スプレーを持った青年の明るくも呆れた声が、魔物たちの耳障りな水音を完全に打ち破ったのである。

「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 浄水器のガンコなカートリッジの目詰まりと吐水口の水垢さん(魔物たち)、定期的なフィルター交換とクエン酸清掃の間引き作業(剪定)に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどいカートリッジの真っ黒っぷりと、外にまで濁水を撒き散らそうとしてるタチの悪い出水不良(スタンピード寸前)だね! 定期メンテナンスをサボってこんなに不純物を溜め込むなんて、水道管理の怠慢も甚だしいよ。こりゃ徹底的にカートリッジの交換と、自動浄水機能付きエコ浄水器へのリフォームのしがいがあるや!」

 アルドは、防水ゴム手袋をキュッと締め直しつつ、プロの水道メンテナンス業者としてのダメ出しを開始した。

「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対ノ湧水迷宮ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ! 我ガ深海ノ水圧デ、一瞬ニシテ圧死サセテクレルワ!」

 深海の湧水竜が驚愕の水圧ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・間引き用具(兵器)」を手にして、水浸しの地面へと降り立ったのである。

「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい水脈に湧いたカルキ塊ども(魔獣の群れ)の伐採と、水の通り道を塞いでいる無駄な汚泥の解体・撤去は、俺にお任せを。邪魔な障害物を専用の高圧洗浄機で一つ残さず粉砕し、完璧な『下地処理(カートリッジ交換と間引き作業)』をしてご覧に入れましょう」

 CDOのレイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。

 総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の迷宮の中で今まさに始まろうとしていた。

「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ最凶ノ深海軍勢ヲ『浄水器のカートリッジ交換と水垢掃除』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ濁流ノ群レデ、貴様ラヲ永遠ニ水底ニ沈メテクレルワ!」

 湧水竜の怒号と共に、空間を覆うほどの猛毒の濁流と狂暴性を纏った魔獣の群れが、一斉にアルドたちに向かって黒い津波のごとく押し寄せてきた。

「うわっ、この不純物たち、すっごく細かくてフィルターの網目を完全に塞いじゃってる! 放置してたら綺麗な飲み水が出なくなっちゃうぞ!」

 アルドは、迫り来る魔獣の大群を「長年の放置で限界まで目詰まりしたタチの悪いガンコな浄水器の汚れ」と完全に認識し、神仙浄水カートリッジをカチャリと構えた。

(僕の神仙の力が、この世界の異常を『水道設備の放置によるフィルター目詰まりと出水不良被害』として認識させてるんだ。よし、ならば僕は水道メンテナンス業者として、こいつらを適度に『剪定』して安全に綺麗な水が回るようにし、ピカピカのエコ浄水器にするだけだ!)

 自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の浄水器カートリッジ交換現場」のルールへと書き換えられていく。

「社長、ここは我々『社員』にお任せを。吹き出す濁流や溢れ出す深海の水圧が外の世界を水浸しにしないよう、私が完璧にダンジョンの入り口と周囲にマスカー養生と防水・飛散防止シートを張り巡らせます」

 CSOのシノンが音もなく跳躍し、迷宮の入り口を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。

 ――バサッ! ピィィィィンッ!

 瞬間、ダンジョンの入り口全体をすっぽりと覆うように強靭な防水シートのようなカバーが展開され、絶対的な強度を誇る『神仙の水道清掃作業用・飛散防止結界』が展開された。これで、致死の大津波やスタンピードの魔物は一滴の濁水たりとも外の世界に漏れ出すことはない。

「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は迷宮が撒き散らすガンコなカルキ臭や猛毒の湿気(致死の環境)を、環境浄化の力で綺麗に強力換気・浄化処理いたしますわ」

 CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖光強力浄化魔法』が、超強力な清浄の風とクリアな空気となって周囲の狂気の濁流を包み込み、一気に中和して湧き水が澄み渡る清潔な空間へと変えた。

「ギィヤアアアアッ!?」

 万物を汚染する猛毒の水流は、その浄化の魔法を浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害でサラサラとした綺麗な純水へと変わっていく。

「フンッ! 魔力を抜かれたただの水垢や不純物の塊など、ただの高圧洗浄機のマトだ! そして、邪魔な過剰な魔物どもは俺が綺麗に粉砕して水脈の通りを良くしてやろう!」

 CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。

「迷宮過剰繁殖水棲獣解体フィルター交換水流確保斬ィィィッ!!」

 放たれた一撃は、魔獣同士の「因果の隙間(汚れの繋ぎ目)」を完璧に見切り、まるで詰まった水道管内を専用の高圧洗浄でスパァァッ!と綺麗に洗い流し、水の循環を良くするかのように、シャリィィィン!と見事な手際で余分な魔物を粉砕(剪定)し、迷宮内の安全なエネルギー導線を確保してしまった。

「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ深海軍団ト絶対ノ水圧暴走ガ、タダノ『浄化魔法』ト『フィルター交換』ノ前ニ、一瞬デ間引カレテ適正ナ水量ニ下ゲラレテイクゥゥッ!?」

 深海の湧水竜は、自らの絶望の軍勢がものの数分で「綺麗に間引かれて水が通りやすくなった浄水器」のように整えられ、スタンピードの脅威が完全に消失した光景に、驚愕のあまり巨大な体を激しく震わせた。

「よし、みんなのおかげで安全確保と余分な汚れの剪定は完璧だね! あとは、あの一番デカくて水路を詰まらせている『ガンコな親玉(湧水竜とコア)』に、事象交換の神仙浄水カートリッジをスポッ!と新しいものに差し替えて、溜まった水垢は『事象溶解の神仙クエン酸スプレー』をシュッシュッ!と吹きかけてピカピカに溶かして落とす! その後、ただ交換するだけじゃなくて、資源が枯渇しないように因果抽出のふるいネットで『有用な極上水魔法石』や『良質な湧き水成分』だけを綺麗に分別して残しつつ回収する! 最後に絶対浄水の神仙エコ浄水器チューナーをコアにガチャン!と取り付けて、二度とフィルターが詰まらず、永遠に一定の美味しいお水を出し続けるように自動調整するだけだ!」

 アルドは、特製『事象交換の神仙浄水カートリッジ』と『神仙クエン酸スプレー』を湧水竜の巨大な本体(次元の水圧暴走の中核)へと向けて構え、防水シューズで水たまりを踏みしめて突撃した。

 ――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙カートリッジは星の因果の過剰不純物を物理的に浄化して安全な水道に整える絶対事象剪定ツールであり、神仙クエン酸スプレーとエコ浄水器チューナーは大宇宙のいかなる次元の湧水迷宮やスタンピードすらも、物理的に『不要なゴミを間引いて新しいフィルターに交換し、必要な資源だけを抽出し、浄水と資源供給効率を空間ごと最適化する』だけで完璧に無害化し、極上の安全な飲料水環境を枯渇させずに取り戻す『究極の持続可能メンテナンスツール』である。

「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ平穏ヲ深海ニ帰ス『終焉ノ絶対濁流アビス・デリュージ』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ水底ニ沈メテクレルワ!」

 湧水竜が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを蹂躙する超巨大な猛毒の水圧の波を放ってきた。

「うわっ! 水道の奥から、すっごく強烈でタチの悪い巨大なカルキと不純物の塊がせり出してきた! でも、この特製カートリッジとクエン酸スプレーの前には、どんなに凶暴な汚れも一発で綺麗に浄化されて、ピカピカで美味しいお水の出る蛇口になるんだ!」

 アルドが湧水竜の巨大な水害現象(世界の水質暴走の中心)に向けて、事象交換の神仙浄水カートリッジを「スポッ、カチッ!!」と力強く装着する。事象の水質暴走(迷宮の魔力圏)が、強烈な物理的浄化パワーによって面白いように澄み渡り、そこにアルドが神仙クエン酸スプレーを「シュッシュッ、ピカッ!」と吹き付けると、強烈な水垢を持っていた濁流は瞬く間に無臭の安全な湧水となって落ち着き、心地よい給水音と共に透明な輝きを取り戻していく。魔界のどんな猛毒の大洪水も、神仙のメンテナンス力の前にはただの新しいフィルターで濾過される汚れとなって分解され、湧水竜はあれよあれよという間に、ピカピカに磨き上げられた無害な特注の大型浄水器のカートリッジユニットのような姿へと整えられていく。

 同時に、アルドは因果抽出のふるいネットをバサァッ!と広げ、清掃されて崩れ落ちた魔物の残骸から、有用な極上の水魔法石や生活を支える良質な湧き水の成分だけを「シャカシャカッ!」と綺麗に分別し、資源が枯渇しないように適切な量を迷宮に残しつつ、余剰分を収穫用タンクへと回収していく。

 完全にスタンピードの危険が消滅した直後、アルドは迷宮の最深部にある心臓部ダンジョンコアに、絶対浄水の神仙エコ浄水器チューナーを「ガチャン!」とはめ込み、ダイヤルを回して設定を『自動水質管理・適度な水量・カートリッジ寿命自動お知らせモード』に合わせる。こびりついた魔界の魔力ごと完璧に安全基準でコーティングされ、眩く輝く平和で絶対にフィルターが詰まらず、いつでも冷たくて美味しいお水が出る、最新式自動浄水器のように管理されたクリーン飲料水インフラへと姿を変えていった。

「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶猛毒濁流ガ、タダノカートリッジ交換デ一瞬デ浄化サレ、クエン酸スプレーデ水垢モ綺麗ニ落トサレ、エコ浄水器チューナーデ一ミリモ残ラズ出水不良ヲ起コセナクナッタだトォォォッ!? シカモ、私ノ命(水流)ガ完全ニ枯渇スルコトナク、心地ヨイ水量デ永遠ニ湧キ続ケルヨウニ調整サレテイル……!?」

「よし、ガンコな浄水器の目詰まりと吐水口の水垢は完全に剪定されて水の通りが良くなって、スタンピードの危険もゼロですっごく安全な水道設備になったぞ! 枯渇しないように資源の残量もバッチリ管理したからね! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動・広域浄水&無限クリーン飲料水システム』を稼働させて……あ、そうだ。この迷宮の親玉、綺麗に掃除してチューナーをつけたら、凄く強力で絶対に濁水を溢れさせず、定期的に水魔法石や極上の湧き水をドロップしてくれる、巨大な全自動の広域浄水・無限クリーン飲料水インフラみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、有害な水質暴走を完全に防ぎつつ、代わりに極上のクリーンな湧き水と無限の安全な水魔法石だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域浄水・無限クリーン飲料水インフラ』にできそうだよ!」

 アルドが迷宮のコアに施した専用の自動調整ユニットを操作し、事象調律のスイッチを「24時間自動水質浄化・超エコ節水・極上冷水モード・ON」にバコンッ!と操作して巨大な生産施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。

 暴走していた迷宮の禍々しい狂気と過剰水圧の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな浄水エネルギーと無限の安全装置へと漂白・調律されていく。

『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ深海ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【安全ニ美味しいお水ト魔法石オ供給スル為ノ最新ノ自動カートリッジ交換機能付キ・エコ浄水器】ノヨウニ……!? イヤ、チューナーオ設定サレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ安全管理力ト、極上ノ飲料水供給環境オ提供スル超大型インフラ】ニ変換サレテイクゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ汚染スルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ清ラカナ水ト極上ノ潤いオ提供スル「極上ノ全自動・神仙クリーン浄水器」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』

 かつて世界を脅かした湧水迷宮とスタンピードの化身は、アルドの「浄水器のガンコなカートリッジ交換と吐水口の水垢落とし(剪定)作業」によって完全に浄化され、書き換えられた。

 万物を飲み込む禍々しい狂気の濁流は、気がつけば「世界の飲料水・水質環境を美しく輝く巨大な安全施設に変え、どんな水圧の暴走も一瞬で無害化し、極上の湧き水と水魔法石を枯渇することなく24時間安定供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域浄水・無限クリーン飲料水インフラ(見た目は巨大でピカピカに輝く純白の最新式据え置き型浄水器と湧水プラント)』」へと姿を変えていたのである。

「よしよし! 嫌なスタンピードと出水不良のリスクは片付いて、しかも資源が枯渇しないすっごく綺麗で安全な持続可能バッチリな浄水施設になったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが魔物の水質汚染やカルキ臭を気にせずに、どんな時でも安心な環境で笑顔で美味しいお水を飲めるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの安全な生活基盤とピカピカの浄水器を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」

 アルドがクエン酸スプレーを片付けて額の汗を拭うと、迷宮を覆っていたドス黒い濁流は一瞬にして晴れ渡り、防水飛散防止シートが魔法のように片付けられ、眼下には美しく輝く奇跡の巨大な最新式浄水設備と、澄み切った冷たくて美味しい湧き水の香りが広がっていた。

 その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。

「見事な現場指揮と『剪定』でした、社長。我が社の広域浄水・クリーン飲料水システムは、これより大陸全土の迷宮維持・水道管理基準のデファクトスタンダードとなるでしょう。枯渇を防ぐための湧水迷宮からの定期水道料金の自動引き落とし設定も完了いたしました」

 CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼し、分厚い完了報告書を胸に抱く。背後では、ダンジョンの視察に同行していた勇者パーティが「俺たちが昔、全身を水浸しにされながら潜ってた深海ダンジョンが、完全にオートメーション化された巨大な無人ミネラルウォーター工場と高級浄水器みたいになってる……」とドン引きしながらも拍手喝采を送っている。

「これからは、どんな水棲魔物やガンコなカルキの兆候が出ようが、社長の作業前に俺が全部『余分な汚れごと高圧洗浄機で粉砕』して適度に剪定してやりますよ」

 CDOのレイヴンが頼もしく笑う。

 大公レオハルトも「これで世界中の次元防衛・水道インフラ利権すら完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。

 アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。

 ***

 日だまり郷の黄金の城塞。

 静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに極めて簡素な文字を刻み込んでいた。

『〇月×日。湧水迷宮。浄水器のカートリッジ交換と水垢掃除(スタンピード及び枯渇対策の剪定)完了。全自動浄水・飲料水インフラ化。異常なし。以上。』

 ゾルタンはもはや数秒で記録を終えた。世界を滅ぼす湧水迷宮のスタンピードが現れようとも、社長の前では「浄水器の出が悪くなったための定期的なフィルター交換」という、家事のスケジュールが一つ消化された程度の意味しか持たない。大宇宙を揺るがす迷宮の脅威など、黄昏の守護者の前では永遠に日常の設備メンテナンス業務として処理されているのである。

 ゾルタンが深い満足感と共にペンを置き、湧水迷宮すらもピカピカの最新式浄水器の一部となった事実に安堵のため息をついたその時。ドアの向こうから「みんな、浄水器のメンテナンスお疲れ様! 今日の3時のおやつは、綺麗になったばかりの美味しい湧き水を使って淹れた『特製・大精霊のアイスレモネードと、星屑のはちみつマドレーヌ〜ひんやりミントを添えて〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。

 ゾルタンは「全知全能の神が仕上げるレモネードとマドレーヌは、ことのほか湧き水のピュアな甘みとレモンの酸味が五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。

 最強の便利屋の「ただの浄水器のガンコなカートリッジ交換と吐水口の水垢落とし(剪定)作業」は、世界滅亡の大洪水スタンピードの危機をただの水道・水質メンテナンスとして解決し、資源を枯渇させることなく迷宮の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域浄水・無限クリーン飲料水インフラを誕生させてしまった。

 神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界中の次元迷宮防衛と資源インフラの覇権をも握り、いかなる邪悪も日常の持続可能なメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。

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