第177話:ただの給湯器の追い炊き・配管洗浄と、氷結の死界魔竜の強制全自動広域給湯・熱流循環インフラ化(総合ライフサポート企業の給湯・熱源メンテナンス業務)
第177話:ただの給湯器の追い炊き・配管洗浄と、氷結の死界魔竜の強制全自動広域給湯・熱流循環インフラ化(総合ライフサポート企業の給湯・熱源メンテナンス業務)
黄金の城塞『日だまり郷』の朝。そこは、大宇宙の根源たる神仙へと完全覚醒したアルドが、あえて「ただの便利屋」としての日々を選択し固定したことで、もはや何者にも侵し得ぬ絶対的な聖域と化していた。
キッチンからは、魂の最深部を震わせるような、極上の脂と出汁が極限まで合体した芳醇な香りと、甘辛い割り下が鉄鍋の上でフツフツと泡立つ暴力的なまでの匂いが漂い、城塞の廊下を満たしていく。
「よし! 今日のメインは、大精霊の清冽な霊峰で育った『幻獣鴨の極厚抱き身と世界樹の極太白ネギの特製鴨スキ焼き〜天界卵のトロトロ黄金生卵添え〜』だ。まずは幻獣鴨の最も脂が乗った胸肉(抱き身)を、旨味を逃さないよう極厚の斜め切りにする。そこに、甘みが極限まで詰まった世界樹の極太白ネギを豪快にぶつ切りにし、神仙の鉄鍋で鴨の皮目から染み出た上質な脂を使って香ばしく焼き色をつけるんだ! そこへ、数百年熟成させた神仙醤油、純米みりん、星屑の和和三盆で調合した特製の濃厚割り下をジュワァァァッ!と注ぎ込み、サッと火を通す。鴨肉の絶妙なレア感と、割り下をたっぷり含んだトロトロのネギが完成だ! これを、天界鶏の産みたて卵を溶いた鉢にくぐらせて頬張る。付け合わせには、神仙米の炊き立て土鍋ご飯と、幻獣の身がゴロゴロ入った大精霊のつくね汁、そして朝摘みセリのお浸し。……熱々のうちに完成だよ!」
アルドがエプロン姿で、湯気と共に圧倒的な出汁と鴨脂の香りを放つ特大の鉄鍋と卵鉢をダイニングテーブルに運ぶと、その暴力的なまでの食欲をそそる匂いに引き寄せられ、神竜ポチとモフモフの星狼シロがテーブルの下でちぎれんばかりに尻尾を振っていた。
この極上モーニング、一口かぶりつけば幻獣鴨の圧倒的な不飽和脂肪酸と鉄分が全身の魔力回路を限界突破させ、特製割り下と黄金卵のアミノ酸が血中のあらゆる疲労物質や致死の呪いすらも瞬時にデトックスし、魂の底から尽きることのない多幸感と絶対的な活力を湧き上がらせる『究極の超覚醒・至高の鍋物フルコース』である。
「うむ……! この黄金の生卵を纏った極厚の鴨肉を口に含んだ瞬間、歯を押し返すような力強い弾力と、溢れ出す旨味脂のビッグバン! そして甘辛い割り下と極太ネギのトロける甘みが完璧に絡み合い、すかさず神仙米をかき込めば、美味さのあまり魂が魔界の果てまで吹き飛びそうになる無限の食欲ループ! 鴨の脂とつくねの旨味が溶け込んだスープを飲み干せば、我が最高福利厚生責任者の職務が、冬の老舗料亭で極上の鍋に舌鼓を打つ大富豪のようにフニャフニャに溶かされそうになるわい!」
【最高福利厚生責任者(CHO)兼・毒見役役員】の元・魔界大帝サタナスが、箸を両手で震わせ、あまりの美味さにワナワナと肩を震わせて感涙に咽いでいた。
賑やかな朝食の喧騒が一段落し、食後の極上玄米茶が振る舞われた後。
アルドは、防音・防諜の魔法結界が幾重にも張られたリビングの長テーブルの上座に座った。その周囲を囲むのは、完全覚醒した神仙社長を支える、大宇宙最強の経営陣。レイヴン、エルミナ、シノン、アーキヴァル。そして、歴史を刻むゾルタンと外交を司るレオハルト。
「さて、みんな。今日も美味しいご飯を食べてエネルギー満タンだね!」
アルドはニコッと微笑みながら、ふと視線を浴室や洗面所に続く配管の壁の方へと向け、少しだけ眉をひそめた。
「……ねえ。今朝からなんだけど、なんだか『お風呂の追い炊きボタンを押してもぬるいお湯しか出なくて、給湯器の種火が消えかかってるみたいに配管が冷たくなっている』ような違和感を感じたんだ。僕の全知全能のセンサーで見ると、それがはるか北西の『永久氷結の死界』から、世界の大地(給湯配管)を通じて伝わってきているのがわかる。配管の中にタチの悪い氷垢やカビが溜まって詰まってるし、バーナー部分が完全に氷りついちゃってる……そんな、早急な給湯器の分解清掃と追い炊き配管の洗浄が必要な嫌な予感がするんだよね」
神仙としての自覚を完全に取り戻したアルドが感知する「給湯器の不調と追い炊き配管の冷却」。それはすなわち、大宇宙の熱エネルギー循環と生命の体温を司る熱源基盤そのものが破壊され、世界が絶対零度の永久凍土と絶望の冷気に呑み込まれようとしているという、世界滅亡レベルの緊急事態のサインである。
しかし、覚醒したアルドは一切パニックにならない。彼の「この世界をいつでも温かいお湯が使える快適な住環境にする」という鋼鉄の意志こそが、大宇宙の絶対ルールなのだ。
「社長の『全知全能のセンサー』が捉えた熱源・給湯循環の異常……間違いありませんね」
【最高財務責任者(CFO)兼・グローバル戦略最高責任者】のアーキヴァルが、優雅に眼鏡を押し上げ、分厚いバインダーを開く。
「我が社の情報網にも、今朝早くから大陸北西部の『永久氷結の死界』周辺における、極めて深刻な絶対零度波と熱エネルギー強奪の被害報告が届いております。社長の感知された通り、死界の最深部に長年封印されていた『氷結の死界魔竜・アブソリュート・ゼロ・ドラグーン』が目覚めかけ、大陸全土から温もりと熱を吸い尽くし、世界を氷の墓場へと変えようとしているのです。さらにタチの悪いことに、その魔竜が生み出す『凍結の氷柱トカゲども(※触れるものの熱を奪い瞬時にカチコチに凍らせる魔獣群)』が地脈の配管(追い炊き管)から溢れ出し、人々の街に雪崩れ込んでは、全てを絶望の極寒の底に沈めようと暴れ回っております」
「なるほど! やっぱり長年給湯器のお手入れをサボったせいで、配管の奥(永久氷結の死界)にガンコな汚れの親玉(死界魔竜)が溜まって、そこにタチの悪い氷が詰まって温水が流れなくなってるんだね!」
アルドはバインダーの報告書を見て、プロの給湯・熱源メンテナンス業者としての血を騒がせた。
「僕の力なら氷なんて一瞬で溶かせるけど、給湯器のお手入れはやっぱり、カバーを外して点火プラグの煤を磨き、配管の中に専用の熱湯洗浄洗剤を循環させてガンコな湯垢を削り落とし、最後に保温チューブを配管にピッタリ巻き直すのが一番確実でいつでも温かいお湯が出るからね! このまま放置すれば、家(世界)中のお湯が出なくなって、みんながお風呂で凍えちゃう。安全で温かい水回りを守るためにも、給湯器をピカピカに洗浄して、極上の給湯・熱流循環システムにリフォームしてこよう! よーし、僕たちの『総合ライフサポート』の出番だ!」
アルドが立ち上がると、役員たちも一斉に凄まじい気合い(殺意)に満ちた表情で立ち上がった。
「社長。配管に詰まった鬱陶しい氷トカゲども(魔獣群)と、凍りついた古い配管カバーの解体・撤去は、この【最高開発・解体執行責任者(CDO)】たる俺にお任せを。邪魔な障害物を専用のハンマーとパイプレンチで一つ残さず叩き割り、完璧な『下地処理(配線・配管露出)』をしてご覧に入れましょう」
レイヴンが、神具の斧を大型の配管用パイプレンチのように構えて不敵に笑う。
「ええ。冷気が撒き散らすガンコな霜や凍結呪い(※致死の瘴気)は、【環境浄化・概念調律最高責任者(CEO)】の私が、特製の強力防霜・解氷魔法(※極大の聖炎浄化魔法)で一瞬にして概念ごと溶かし、清潔な温水環境を整えて差し上げますわ」
エルミナが、美しく銀髪を揺らしながら頷く。
「……作業中、配管の解氷で吹き出す熱湯や凍結スチームが周囲の街に飛散しないよう、【絶対防壁・空間隔離最高責任者(CSO)】として、現場の周囲に完璧な高保温密閉養生シートと防熱カバー(※絶対封殺の空間隔離結界)を張り巡らせておきます」
シノンが短剣を弄びながら冷たく宣言する。
「うんうん、みんな本当に頼もしいな! 給湯器の修理は熱い湯気が出るし、水が漏れると危ないから、しっかりシートで養生してくれると助かるよ!」
アルドは満足げに頷き、自身の作業着(絶対零度の冷気と熱湯を完全に弾く特製給湯メンテ用耐熱・防寒ツナギと防水厚手手袋、安全長靴)に着替え、手には巨大な「事象熱交換の神仙ボイラーパーツ」と、プロ仕様の「因果溶解の神仙配管洗浄液」、そして「絶対保温の神仙ラギングチューブ(配管カバー)」を握りしめた。
「よーし! それじゃあ僕は、この『給湯・熱源メンテナンス道具一式』を持っていくよ! 世界の人たちのお風呂がぬるい悩みを解決するために、邪魔な氷を溶かして、給湯器をピカピカにリフォームしてこよう!」
こうして、総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の社員一同は、給湯・熱源メンテナンス仕様に改造された魔導軽トラ(大型ボイラーと高圧洗管機搭載)に乗り込み、空間がドス黒い氷雲と吹雪に覆われつつある大陸北西部の『永久氷結の死界』へと向けて出勤したのである。
***
その頃、大陸北西部の『永久氷結の死界』の中心部。
世界からすべての熱を強奪し、全ての生命を永遠の絶対零度の棺に沈める悪夢『氷結の死界魔竜・アブソリュート・ゼロ・ドラグーン』が、天を突くほどの巨大な白銀の氷の体と凍りついた翼を誇りながら、傲慢な氷鳴りを響かせていた。
「ゴオォォォォッ! キィィィンッ! 素晴らしいぞ! この星の忌まわしい温もりを全て奪い取り、我が絶対零度に変える凍結の息吹さえあれば、地上の生命など一瞬でカチコチの氷像となり、永遠の沈黙に絶望する! 見よ、我がもたらすこの圧倒的な死の氷河を!」
死界魔竜は、巨大な顎から絶対零度のブレスを吐き出し、無数の凍結の氷柱トカゲたちを地脈の配管へと放った。
「愚かな地上の生命どもめ。我が目覚めたからには、もはやこの世界のどこにも温かいお湯で体を温められる場所などないと知れ! さあ、もっとだ! 全ての熱を奪い尽くし、大陸全土を永遠の凍土の底に変えよ!」
「我ら氷結の眷属の冷気力は絶対だ! この猛毒と絶対零度の領域まで踏み込める者など、この世界にはもはや存在し――」
――キキィィィィッ!! ドカァァンッ!!
魔竜が勝利の宣言を口にしようとしたその瞬間、猛烈な吹雪が吹き荒れる死界のど真ん中に、四つの車輪がついた奇妙な小型の鉄箱(魔導軽トラ)が、神話級の極寒と氷壁をものともせずにドリフト着陸する音が響き渡った。
そして、軽トラのドアが「ガラッ」と無遠慮に開け放たれ、洗管ノズルと保温チューブを持った青年の明るい声が、魔竜のノイズを完全に打ち破ったのである。
「ちわーっす! 総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』です! 各国の方々からご依頼いただいた給湯器の追い炊き配管掃除とボイラー点検に伺いましたー! ……うわぁ、こりゃひどいバーナーの凍結っぷりと、配管の中に詰まってるタチの悪い氷だね! 種火も消えかかってるし、お湯が全然温かくならないわけだ。こりゃ徹底的にお手入れと熱交換のしがいがあるや!」
アルドは、厚手の手袋をキュッと締め直しつつ、プロの給湯メンテナンス業者としてのダメ出しを開始した。
「ナ、何奴ッ!? 我ガ絶対零度ノ領域ニ、地上ノ有機物ガ何ノ用ダ!」
死界魔竜が驚愕の凍結ブレスを吹き上げる中、アルドの後ろから、レイヴン、エルミナ、シノン、そしてアーキヴァルが、それぞれの「清掃・解体用具(兵器)」を手にして、圧倒的な威圧感を放ちながら氷床の上へと降り立ったのである。
「さあ、社長。まずはこの鬱陶しい配管に詰まった氷トカゲども(魔獣の群れ)と、凍りついて破裂した古い配管カバーから、綺麗に『下地処理・叩き割り作業』して差し上げましょう」
レイヴンが神具の斧を構え、凶悪な笑みを浮かべる。
総合ライフサポート企業の、完璧な役割分担による社会貢献(能動的な悪の粉砕)が、死の氷河の中で今まさに始まろうとしていた。
「ナ、ナンダ貴様ラハ!? 我ガ絶望ノ氷結軍団ヲ『配管の氷と古いカバー』ダト!? 舐メルナ地上ノウジ虫ドモッ! 我ガ氷柱トカゲデ、貴様ラノ血肉ヲ永遠ニ凍ラセ、粉砕シ尽クシテクレルワ!」
魔竜の怒号と共に、空間を覆うほどのドス黒い冷気と氷の針を纏った魔獣群が、一斉にアルドたちに向かって致死の絶対零度弾を放ちながら襲い掛かった。
「うわっ、この氷、すっごく硬くて新しいお湯の配管まで凍らせようとしてる! 放置してたら冬場に水道管が破裂しちゃうぞ!」
アルドは、迫り来る魔獣の群れを「長年放置されて大繁殖したタチの悪い配管内の詰まり氷」と完全に認識し、神仙配管洗浄液のタンクのバルブを開けた。
(僕の神仙の力が、この世界の異常を『給湯器と追い炊き配管の凍結不調』として認識させてるんだ。よし、ならば僕はメンテナンス業者として、こいつらを完璧に溶かして温かいお湯を通すだけだ!)
自覚を持ったアルドの明確な意志により、周囲の空間がぐにゃりと、より強固な「日常の給湯器清掃現場」のルールへと書き換えられていく。
「社長、ここは我々『社員』にお任せを。解氷で噴き出す蒸気や洗剤の飛沫が周囲の街に漏れないよう、まずは私が完璧に高保温密閉養生シートと防熱カバーを張ります」
CSOのシノンが音もなく跳躍し、死界と魔竜の周囲を囲むように、無数の札(神仙の空間隔離結界符)を宙に投げ放った。
――ピィィィィンッ!
瞬間、死界全体をすっぽりと覆うように、透明で絶対的な強度を誇る『神仙の給湯工事用防熱結界』が展開された。これで、致死の絶対零度やスチームは一ミリたりとも外の世界へ漏れ出すことはない。
「完璧な養生ですわ、シノンさん。では、私は氷が撒き散らすガンコな冷気と凍結呪い(致死の瘴気)を、環境浄化の力で綺麗に解氷・温熱処理いたしますわ!」
CEOのエルミナが白銀の杖を天に掲げると、大宇宙の理を内包した『極大聖炎解氷魔法』が、超強力なボイラー用温水スチームとなって周囲の狂気の氷河を包み込み、一気に溶かした。
「ギィヤアアアアッ!?」
万物を凍らせる猛毒の冷気は、その浄化の温熱スチームを浴びた瞬間、身に纏っていた魔力ごと完全に無力化され、ただの無害で温かいお湯の湯気へと変わっていく。
「フンッ! 魔力を抜かれたただの氷や古いカバーなど、ただのパイプレンチのマトだ! そして、邪魔なこびりつきは俺が綺麗に叩き割ってやろう!」
CDOのレイヴンが神具の斧を大上段に構え、無害化した魔獣の群れに向かって旋風のごとく突っ込む。
「配管凍結氷塊解体粉砕斬ィィィッ!!」
放たれた一撃は、氷柱トカゲボディの「因果の隙間」を完璧に見切り、まるで配管の表面にこびりついた分厚い氷とボロボロのカバーを専用の工具でバコンッ!と綺麗に叩き割るかのように、シャリィィィン!と見事な手際で綺麗に粉砕し、ただの無害な水しぶきにしてしまった。
「ナ、何ィィィッ!? 我ガ無敵ノ氷柱トカゲガ、タダノ『温水スチーム』ト『レンチ叩キ』ノ前ニ、一瞬デただの給湯器ノ水滴ニサレテイクゥゥッ!?」
死界魔竜は、自らの絶望の眷属がものの数分で「ただの水滴」に変わり、死界の視界がクリアになっていく光景に、驚愕のあまり巨大な氷の翼を激しく震わせた。
「よし、みんなのおかげで配管の解氷とカバー撤去は完璧だね! あとは、あの一番デカくて熱を奪っている『ボイラーの中のガンコな氷垢』に、事象熱交換の神仙ボイラーパーツをガチャンと組み込んでバーナーの火力を全開にし、因果溶解の神仙配管洗浄液を高圧洗管機でバババババッ!と流し込んで奥の湯垢を吹き飛ばし、最後に絶対保温の神仙ラギングチューブを配管にキュッと巻き直すだけだ!」
アルドは、特製『事象熱交換の神仙ボイラーパーツ』を魔竜の巨大な本体(極寒とバーナーの中核)へと向けて構え、突撃した。
――当然ながら、その素材は常軌を逸している。神仙ボイラーパーツは星の因果の冷気を完璧な熱に変換する絶対事象熱源装置であり、神仙洗浄液と保温チューブは大宇宙のいかなる次元の凍結や神話級の絶対零度すらも、物理的に『温めて保温する』だけで完璧に無害化し、極上の適温のお湯を取り戻す『究極の給湯メンテナンスツール』である。
「オノレェェェッ! 舐メルナ人間! 我ガ本気、世界ノ熱ヲ消シ去ル『終焉ノ絶対零度』デ、貴様ラノ存在ゴト永遠ノ氷像ニシテクレルワ!」
死界魔竜が残された全ての魔力を暴走させ、周囲の空間ごと全てを凍結させる超巨大な絶対零度の嵐を放ってきた。
「うわっ! バーナーの奥から、すっごくガンコな氷の塊が押し寄せてきた! でも、この特製ボイラーと高圧洗管機の前には、どんなに酷い凍結も一発でホカホカのお湯だ!」
アルドが魔竜の巨大な体に向けてボイラーパーツをガチャンッ!!と力強くドッキングさせ、事象の熱交換機能を一気に覚醒させる。そして、魔竜の体内(追い炊き配管)に高圧洗管ノズルを突っ込み、神仙配管洗浄液を「バババババッ!!」と超高圧で噴射して、奥に溜まった狂乱の冷気を一気に押し流していく。
仕上げに、露出した地脈(配管)に絶対保温の神仙ラギングチューブを隙間なくピッタリと巻き付け、テープで「キュッ! キュッ!」と完璧に固定すると、こびりついた絶対零度の魔力ごと完璧に熱変換され、極上の適温に沸き立つ豊かで温かな熱流へと整えていった。
「バ、バカナァァァッ!? 我ガ最大奥義ノ超絶絶対零度ガ、タダノボイラーデ熱ニ変換サレ、保温チューブデ因果ゴト温メラレテ、一ミリモ冷気ヲ出セナクナッタだトォォォッ!?」
「よし、ガンコな氷は綺麗に溶けて、追い炊きもバッチリ効く熱々のお湯が出るようになったぞ! 最後に、仕上げの『因果調律の全自動温度設定リモコン』を壁にカチッと取り付けて……あ、そうだ。この氷の親玉、綺麗に解氷して最新のボイラーを組み込んだら、凄く強力で絶対に燃費が落ちない、巨大な全自動の広域給湯・熱流供給プラントみたいになってるね。ちょっと魔力の流れを調整してあげれば、世界中の寒冷地や冷えたお風呂を完全に温めて、代わりに極上のクリーンな温水と地熱循環だけを世界中に供給してくれる『超巨大な全自動・神仙広域給湯&無限熱流循環インフラ』にできそうだよ!」
アルドが魔竜の本体であった場所に温度設定リモコンを設置し、事象調律のボタンで「42度・追い炊き」をピッ!と押して巨大な給湯施設へとリメイクすると、大宇宙の法則が完全にひれ伏した。
暴走していた魔竜の禍々しい絶対零度と冷気の魔力は、瞬く間に安全でクリーンな温熱エネルギーと無限の温水循環機能へと漂白・調律されていく。
『ア……ァァ……。我ノ、世界ヲ氷像ニ沈メルハズノ力ガ、マルデ都合ノイイ【お風呂オ快適ナ温度ニ沸カシテ温カイお湯オ流ス為ノ最新ノ給湯器】ノヨウニ……!? イヤ、チューブオ巻カレル度ニ、我ガ巨体ガ、異常ナマデニ心地ヨイ【絶対的ナ熱供給力ト、極上ノ温水オ提供スル超大型給湯インフラ】ニ変換サレテイクゥゥゥッ! 私ノ存在ガ、世界ヲ絶望ニ沈メルノデハナク、コウシテ大陸ニ永遠ノ温もりト極上ノお湯オ提供スル「極上ノ全自動・神仙給湯ボイラー」トシテ機能スルコトガ、コレホドマデニ満タサレルコトダッタトハ……!』
かつて世界を脅かした絶対零度と冷気の化身は、アルドの「給湯器の追い炊き・配管洗浄」によって完全に浄化され、書き換えられた。
万物を凍らせる禍々しい死界魔竜は、気がつけば「永久氷結の死界を美しく暖かな巨大な給湯・熱源施設に変え、世界中のどんな寒波や冷えも一瞬で適温に温め、極上の温水を24時間供給し続ける、超高性能な『永久・神仙全自動広域給湯・無限熱流循環インフラ(見た目は巨大でピカピカに磨き上げられた純白の給湯ボイラータワーと温水パイプライン)』」へと姿を変えていたのである。
「よしよし! 嫌なお風呂のぬるさと配管の凍結被害は片付いて、すっごく安全で温かいお湯が出るようになったぞ! おまけに、これがあれば世界中の人たちが冬の寒さやお風呂の冷えを気にせずに、いつでも温かいお湯に浸かって笑顔で暮らせるね。僕の神仙の力も、こうやってみんなの温もりとお風呂を守るために使えば、凄く素敵なことだよね!」
アルドが洗管ノズルを片付けて額の汗を拭うと、死界を覆っていたドス黒い氷雲は一瞬にして晴れ渡り、眼下には美しく輝く奇跡の巨大ボイラータワーと、澄み切った温かな湯気が広がっていた。
その光景を見て、新役職のメンバーたちは、誇らしげに胸を張った。
「見事な現場指揮でした、社長。我が社の広域給湯・熱流循環システムは、これより大陸全土の住宅・エネルギー基準のデファクトスタンダードとなるでしょう」
CFOのアーキヴァルが、うやうやしく一礼する。
「これからは、どんな神話のバケモノが出ようが、社長の作業前に俺が全部『凍ったカバーの叩き割り』してやりますよ」
CDOのレイヴンが頼もしく笑う。
大公レオハルトも「これで各国の給湯事業・熱エネルギー利権は完全に我々のものだ」と悪徳代官のように頷いている。
アルドは、彼らの頼もしい姿を見て、心の底から嬉しそうに笑い返した。
***
数日後。大陸諸国を統べる王室やインフラ・エネルギーギルド本部。
各国の王たちは、絶対零度被害が完全に解消され、死界の跡地に前代未聞の超巨大な広域給湯・熱流循環インフラが誕生したという報告書を見て震え上がっていた。
「ば、馬鹿な……。我が世界を氷の墓場に沈めるはずだった氷結の死界魔竜が、たった数時間で『完全な給湯器の追い炊き配管洗浄』をされ、あまつさえ魔竜が『超巨大な給湯インフラ』に転職して、国中の熱源とお湯の管理権を完璧に独占しているだと……!?」
そこへ、アステリア王国の大公にして【最高渉外・政府関係公使(GA)】であるレオハルトが、圧倒的な威圧感と外交特権を纏って現れた。
「各国の代表諸君。我が国が誇る総合ライフサポート企業『黄昏の守護者』の『CSR活動(給湯設備メンテナンスと広域熱源インフラ整備業務)』をご利用いただき、誠に感謝する」
レオハルトの重厚な声と共に、アーキヴァルが【完全なる熱源修復・給湯施設開発代金およびコンサルタント料の請求書】を王たちの目の前にドンッと突きつけた。
「社長(アルド様)の理念により、基本の配管洗浄・ラギング巻き料金はサービスとさせていただく。……が、魔竜の完全浄化、熱源システムの再構築、そして『大陸全土に極上の安全な温もりとお湯を供給する巨大システムの永続的な運用費』は、正当なビジネスとして請求させていただこう。支払いは、各国の年間エネルギー・水道事業収益の九割と、給湯ネットワークの独占プロデュース権で手を打つ。これは提案ではない、決定事項だ」
レオハルトの政治的圧力とアーキヴァルの冷たい宣告と共に、王たちは完全に心をへし折られ、震える手で莫大な報酬の永続支払いにサインをするしかなかった。
***
日だまり郷の黄金の城塞。
静寂に包まれた書斎のデスクで、【最高情報・歴史管理責任者(CIO)兼・神仙社史編纂室長】の元・大賢者ゾルタンは、羽ペンをインク壺に浸し、新たな正史のページに文字を刻み込んでいた。
『〇月×日。大陸北西部の永久氷結の死界における給湯器の追い炊き配管洗浄、およびボイラー解氷修復作業完了。世界を絶対零度と冷気に沈める氷結の死界魔竜アブソリュート・ゼロ・ドラグーン(神話の厄災)を事象のボイラーパーツと洗管ノズルで清掃・熱変換させ、立派な特大全自動広域給湯・無限熱流循環システムへと改修。絶対零度汚染と熱強奪被害の修復を完了し、大陸全土の生活環境保護と極上の温かなお湯の提供に多大な貢献を果たした。
……また、我が社のGAレオハルト閣下とCFOアーキヴァルの連携により、世界各国からは莫大な賠償金と、給湯・熱源インフラの独占管理権を合法かつ迅速に譲り受けることに成功。これで我が社は、地下水脈、気象、海上物流、クリーンエネルギー、次元基盤、自然環境、時間、信仰、光、交通・物流、情報・娯楽、資源循環、通信網、医療・甘味、睡眠・無意識、生命の息吹(農業)、食の鮮度(低温物流)、住環境からの防壁、生命の癒やし(温泉)、天蓋修復と気象防壁、次元境界修復と絶対防虫、物質修復と外壁防護、光明修復と電力供給、空間境界修復と絶対防犯、歴史因果修復と物資保管、水質衛生と癒やしの循環、大気環境と換気浄化、大地生態系と食糧生産、天候制御と清浄浄水、地殻構造と地熱エネルギー、次元外装と絶対防壁、光学透視と天蓋シールド、空調管理と気候制御、衛生配管と下水処理、電力網と光エネルギー、海洋海流と無限水循環、造園緑化と無限農業、排熱管理とクリーン暖房に続き、ついに「世界の熱源管理と広域給湯(給湯器・追い炊き配管メンテナンス)」の覇権すらも完全に掌握したことになる。
社長が神仙としての自我を覚醒させて以降、我々の業務はもはや「世界の神話」を「家事のログ」として上書きする領域へと達している。社長は己の全知全能のセンサーで世界の危機を感知し、それを「便利屋の日常業務」として処理することで、世界を極上の平穏へと導いている。新役職のメンバーたちも、各々の専門分野で遺憾なくその力を発揮し、社長の「家事」を最高の形でサポートしている。
完全覚醒した神仙社長と、大宇宙最強の経営陣。この完璧な布陣の前に、もはや世界のいかなる絶望も、ただの「給湯・熱源メンテナンス業務」として処理される運命にある。ワシはこの究極の平穏の歴史を、永遠に記録し続ける。』
ゾルタンが深い満足感と共にペンを置くと、ドアの向こうから「みんな、お仕事お疲れ様! 今日の3時のおやつは、朝の鴨スキ焼きの温かさをイメージした、中から温かい黒蜜がトロッと溢れ出す『特製・大精霊の極上・焼きたて大福〜冷たい天界抹茶アイス添え〜』だよー!」というアルドの無邪気な声が聞こえてきた。
ゾルタンは「全知全能の神が仕上げる焼き大福は、ことのほか黒蜜の温かい甘みと餅の香ばしさが五臓六腑に染み渡ろう」とぼやきながらも、この上ない幸福な笑みを浮かべて立ち上がった。
最強の便利屋の「ただの給湯器の追い炊き・配管洗浄」は、世界絶対零度化の危機をただの給湯メンテナンスとして解決し、死界魔竜の脅威を完全に終わらせただけでなく、世界に最高の広域給湯・熱流循環インフラを誕生させてしまった。
神仙の力を自覚し、新役職で完全体となったクラン『黄昏の守護者』は、これより正式に世界の熱源と給湯の覇権をも握り、いかなる邪悪も日常のメンテナンス業務として永遠に葬り去る、究極の平穏なる企業伝説の新たな1ページを、分厚い社史のページに深く刻み込んだのであった。
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