第25話 新たな生活圏のスタート
「ようこそ、僕らの都市、『カグラ』へ!」
中に入ると木造の家々が立ち並んでいる。真ん中に一際大きな石造の塔があり、そこから大きく都市が広がっている。
「かなり大規模の様ですね。何人程いるんでしょうか?」
「今は、3000人くらいじゃ。その殆どが、生産職じゃから、発展は著しいの。」
「おお。よく覚えていて、偉いね、ナギちゃん。」
「止めよ。頭を撫でるな、ソナタらの10は年上ぞ。」
「あっ、つい。」
凛や未来、詩乃はどうも少女を甘やかしてしまうらしい。しかし、少女の言う通り、建物だけでなく暮らす住民の衣服まで中世ファンタジーなしっかりとした発展を見せている。
「まぁ、まずはナギの母親のとこに行こう。定期便に乗った時に、連絡は入れてもらったから、時間は取らせない。」
「そうか。」
(正直、会うのは無駄だと思うが。陽がわざわざ会わせるんだ。何か得があるんだろう。)
少し面倒だと顔に出してはいたものの、湊はすんなりと陽の話に乗った。これを見た湊のパーティーメンバーと神々はあんぐりと口を開ける。
「あ、あの湊さんが、人と会うことを何も言わずに了承しています。」
「それだけ、信用しているってことだね。」
「・・・明日は、槍の雨。」
「本当に、心配になる反応です。失礼ですが、湊さんじゃないよう。」
「あいつ、頭やったんじゃない。」
「湊、昨日おかしなもの食べてた?」
「みんなと同じのを食べてたのだ。」
「ニシシ、疑いたくなる気持ちは分かるがな。」
「はい↓僕も不安になってしまいました。」
「はぁ、日頃の行いって大事ね、はぁ。」
周りの余りの反応に少し解せない湊。しかし、陽も道中湊をそこそこ知った陽のパーティーも、湊のパーティーメンバーに同意する。
「酷い言われようだ。」
「嫌、湊、こればかりは俺も始めはそう思ってたぞ。仲良くなって慣れてきてるが。」
都市の発展を見ながら、湊たちは中央の塔に向かい歩く。多くの者が生産職という事で作業着風の服が全体的に目立つ。
(これだけの発展。ここは、今後もかなり重要な場所になりそうだ。職人さんも多いだろうし、第三拠点にいいかもな。)
塔近くまで来るとそこは大きな広場になっていた。
「良し着いたな。」
「おーーーーーーーーーーい、湊兄ーーーー!」
遠くの方からショートの黒髪をサイドポニーにした女の子が湊に跳びついた。まさに、猛突進であり、ランクの上がった湊も受け止める際に少し下がってしまうほどの勢いである。
「俺も会えて嬉しいから、まずは降りて自己紹介してくれ、楓。」
「わかった。よっと、それじゃ私は百瀬 楓。湊兄の従妹になります。歳は湊兄の1つ下、そして、湊兄の子を産む女です。どうぞよろしく。」
凛たち全員が思った、ド級でヤバい子だと。出会い頭の自己紹介で、従兄妹同士でのラブロマンス、それも余りにも直球のものを話す女子に、湊とは別のヤバさを感じ取っていた。
「お、その紋様、楓も中級職についているのか。」
「うん、中位魔眼武器師。本当は錬成系の職に就こうと思ってたんだけど、湊兄が就くと思ったから、マギアナと話し合ってこれにした。」
楓は左のこめかみ辺りを指で指しながら、話しす『マギアナ』は、楓の脳内に埋め込まれた楓の自作AIである。
トップダウン型AIが主流であった元の世界では、空想上の技術であるボトムアップとトップダウンの併用型AIであるマギアナは、楓が小6の夏に自由研究にて、親戚の医者、技術者と共同開発したものだ。
「以前に聞いてた娘ですね。」
「いや、聞いてた以上にド級でヤバメな娘だよ。」
そして、楓の首に瞳を背景に稲妻を発したトンカチの紋様があり、こめかみから胸元にかけて模様が入っている。上から下に黒から赤のグラデーションに金と銀のラインが交差するように入っている。所々に、モンスターや原石の紋様も見られる。
「て、ことはその装備は自作か?」
「う~んと、武器は完全自作だけど、防具はベースを職人さんに作ってもらって、仕上げを私がしたよ。湊兄のは、自作?」
「あぁ、だが、俺もベースは職人さんに頼むことにするか。凛たちもそっちの方がいいだろ。」
楓は、少し変わったデザインで、取っ手部分しかない剣とマスケット銃のような地球でも観たことない銃を持っていた。
湊が5人に装備の新調を任せようかと聞くと、5人は少しためらい気味に言った。
「私は、湊さんに仕上げやデザインをしてほしいです。」
「湊に作って欲しいかな〜。」
「・・・作って。」
「私も、お願いしたいですね。」
「湊に作らせてあげる、慣れてるし。」
「・・・わかった。デザインとかは俺の方で考えてベースを職人さんに作って貰う。そして、仕上げは俺の方で錬成で作る。」
まさに予想外だったのか、湊は少し戸惑いつつも、少し嬉しそうであった。そんな様子をニヤニヤしながらみる陽。驚愕と警戒、それと慈愛の目で楓は見ていた。
「おぉ、あの湊がしっかりハーレムの好感度上げてる。」
「うぅ、私の湊兄が評価されるのは誇らしいけど、ライバルは手放しに歓迎できないよ。」
「そう言うな、楓。惚れた雄がモテるのはいいじゃねえか!!」
楓に話しかけるのは、楓に加護を与える神で、電子信号で肉体を構成する中性的な男性。電脳神マキアルナ、身体の一部がバグの様に途切れている。
ステータス
百瀬 楓 中位魔眼武器師:H
スキル
中級 自然回復:G
特殊武器生成(近):H 特殊武器生成(遠):H 魔眼(鈍化):H センス強化:H 簡易鑑定:H 危険予想:H 命中率強化:H
下級 採取補助:B 実験補助:B 体力強化:B 走力強化:B 身体強化魔法:B
素材判定:C 操作補助:C 知力強化:C 精神強化:C 五感強化:C
ナイフ術:D
ツインダガー術:H
アクティブ パーティー化 パーティー念話 パーティー位置共有 ポータル
カンスト 武器鍛冶 効果向上(武器) 魔力加工 鉱石判定 視力補助 材料解体(魔物、植物、鉱物) 魔力強化 攻撃強化 防御強化 魔法防御強化
毒耐性 麻痺耐性 睡眠耐性 熱耐性 魅了耐性
レガリア 百花繚乱【クロノア・ビルド】
加護 電脳神マキアルナ
パラメーター
身体:2 精神:4 思考:5 適応:2 感覚:6 才覚:6
また、この後に楓と陽も装備を作って欲しいとゴネられ、作る約束をした。
(なぜか、こういう推しの強い知り合いが地球では多いんだよな・・・。)
塔の中に入ると真ん中の螺旋階段を登った。最上階の都市が一望できる部屋にやってきた。
そこには、ナギと同じ銀髪の長い髪と7つの尻尾を持った狐人族の女性がいた。
「ようこそおこしやした。うちがここの長をしとります。イナミ・アワミと申します。どうぞイナミと呼んでな。それで、うっとこの都市どないやろ。」
「とても綺麗です。」
「ふふ、魔法使いん子おおきにな。」
「あっ、都市ももちろんですが、イナミさんもという意味です。」
「!嬉しいこと言ってくれはりますわ。」
「で、要件は?」
The大人な色気を追求した体をした女性を前にしても、湊は全く変わらなかった。女性である凛たちでも頬を染めているというのに、湊は全く気にせず、話を急かす。
「み、湊さん・・・。」「湊・・・。」「・・・バカ。」
「湊くん・・・。」「あんたね・・・。」
「くく、相変わらずだな、湊。」
「流石、湊兄。」
周りが引いている、都市の代表の女性、女性さえ魅了してしまうほどの色気が全く意味をなさないのだ。
「!ふふ、面白いお方やね。でもね、あきまへんで、女性を急かしちゃ。世間話も大切な商談。これをおこたたら、どんなことですから。」
「必要ない。あんたはまだ、俺にとって気を効かせる価値を感じていない。」
「それは、寂しいわ。・・・では、本題といこうか。あんたら、わてにつかんか。ここは、今ぎょーさん人を抱えてる。せやかて、その多くが生産を生業としとる。せやから、戦闘のできる者はせわしのうしとる。そやから、あんたらのような、強か者たちが手伝うとて欲しいんよ。」
「それで、俺にメリットは。」
「それは、言わんといてもわかるとちゃいますか?」
(あぁ、メリットはいやというほど分かる、が。)
湊は凛たちの方を見ると、全員が任せると手でジェスチャーをした。5人は完全に湊に選択を任せているのだ。
これに関しては、パーティー内での共通認識であり、特に要望がない際はすべてにおいて湊に任せているのだ。これは、信頼だけでなく、そうする方が湊との関係性が良好なものとなることをわかっているのだ。
「その話とてもありがたい。」
「ふふ、でも、そん顔でそん入りをするって事は。」
「ああ、イナミさんに仕えるつもりは無い。しかし、協力関係ならば、築きたいと思う。」
「協力関係?」
「この島の船着き場に俺たちの第三拠点を建築し、交友を許してもらえるならば、要請があれば、そちらに味方をする。拒否権ももちろん要求させてもらうが、基本は拒否するつもりは無い。また、こちらからの情報提供等の協力も惜しむつもりは無い。」
「う〜ん。そうやね、うちとしては別にそれでも構わへん。そやかて、どないして協力関係に拘る?」
「ポリシーだ。」
「ふ~ん。それじゃ、そういうことにしときます。今日はおおきにな、また、遊びにおいでやす。」
「関係についてのこちらからの条件の詳細は明日以降持ってくる。」
湊たちは軽く挨拶だけして、塔を出ると楓と一緒に店を紹介を受ける湊、舞のグループと都市案内を陽パーティーにしてもらう鱗、未来、詩乃、美穂のグループに分かれた。
都市の歓迎を受ける様に日が沈みだした。
いつもはYouTubeで活動してます。
平日夜には作品の制作配信してますので観に来てください
https://www.youtube.com/channel/UC3wzuZXPJ0Izmji-vlTWgdg




