第6話 鹿型魔物の戦闘録
戦闘シーンの執筆が一番緊張する
鹿の重低音の咆哮と共に泥濘が無数の触手のように動き出し、攻撃を始める。まるで鞭のような触手は、時に鋭く、時に靭やかに不規則ではあるものの、しかし、的確に湊たちを襲う。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「うわっ、ここにも届くの!?『身体強化』!」
御門姉は、その場で盾を両手に持ち替え、四方からくる攻撃を受ける。未来は、苔と雨で滑りやすくなる木々をいつも以上に飛び回る。移動に集中するため、弓は腰に直さずには負えない。
「足が泥濘に取られる。『流々』!」
「・・・ランド、硬化。『契約:開』ガブ、ブレス。」
「助かりました。」
「『創世回帰』『錬成:火炎剣』×2。」
御門妹は、ぬかるむ足場も最小の足運びで全方位を意識、拳で攻撃を受け流す。舞は素早く、ランドを自信と凛の前に出しつつ、ガブのブレスで少しでも攻撃を迎撃する。湊は、一歩も動かず、的確に攻撃を燃やし、土に戻ったところで砕く。
各自は、それぞれが触手への対応を始めたがあまりの数に捌くのが手一杯になってしまった。そんな中、鹿は御門姉へと更に激しく攻撃を加える構えを取った。
「ヤバいかも。」
「!まずい、湊さん、未来さん、タゲ取りを詩乃さんから変わって下さい。」
「私は無理、今は手が離せない!」
湊は隙を見て触手の猛攻から上の木に向けて投げた短剣につけた紐を強く引いて、大きく跳躍すると、創り出したスケートボードで、触手の上を滑り出した。
「俺が行く『創世回帰』『錬成:硬化ボード』。うぉ、意外とバランスがむずい。」
「「「「「はっ!?」」」」」
「『創世回帰』『錬成:火裂剣』×2!」
ふらつきながらも、ブーツを固定して、御門姉の下まで行くと火炎剣で、周りの触手をぶった切った。火炎剣で水分が飛んだ触手はボロボロと崩れるが、直ぐに次の触手が攻撃を仕掛けてくる。
「すぐに引け、『創世回帰』『錬成:火裂剣』×2『創生回帰』『錬成:火裂剣』×2・・・」
湊は、次々に2本の剣を出しては、触手を捌いたり、鹿に向けて投げタゲ取りを行い続けた。
「ありがとうございます、湊くん。『ハイキュア』。」
御門姉は、戦線を離脱して、治癒をかけ傷や体力の回復に努める。盾はかなり、傷が出てきてたので、予備に持ち替えすぐにでも戦線に戻る準備をする。
「あれなら。あんた、これ借りるわよ。『剛腕』!」
御門妹は、触手の猛攻を紙一重で躱しつつ、湊の近くまで行くと使ってたボードを取り、触手に乗って鹿に近づき、攻撃を加え始めた。鹿は再開された攻撃に意識を裂かれつつも、更に触手による応戦、体勢の立て直しをしようと藻掻く。
クォォォォ!
「すみません、遅くなりました、・・・貫け『砂鉄の弾丸』!」
「・・・『契約:閉』『融合召喚』『契約:再』、ウィガブ、チャージ」
弱まりだした触手の攻撃により、一呼吸置けた凛は、詠唱を完了させた中級魔法で鹿の左前脚を貫通させて怯ませ、その隙に舞は、翼竜のような召喚獣を呼び出すとブレスのチャージを始めた。
「私は、触手をなんとかするよ。『組換技能:剛撃弓×連撃弓』火炎矢、うっとうしい!」
未来は、触手を炎を纏う特製の矢で破壊して回る。これで、対応が楽になった湊や御門姉妹は、本体への攻撃に転向していく。
その後は、ひたすら削り合いで倒し切った。泥試合確定なナレーション・・・。
「はぁはぁ、今回は泥試合もいいところだったね。」
「はぁはぁ、でも、湊さんはもう動き出してますよ。」
「・・・効率バカ、はぁ、体力バカ、はぁ。」
「はぁはぁ、湊くんには、未知が多すぎますね。」
「はぁはぁ、あいつ、バカすぎるでしょ。」
全員が肩で息をする中、湊は肩で息をしながら作業をしていた。
因みに、彼は御門姉と交互にタゲ取りをしていた。さらに、常時即時錬成、それは不自然に動くキャラを操作して綱渡りをするゲームを、数時間単位でやる様なものである。バケモン・・・。
「湊は、体も精神もどうなってんのよ。」
「はぁはぁ、休ませながら、作業をしてるだろ。はぁはぁ、作業効率が落ちている。はぁはぁ、最悪だ。」
「少年は、バグで済ませていいのか。」
「バカなのだ。肩で息をしながら動いているのだ。」
「ニシシ、期待を裏切らない。」
「はい↓僕、人間が怖い。おかしいよ。」
「はぁ、あの子だけよ、はぁ。」
その後、ヘロヘロで作業を終わらせて、次の日にランク上げ用の設備の確認をした。因みに、どうやら雌鹿はレア個体だったらしく、この日は牡鹿が現れ、操る属性も風属性でかなり戦闘しやすかった。その後、湊たちは次のエリアボスの元に向かう。
魔物・ウッドドゥ(レア)
レアな小規模エリアボス。風の属性に少し水の属性を持つ雌鹿。角がなく、物理攻撃よりも魔法攻撃がメインとなる。水の魔法で有利なエリアへと変化させる。リポップでのみ出現。
ウッドドゥの瞳
死後、硬化していきアクアマリンの塊となる。少し水の魔力を含んでいる。
ウッドドゥの皮
なめらかで、加工すると青く変色する。魔法抵抗があるが、加工が難しい。
風水魔石・中
拳大の風と水の属性を含んでいる魔石。
魔物・ウッドディア
小規模エリアボス。風の属性を持つ雄鹿。角による物理的攻撃がメインで、時折、魔法で突風を起こす。リポップでのみ出現し、一日でリポップする。
ウッドディアの角
4mくらいある角。角自体が風の魔力を宿していて、魔法武器の素材に適している。
ウッドディアの皮
程よい硬さと柔らかさを両立している。加工が簡単である。
風魔石・中
拳大の風の属性を含んでいる魔石。
173〜175日目
「次は、鳥だ。」
「「「「「待て待て待て!」」」」」
「エミューに近いが赤い毛皮から火属性の可能性がある。」
「「「「「無視なの!??」」」」」
「時間の無駄だ。見た限りじゃ問題ないと思うが体調が小さめ、一回り小さいお供が数体居るからそっちに気をつけよう。・・・って、聞いてるか?」
5人は諦めたのか。聞いていると手を挙げて示した。全員が思った、こいつになにか言うのが間違っていたのだ。馬鹿なのだと・・・。
アリスもまだみんな常人だと安心した、激戦連続後なら突っ込んでくれる。
「ボス戦だ。集中しろよ。まず、今回のボスのタゲ取りは俺と未来さん、舞で行う。これは、相手の機動力がありそうだからだ。だが、未来さんには最初は雑魚の殲滅に集中して欲しい。」
「はぁ、りょ。」「・・・わかった。未来、諦める、不治の病。」
「次に、凛さんには今回も指示役を頼む。やり方は大蛇の時と同じで構わない。」
「わかりました。それと、湊さん、この討伐の後、少しお話し合いをしましょう。大丈夫です、精神面なら直せるかもしれません。」
「余計なお世話だ。御門姉には、雑魚の方のタゲ取りを任せる。数が居るから死角からの攻撃に注意してくれ、御門妹は遊撃で、両方を攻撃で援護して欲しい。」
「わかりました、それと湊くん。お姉さんも話し合いをしてほしいです。大丈夫です、優しく、丁寧に接しますから。」
「やってあげる、でも、あんた本当に話し合っときなさい。」
(人を病人のように言いやがって、余計なお世話だ。)
全員から心配の視線を受けながら戦いが始まった。
正直に言おう。すぐに戦いは終わった。
理由は単純で相手が悪かったからだ。
まず、未来と御門妹の殲滅力で雑魚が一掃された。そして、ボスは高速移動による撹乱からの突進や魔法で戦ってたのだが、効率的に動く敵の動きを湊が的確に予測、そして、攻撃をしようとする瞬間に攻撃、もしくは、効率的な攻撃を回避して、カウンター。
その後は、ただの作業となっていた。何なら、舞と御門妹は雑魚たちの解体を、未来と御門姉はランク上げ用の整備を始めてしまった。
「下手に頭がいいだけ読みやすい。」
「だとしても異常よ、湊。」
「エリアボスが可哀そうだったのだ。」
「それよりも、少年に慣れた嬢ちゃんたちが作業を始めるとは・・・。」
「ニシシ、みんなこの間の戦闘の疲れでツッコむ元気が減ってる。」
「はい↓僕、詩乃に普通でいてほしい・・・。」
「はぁ、そうね、はぁ。」
魔物・ヒートエミュー
小規模エリアボス。火の属性を持つエミュー。最短で高速移動を繰り返し、敵の死角からの攻撃を得意とする。たまに、火の魔法による熱風を放つ。リポップでのみ出現し、一日でリポップする。
ヒートエミューの羽
保温性を持った羽。熱の吸収だけでなく、適温に保つための放熱も行う。加工が簡単である。
ヒートエミューの身
とても甘くとろける美味しさ。
火魔石・中
拳大の火の属性を含んでいる魔石。
魔物・ファイトエミュー
足蹴りの得意なエミュー。動きが早く、素早く相手の背後に回り込み後ろ蹴りを加える。集団でリンチをする。
ファイトエミューの羽
とても柔らかく、衝撃を吸収する。加工が簡単である。
ファイトエミューの卵
黄身がしっかりとしており、かなり濃厚な味がする。
火魔石・小
石大の火の属性を含んでいる魔石。
いつもはYouTubeで活動してます。
平日夜には作品の制作配信してますので観に来てください
https://www.youtube.com/channel/UC3wzuZXPJ0Izmji-vlTWgdg




