幕間話 36~40話
幕間話とりあえず、ここで止めよう
そうしないと本編を超える。
アリスごめん、先生負けた・・。
36日目
湊霞 星野サイド
「・・・。」
崖を登ると真っ直ぐに森を抜ける。途中、広い空間が広がる。
「・・・エリアボス。」
「了解。姿だけ確認して、先を急ごう。」
星野が頷くとエリアボスの姿が見えてきた。そこにいたのは茶色の毛をした元の世界の新幹線程のサイズのある蛇、湊霞は素早くその姿をノートに写すと、更に先を急ぐ。
しばらくすると、森が終わり、大きな川を挟んで1〜2m程の高さのある植物が生える草原にでる。
高草 ドライネ
背が高く実を付けない稲の様な植物。丈夫な葉と茎を持ち、空気中の水分を取り込むため、周りがカラッと乾燥する。干し草にすることで素材となる。
罠草 ムスビアガベ
草が輪を描くように生えている植物。生き物が引っ掛ける形であり、付近に生息する魔物との共存関係となる。素材としては余り使えない。
日が傾きだしたため、湊霞たちは少し先に見えた草原の中にある荒廃した町のビルに入り、ハンモックを用意し2人が寝ようとすると、途端にアリスが起き上がる。
「いや!待ちなさい。あんたたち、もう少し話しなさいよ。今日一日、あんたたち全く会話して無いじゃない。空気が空気が、重いのよ。あんたたちが気にしなくても、私が気まずいわ!」
「無駄だ。」
「・・・うるさい、黙れ神」
「黙れ神!??」
「ニシシ。アリス様、可愛そう。」
湊霞も星野も、煩わしいコミュニケーションというのが余り、好きでは無いのだ。しかし、今回はアリスは引き下がらなかった。
「いいえ、会話しなさい。これから先、あんたたちは色々と一緒に行動することが増えるわ。その時、円滑な連携、交流を考えれば、話せるようになっていることは大事な事よ!」
「別に、今後もずっと一緒とは限らないだろ。互いにビジネスライクみたいな関係なんだから。」
「・・・・・・・・・・わかった、最低男子。」
どこまでも煩わしく感じる湊霞に対し、星野はいつも以上の沈黙の後にハンモックから身体を起こす。
「・・・効率バカ、話す。・・・神の話、一理ある。」
「!・・・わかった。なら明日の動きについて少し話すか。」
「・・・うん。」
それから、数時間程ビルの一室の明かりは消えなかった。
九条 鮫島サイド
「それで、凛。どうするここから?」
「そうですね。今、水瓶があるとはいえ、水源が近くにあったり、川の近くの方が水魔石の採集効率が高いでしょうね。」
「そうだね。さっきお願いされてたトラップは、湖に配置してきたけど、保険があるのはいいよね。」
九条と鮫島は、巨大湖沿いに進みそこそこ大きな支流沿いに進む。すると少し植生が変わりだし、環境も川を中心とした沼地になりだす。
「これは、中々凄いですね。未来さん、この先はどの様になっていますか?」
「うーん川を挟んで反対側は、沼地にシフトしていってるみたい。新しい立地を探すなら川を渡って沼地の方に行ったほうがいいかも。その先に湿地も見られるから。」
沼地を歩く野々原に対して、木の上を渡っている鮫島は、遠くを見渡しながら言う。
その後、2人は沼地の方に更に伸びる支流沿いに、沼地を進み、湿地へと入っていく。植生もマングローブの様な植物が増えてくる。そして、日が傾きだした所で湖を発見する。
「あ!いい感じの広さの湖と陸地があるよ、凛。」
「そうですか。日も傾いてきてますし、今日はそこで一泊しましょう。」
37日目
湊霞 舞サイド
甲高い咆哮がビルに響く。
「・・・煩い、バカ湊霞。」
「俺じゃない、あれを見てみろ。」
物凄く不機嫌な舞は、湊霞がコアを作りながら見下ろしている窓辺に近づくと朝日に照らされながら草原の草がカサカサと揺れる。
「・・・恐竜?」
「多分、見た目はヴェロキラプトルと同じ魔物だろうな、さっき草原に迷い込んで来てたラヴァファングを群れで狩っていた。」
「・・・昨日、居なかった。」
「多分だが、他の生き物が動き出さない、夜中から朝方にかけて活発に動くんだろうな。」
ノートを出して簡単な地図を広げる。
「それじゃ、昨日の夜も話したが。ここまでが丁度、片道一日の距離だ。そこで、崖上を中心にここまでの距離を半径に円上に、探索するぞ。」
「・・・山?反対?」
「山の方にしよう。朝から見てたが、噴煙が見えたから、山は火山だと思う。つまり、今までにない、鉱石もありそうだ。」
「・・・わかった、行くぞ効率バカ。」
話しながら準備した舞と一緒に和也は、ビルからでると、魔物に注意しながら火山地帯へと移動する。
「・・・ウィー、見つけた。」
「了解。なら、川に向かって進もう。火山と森の境を移動したい。舞さん頼む。」
「・・・付いてくる。」
「あぁ。」
「ニシシ。舞ちゃんが、仲良くなってきたのだ。」
「そうね。会話0が会話1になっただけなんだけどね。」
2人が川を渡った所で3m程の火を吹くヒクイドリがいた。
「・・・まだ、どうする?」
「仕留めよう。この辺りの魔物の実力を知りたい。ランドを盾役にして、舞さんは周辺警戒を頼む。俺がメインで戦う。」
「・・・わかった。(頑張れバカ。)」
湊霞が片手剣を錬成すると低く構えた。
「・・・『契約:開』ランド、ウィー。」「ウィ♪」「ブォ。」
「連剣!」
ウィーがヒクイドリの注意を最初に引くと湊霞は、素早く懐に入り、連続攻撃を加える。
ヒクイドリは大きく仰け反ると、湊霞に向けて大きく火を吹いた。しかし、ランドが間に入り攻撃を受ける。
「・・・ん。『契約:閉』。・・・『召喚合成』『契約:開』。」
「なるほど、かなり火力があるみたいだな。」
「なんで、あいつは星野ちゃんの考えが読めているの。目の前でいきなり、召喚獣が居なくなっただけよ。」
「ニシシ。多分、声も聞こえてない。ニシシ。でも、何となくで理解しているんだと思う。」
「・・・ツイストランド。」「グォぉ。」
舞が、魔法陣から生み出したのは4m程の巨大な陸亀である。ランド2体を合成して生み出すツイストランド、ランド以上の体力、防御で速度は遅めである。
ツイストランドは、ヒクイドリの次の攻撃をドッシリと防ぐ。
「それじゃ、この攻撃が切れたら、突っ込む。舞さん、ウィーにもう一度、注意を引かせてくれ。」
「・・・注文多い、迷惑湊霞。」
舞が指を鳴らすとウィーは高高度から降下を始めた。
ヒクイドリが噎せたように咳き込むと、ウィーは下を向いたヒクイドリの頭に体当たり、ヒクイドリが再上昇を始めるウィーを目で追いかけていると、湊霞が一瞬でヒクイドリの足元に来ると、地面を蹴り垂直飛び一撃で首を落とす。
魔物・ヒフキドリLv5
火を吹く陸をかける鳥型魔物。石炭を食べ込んで体内で加熱する。外敵に対して火を噴き、自身より強い敵に対しては強靭な脚で逃走する。羽根の所々に細かい噴射口があり、火の粉が散っている。
ヒフキドリの肉
筋肉質で筋が硬く、熱に強い。しかし、味をしっかりと蓄える。状態:最低
ヒフキドリの羽根
適温保持の性能が高く、加工はしやすい。装備には向かないが、道具にはかなり向いた素材。素材:最低
ヒフキドリの活力炉
物凄い耐熱性があり、最高品質のものならば1000℃にも耐えられる。加工は可能だが、使用にはスキルが必須、装備には向いていない。
火魔石:小
火の属性を持つ魔石。素材として用いられる。
その後、2人は所々で鉱石を拾いつつ、進むと日が傾きだした所で環境が変わる。
そこは大きく隆起した山々がある、少し高くなった台地である。まさに、住宅街の家々がそのまま山になった様な状態であり、まるで迷路のようである。
変異植物 コークスフラワー
石炭で出来た植物。石炭の特性を持ち、火山地帯の近くで地熱で一日を通して適温に保たれる場所にのみ群生する。素材となる。
鉱石 ドライアイアン
加工しやすく、50℃程で流動的になる鉄。スキルで特殊な加工をすると、鋼にすることが出来る。
鉱石 ハードアイアン
加工にはスキルが必須であり、熱にかなり強く、加工はとても難しい。ドライアイアンと合わせることで新たな素材をスキルで作り出せる。
鉱石 ブルーマーキュリー
青い水銀。常温で液体であり、火山地帯では高温で気化していることもある。急激に取り込むと人体に有害であり、無害化にはある素材を用いた薬が必須である。スキルで特殊な加工をすると素材として用いられる。
鉱石 ポリッシュストーン
適度な粗さがあり研磨に適する石。手入れに用いることで装備の耐久、性能の向上が見込める。
「日も傾いている。今日はここで一泊して、明日はあの隆起した地形の所を見ていこう。」
「・・・効率バカ、会話。」
「そうだな。なら、今日は舞さんの戦闘スタイルについて話そう。確か、オリジンスキルに慣れてきたから、今度は戦闘の方向性を決めかねているとか、言っていたな。」
「・・・案、任せる。」
「了解。」
そこから、2人は寝る準備をしつつ、舞の戦闘についての案を出し合った(主に、湊霞が提案、舞はそれをメモする形)。因みに、2人の会話姿を見る2神は子の成長を喜ぶ母のようだった。
九条 鮫島サイド
「今日は、この辺りの探索をメインにしましょう。私たちは鑑定スキルを持ってないので、とにかく、素材として集めましょう。」
「りょ、それじゃまずは植物方面からかな?」
「そうですね。かなり植生が変わっているようですので、出来るだけ集めましょう。ただ、フルーツマウスの時の様な失敗はしないでくださいね。」
そこから、2人は目に見える植物を集める。淡いエメラルドグリーンが内側に光るマングローブ、赤黒い花を付けた蔦、白い花をつけた苔、リボンの様な葉をつけたシダ。
すると、マングローブの根の裏から2m程の蟹が現れた。
「蟹の魔物だね。美味しそう。」
「未来は、本当、食欲旺盛だぜ。」
「未来さん、食べちゃだめですよ。華ノ宮くんに鑑定してもらってからです。」
「凛は、しっかり者なのだ。」
すると、蟹が左手の小さな爪から溶解液を発射する。
「『魔法書簡:開帳』・・・『サンドウォール』!」
「『効果干渉:追弓:連続で大きく曲がる』『追弓』!」
鮫島は、九条の用意した砂の壁に隠れつつ、大きく曲がる矢で攻撃する。
すると、蟹は右手の大きな爪のパンチで矢をぶっ飛ばす。そして、溶解液を受けていた砂の壁が溶けて突破されそうであった。
「この酸、かなり強力ですね。未来さん、一度下がってください。」
「うーん。」
鮫島が周りを見ていると、3m程の高さに太めな枝があった。
「凛、もう一度、壁を出す用意もしてて。『効果干渉:追弓:連続で大きく曲がる』『追弓』。」
「?わかりました。『魔法書簡:開帳』・・・『サンドウォール』。」
「よし、いっくぞ!『効果干渉:剛弓:魔力を込めるほど強力になる』『剛弓』!」
鮫島は、上の枝に矢で縄を縛ると大きく跳躍、そこから思いっきり、弓を絞ると矢を放つ。蟹は左手で溶解液を放つと砂の壁にぶち当たる。矢は砂の壁と溶解液を突き抜け、左手を突き刺す。
「よし!凛、ラストシュート!」
「はい!・・・貫くは強く硬い石『ストーンエッジ』!」
九条の放った石の刃が右手の爪を切り飛ばす。そして、そのままブーメランの様に帰ってきた石の刃が深々と刺さった。
「結構強かったね。」
「魔石と使えそうなこの爪を持っていきましょう。」
「OK!」
2人はその後も魔物や植物を集めてその日を終えた。
38日目
湊霞 舞サイド
「さて、それじゃ、行こうか。遠目にも山の上に鳥型魔物がかなり見えているな。」
「それでも、行こうとしているあんたは、やばいやつでしょ。」
「・・・下、少ない。」
「ニシシ。舞ちゃん、どんどん口数を減らし始めている。」
「湊霞、通訳。」
「時間の無駄だから先を行く。」
2人が山の根元に移動すると、少し暖かくこの世界ではかなり、珍しい小さな植物のみが植生していた。
そして、上で鳴き続けている鳥型魔物たちとは打って変わって、下はとても静かなものだった。
「やっぱり、下は余り魔物が居ないな。」
「・・・でも、出た。」
2人が迷路の様な道を進んでいると、奥の方から1m程の猿が数匹現れた。目の横の模様が個体によって異なり、その足には陸上用のスパイクの様なピックが付いている。
「舞、昨日の夜、話した形をやる。遠距離は俺の方が請け負うから、盾役のランド、近距離のツイストウィーを出して。」
「・・・わかった。『召喚合成』『契約:開』×2ランド、ツイストウィー。」「ブォ。」「キュイィ♪」
湊霞が考えた舞の戦闘スタイルは、複数の召喚獣によるパーティー戦である。ウィーは遊撃要員、ランドは盾役である。今は、この2体だがレベルが上がり、魔力が足りるようになったら、更に役割を持つ召喚獣を増やしていく予定である。
「『創世回帰』。」
湊霞は、周りに多くの投擲用のナイフが地面に刺さる。
ツイストウィーがその鋭い爪で猿を攻撃する。そして、猿の属性を纏う蹴りをランドが受ける。猿の中には、ピックを使い壁を走り、ホバリングするツイストウィーを狙うが、それは、湊霞が投擲で叩き落とす。
そして、落ちた所をツイストウィーが追撃する。そのまま、猿の数を減らしていって、残り数体となった所で、山の上から見ていた鳥型魔物が数匹、飛来してくる。
「やっぱり、戦闘終盤を狙ってきたな。鳥型魔物を舞は頼む。猿は俺の方でさっさと仕留める。」
「・・・3分以内。」
「わかった。」
片手剣を抜くと一気に距離を詰める。ツイストウィーは、飛来する鳥たちに対して、爪による牽制を行う。
猿たちが湊霞に気づくと四方八方から攻撃態勢に入った。
「『流剣』!」
その攻撃を流れる剣の動きで攻撃を受け流す。受け流した猿たちの攻撃は、互いに攻撃する形になり、猿たちは一塊となる。
「『連剣』!」
猿たちの1体1体を斬り伏せる。
その後は、飛来してきてる鳥型魔物は、投擲とツイストウィーによって倒していった。
魔物・スパイクモンキーLv1
足の裏に陸上で見るようなピックがあるサル。死体に全く価値がないが、体内には様々な属性の魔石を持つ。そして魔石に応じて、属性を纏った蹴りをしてくる。
スパイクモンキーの死体
どこも素材としては価値がない。状態:最低
火魔石:小
火の属性を持つ魔石。素材として用いられる。
水魔石:小
水の属性を持つ魔石。素材として用いられる。
風魔石:小
風の属性を持つ魔石。素材として用いられる。
土魔石:小
土の属性を持つ魔石。素材として用いられる。
魔物・ウォークルLv2
流動的な羽を持っており、鷲のような見た目をしている。狡猾であり、戦闘後や戦闘終盤の獲物を集団で狙う。身は無味だが、羽は素材として有能である。
ウォークルの羽
柔らかで魔力伝導率がかなり高い。特に、魔力効果を引き上げる効果を持つ。状態:最低
ウォークルの爪
魔力伝導率が高く、魔力効果を引き上げる効果を持つ。状態:最低
ウォークルの嘴
アクセサリーに加工しやすい。魔力伝導率がやや高く、風の魔力効果を引き上げる効果を持つ。状態:最低
風魔石:小
風の属性を持つ魔石。素材として用いられる。
2人が戦闘後に更に進むと真ん中に小高くなった広場があった。そこで2人は1泊となった。因みにレベルアップした。
ステータス
華ノ宮 湊霞(地球:人族)
職業:下位錬成師(下級職)Lv14〈残りSP0〉
スキル
上級
Lv1
鑑定
下級
Lv4
下級錬成魔法
Lv3
基本武術(剣)、魔力強化、攻撃力強化、自然回復強化(魔力)
Lv2
下級魔法(全)
Lv1
身体強化魔法、走力強化、自然回復強化(体力)
レベルなし
流剣、連剣、状態異常耐性(麻痺、毒、催眠)、パーティー化
オリジン
コモン<創生回帰>
アリス:創造神
星野 舞(地球:人族)
職業:下位召喚使い(下級職)Lv5(残りSP0)
スキル
中級
Lv1
召喚魔法、下位契約魔法
レベルなし
感覚共有
下級
Lv1
パーティー化
オリジン
コモン<召喚合成>
テミス:契約神
身体強化魔法
魔力により、身体能力を強化することができる。レベルが上がると、オリジナルの身体強化方法が確立されていく。
九条 鮫島サイド
「今日はここからもう一度、湖のあった方向に進みます。」
「我が子、凛。それはなぜなのだ。」
「華ノ宮くん的に言うならば『無駄』を無くすためです。ここからまた、川に戻って湖を目指して、探索続行するよりも、少し遠回りになっても大きく膨らみながら湖に戻るほうが新たな発見が望めます。」
「凛、お願いだから和也みたいにはならないでよ。」
「さすがに、なりたくはないので、未来さん、その傾向が見られたら注意してください。」
「りょ。」
「凛のお嬢ちゃんは少年に対して、辛辣だぜ。」
そうして、2人が探索していると、周りとは一風変わった植物の生い茂る群生地があった。
「なんでしょう?」
「凛、なんかいや~な予感がビンビンするよ。」
「ビンビン、なんなのだ。少し古くさく感じるのだ。」
鮫島が近くにあった石を投げると、変わった植物が一斉に大きな口を見せ、石を丸呑み、少し咀嚼すると吐き出した。
「あれ、弟たちがしてたゲームでみたことあるけど、確かミミックとか言う魔物でしょ。」
「これは、フルーツマウスを知っていたので、私たちは警戒しましたが、なにも警戒してない人からすれば、最悪のトラップですね。」
「植物系の魔物は素材あんまり無いし、狩りまくろうか。」
「そうですね。」
そこから2人は遠距離からの攻撃を続けました。
「うーん、なんかオリジンスキルをもっと工夫できそうなんだよね。凛、なんかいいアイデアない?」
「そうですね。私と未来さんのオリジンスキルは、比較的わかりやすい強化でしたし、工夫の仕方もシンプルな方がいいんでしょうか。」
「多分、観方を変えるのがいいのだ。」
「観方・・・。」
「未来のお嬢ちゃん、今、お嬢ちゃんは元々の特殊技能の効果を強化することに固執しているんだ。そこから、考え方を変えてみることだな。」
「我が子、凛も同じなのだ。保管した魔法は詠唱でイメージして放つ、そこを変えるのだ。」
「魔法、保管・・・。」
2人は考え込みながら、歩いていると目の前に大きな川が現れる。
「これは、湖から伸びてた支流の内の1つでしょうか。」
「真ん中に中洲みたいなのがあるね。でも、・・・。」
「川に影がかなり見えますね。一応、魔物の確認もしておきたいので、未来さん、少し煽ってみてください。」
「りょ。」
鮫島が矢を一本影の近くに放つと、大きく水飛沫が上がり、光沢を出す魚が現れる。
「よし、こっちに注目した。」
「では、討伐しましょう。」
九条が用意をすると、数体の影が集まりだした。
鮫島は嫌な予感がして、素早く九条をお姫様抱っこで抱えて回避する。すると、大量の魚が魔法で水の道を作り出しながら突撃してくる。
「ありがとう御座います、未来さん。」
「やばかったね。多分、群れで行動するタイプの魔物だね。」
「ええ。しかし、個々のレベルは低そうですが。『魔法書簡』・・・『アースエッジ』!」
生み出した砂の刃は、追随する大量の魚を切り裂く。そんな追い掛けっこを繰り返していると日は傾き、今日はここで一泊する流れとなった。因みに、二人ともレベルが上がる。
ステータス
九条 凛(地球:人族)
職業:下位土魔法使い(下級職)Lv6(残りSP0)
スキル
中級
Lv1
中級魔法(土)
下級
Lv3
下級魔法(全、土)
Lv2
魔力強化、自然回復強化(魔力)
Lv1
命中率強化
レベルなし
状態異常耐性(毒)、パーティー化
オリジン
コモン<魔法書簡>
ガイアラ:大地神
鮫島 未来(地球:人族)
職業:下位弓使い(下級職)Lv7(残りSP0)
スキル
下級
Lv3
基本武術(弓)、命中率強化
Lv2
体力強化、走力強化
レベルなし
貫弓、広弓、追弓、連弓、剛弓、パーティー化
オリジン
コモン<効果干渉>
アルミス:狩猟神
39日目
湊霞 舞サイド
この日は崖沿いに登ってきた時の崖上方向を探索していった。
「・・・!」
「お、拠点に良さそうな立地が見つかったみたいだな。」
「・・・。」
「了解。にしても、崖の途中にあるとは、感じ的に仮拠点からさっきの隆起した台地までの直線上にあるみたいだな。」
「おかしい。星野ちゃんは一言も発してないのに、コミュニケーションが成り立っている。」
「ニシシ。湊霞くんが舞ちゃんの少ない表情の変化に過敏に気付けるようになっている。」
会話量は、初日と変わらなかったが、2人の距離が目に見えて近くなっている。なんなら、夜の話し合いの際は、舞がかなり話す。つまり、二人きりならばかなり会話するらしい。
「ここなら、崖上も崖下もアクセスしやすいな。しかし、・・・。」
「・・・。」
「あぁ。そこは考えとかないと行けないことだな。」
「・・・?」
「候補ではある。だが、個人的には別の用途に使いたい場所だな。」
「・・・ウィー。」「ウィ♪」
舞が、上空で旋空していたウィーに指示を出すと、素早くウィーが湊霞の手を掴み、減速させながら崖途中の土地に降下した。そして、舞も二匹目を出すと、湊霞に続く。
「んん〜。少し狭いが個室じゃなくて、男女別部屋にすればそこそこ使えそうだな。」
「・・・。」
「いや、男子は俺だけだし、女子部屋を広めに取るつもりだ。」
「・・・。」
「確かに錬成するスペースは欲しいが、必須というわけじゃないしな。」
「異質ね。」「ニシシ。異質。」
舞は、地面に棒で線を引いている。湊霞はそこに、文字を書く前に返答しており、まるで会話をしているようなリズム感である。
2神から見ると、壮絶な独り言に聞こえてしまう。
「ひとまず、ここに足場を用意してから帰るとしよう。」
「・・・。」
因みに、途中で一匹でウロウロしたゴブリンを2人で狩っている。
魔物・ゴブリンLv2
緑の肌に小柄な体の魔物。バカではあるがすぐに学ぶ。死体に全く価値がない。他種族の雌を捉える。繁殖力が余りにも強い。
ゴブリンの死体
無価値な上に、強い激臭を出し始める。また、死体を燃やさず、放置すると魔物を呼び込む激臭を出し、死体を食べた魔物を変異させる。状態:最低
ゴブリンの粗末な武器
ゴブリンお手製の不格好で粗末な武器。高度な知識を得たゴブリンはここから更に工夫をした武器を作り出す。状態:最低
風魔石:微小
風の属性を持つ魔石。素材として用いられる。
九条 鮫島サイド
「今日は、真っ直ぐ仮拠点に帰ります。」
「多分、ここまで片道1日かな?」
「そうですね。それも、戦闘をとにかく回避してですが。」
「それでも、ギリギリだと思うぜ。」
「なら、こうしよう。」
鮫島は、九条をお姫様抱っこするとすぐに走り出した。回収した素材はあるものの、かなり早く、日がお昼を超える頃には巨大湖のトラップ回収まで出来た。
「凄いですね。未来さん、どうですか?さすがに、この素材の数では難しそうですか?」
「そうだね。ここからは、2人で行こう。」
「未来は、足が4人の中でトップなのだ。単独行動なら、かなり移動距離が広がりそうなのだ。」
「だが、探索人数が減れば減るほど、危険度は上がる。俺としては、心配だぜ。」
「それと、あれは・・・。」
「この間はいなかったね。」
「多分、深く潜ってたんでしょうね。この湖のエリアボスでしょうね。」
「デカすぎるでしょ、この間のトカゲが可愛く見えるよ。」
2人の見据える先には、5mを超えそうな大きな背ビレが薄っすらと見えている。
そこから、2人はパンパンになったリュックを抱え、川沿いを登る。
40日目
「それじゃ、昨日、九条さんたちから預かった素材の確認も含めた。ここ数日の探索をまとめたノートをみてくれ。」
「相変わらず、早いですね。」
「ヤバ、ノート見やすい。元の世界でも、湊霞と仲良くしてれば良かった。」
「・・・。」
湊霞、舞サイド
候補地:3つ
エリアボスの発見
森の終わりに荒廃した村の平原の発見
泊りがけで更に奥地に進み、とても広い平原とポツリとポツリと荒廃した家が見られた。しかし、緑の鱗のラプトルのような魔物の群れが見られた。
新たな魔物の発見
ヒフキドリ、スパイクモンキー、ウォークル、ゴブリン、
凛、未来サイド
候補地:2つ
エリアボスの発見
湖に大きなヒレを確認。それ以上は確認できず。
ミミックの群生地を発見
魔物・ミミックの群生地が湖の右側に見つかった。
魔物・リーフミミックLv1〜4
植物の葉に擬態したミミック。人の腕ぐらいなら平気で噛みちぎる。その死体はアイテムポーチの素材となる。
魔物・ウッドミミックLv2〜6
樹木に擬態したミミック。人を丸呑みに出来る。その死体はアイテムボックスの素材となる。
魔物・アイアンフィッシュLv1〜5
鉄の体をした魚。見た目はイワシに近く、大群で活動する。身は鉄のため食せない。
魔物・ファイトクラブLv6
右に大きな爪を持つ蟹。パンチが得意だが、左の小さな爪からは酸性の粘液を出すこともある。
ビックリ葉
2つの葉が重なり、袋のようになっている。魔力を込めた加工を行うことで中が、空間拡張される。加工は少し難しい。状態によって、収納できる量が変化する。状態:最低
擬態液
周りの香りに擬態した匂いと色に着色する液体。ミミック系統の魔物は全て用いている。素材として加工可能。状態:最低
ビックリ木材
箱に組み上げる際、魔力を通して加工すると空間拡張する。加工は難しい。状態によって、収納できる量が変化する。状態状態:最低
空間魔石:小
空間の属性を持つ魔石。素材として用いられる。加工には中級以上のスキルが必要。
鉄鱗
硬い金属製の鱗。装備の加工、保工に素材として用いられる。状態:最低
水魔石:極小
水の属性を持つ魔石。素材として用いられる。
抗酸の爪
酸に対する抵抗が高い爪。加工は比較的簡単だが、熱に弱い。状態:最低
水魔石:小
水の属性を持つ魔石。素材として用いられる。
因みに、この日はオフとなったが、湊霞は黙々とスキルレベル上げ、舞はそれをただ淡々と見ており、時折、足の動きを真似たりしている。
九条は、魔法のイメージをノートに書き留め始めた。
鮫島は、パルクールノートと書かれたノートに色々な矢の動きを書き出していた。
今回は会話や表現に少しヒントが・・・。
いつもはYouTubeで活動してます。
この作品の裏話や挿絵、紹介動画なんかもしていくつもりなので、見に来てください。
https://www.youtube.com/channel/UC3wzuZXPJ0Izmji-vlTWgdg