間話 姫専用亀馬車の歩みは力強く
チビエマ士族達はこの日の為に凄まじい準備をしてきた。
あらかじめアグノース帝国を下見したり
流行りの物を調べたりも
メイドと竜王妃は、1ヶ月間も徹夜で赤ちゃん用の服を作った。
竜王は悟りを開いた顔をして、ちょっと個性的な小説を見て絶句したり
竜王子は魔獣王子と共に側近二人を連れて魔導兵器や魔導具開発を頑張った。
馬車の中では、チビエマ士族が数人で内部を整えていた。
向かい合わせにある座席は、灰色の羽毛布団を敷いてふかふかに。
赤ちゃんが好きそうな玩具や、令嬢達の間で流行している最新の小説を異空間から本棚ごと取り出して置く。
チビエマ士族とは別に、ある空間から男性と女性の手が伸びると、魔法で白い花弁を散らせ、絶妙の温度で時間を停止させたミルクセットを保温鞄に入れるとチビエマ士族に渡し、男性と女性の手は異空間と共に消えていく。
「流石竜王様ガオ。竜王妃様も完璧ガオ」
「父上も母上も抜かり無しギャルル。後は……迎えるだけギャル」
「乳幼児用お菓子も毒味完了してますガオ」
「馬車内の全ての魔導具、魔導兵器、全て問題ないギャルル」
「暗器、暗器の予備、魔力ポーション、エナジーポーション、チビエマレインボーポーション、緊急万能ポーション、地獄帰還ポーション問題有りませんコン」
チビエマ士族が確認すると、五匹は全員でバラバラに異空間の中に消え、次に現れたのは美しいメイドと、麗しい四人の騎士だった。
御者のチビエマ士族は、ウサギの姿に背には翼が生えており、ハードボイルドな顔をしながら無言で馬車を引いてる魔物のカメをさばいている。
亀の魔物なのにちゃんと速度もあり、先頭を走る翼を持つ狼を見失っていない。
亀の足は、亀に見えない凄まじい筋肉の付いた四肢で力強く地を走って居る。
亀馬車は地を走る。
ハードボイルドな表情には、真っ赤な夕日が似合う。




