ドラゴン襲来!!初代精霊王降臨!?
「ドラゴン旨そう」
「いや、食べるなよ!?」
「ドラゴン肉……」
「ちょ!?僕達もドラゴンなんだけど!?」
「怖いんだけど!?」
異空間では恐怖していた。
「まず最初に言っておくが、俺を含めお前の両親や他にも関わった奴等は全員含めて……ある奴に利用され操られていたのは事実だ」
トマフは海美を見詰めはっきりと真剣な表情で答えた。
「そんなデタラメ信じないダテン!!」
すかさずカインが否定する。
「今は信じてくれなくてもいい。この先や、事情を知りたければ魔教国に来い」
海美から視線を外さないままトマフは更に言う。
「……奴の顔は本気なんだろう。だが、断片的に言われても分からん。そもそも、何故魔教国はアグノース帝国を攻めたのだ?」
「昔と違ってアグノースから他のと種族が独立しているし、周辺を小国に囲まれていて孤立無援だ。
その内の一つの大国が、策略と謀略を尽くして小国を次々と呑み込んでいてキナ臭い。
このままでら、アグノース帝国に未来は無いのが確実だって事でサイラス、お前を早くこの世界に呼び寄せたくてアグノース帝国を守る為に動いたんだ。
まさか……今日お前が転生するとは思ってなかったけどな?」
苦笑して肩をすくめトマフは答えた。
「そこまでして……どうして帝国を守ろうとしてくれたんだ?」
トマフ達の行動理由が分からず、海美の瞳が不安に揺れた。
「かつて俺は……お前を傷付けお前の家族を奪った。
今の俺にはお前を愛する資格なんてない。
……それでも、マテリシアとして建国したアグノース帝国を守りたかったんだ」
海美から顔を背けてトマフは答えると、辛そうな表情で下に俯く。
「……そうか。だが、お前や元実家を信用することは出来ん。
悪いが、兄様達と共に乗り込ませて貰う」
トマフを見据え海美は燐とした口調で言い放つ。
「好きにしろ」
トマフも苦笑して頷いた。
「それじゃ立ち話もなんだし、今から案内してやるよ」
苦笑してトマフが言うと、背を向けて歩きだそうとした……その時。
上空に一匹の銀色のドラゴンが現れた。
……あれは……シオンと側近の子供達!?
……それにあの赤子は……シェレスティアナ!?
ドラゴンは結界の中で眠っている息子達と、チビエマ士族と共に居る赤子を見て目を見開く。
「……あのドラゴンは……」
トマフはドラゴンを見て呆れた顔をする。
……あいつは聖騎士!?まさか子供達を害する気か!?
ドラゴンや竜種にとって我が子は宝。
ドラゴンはこの時、冷静さを見失ってしまう。
『消し飛べ!!ドラゴンブレス!!』
ドラゴンはトマフに向かって青いブレスを吐いて攻撃する。
「っ!?」
防御魔法が間に合わずトマフは青い焔に包まれた。
「なっ何だ!?あのドラゴンは!?」
エンジェビトとダテンビトによって結界で守られた海美はびっくりする。
「姫と同じ魔力を感じますエンジェ。
恐らく今世の姫の父君エンジェ」
ハルヒはドラゴンを見て海美に伝えた。
「今世の父か……」
上空を飛ぶドラゴンを見て海美は複雑な顔になる。
『シオンや産まれたばかりの我が娘、シェレスティアナに手出しはさせん!!』
追い討ちとばかりに、ドラゴンは叫ぶと数発ブレスを放った。
「シェレスティアナって私の名前か?」
「そう見たいエンジェ」
海美改め、シェレスティアナは気付くとハルヒに確認し、ハルヒも頷いた。
「見くびられた物だな」
トマフの声がした瞬間、黒い精霊が現れ息吹き一つで青い焔もろともブレスを悉く吹き飛ばした。
『……なっ!?』
ドラゴンはびっくりして目を丸くする。
「……黒い精霊……?そうか……あいつも闇に染まったから精霊も堕ちたのか」
気付いたシェレスティアナは悲しそうな表情で唇を噛む。
かつて人間とハイエルフの血を引いたハーフエルフの王は、初代精霊王となり、様々な精霊に愛されていた。
青い焔を吹き飛ばして現れたのは、長い緑色の髪を靡かせ、上半身の服や鎧は焼け落ち引き締まった体つきをしており、耳が僅かに尖っていて、鋭くきつい目をした色白の美しい青年だった。
トマフ改め、真の名を初代精霊王ラーティス・フェルス・ファルゲラ。
かつて人間とエルフ、そして魔教国と共存を目指した人間国の王である。
「あーっくそっ!!変化の魔法解けちまっているじゃねぇーか!?」
頭を掻きむしりラーティスは苛立ちを募らせ地団駄を踏む。
「今世の父は何故怒っている?」
そんなラーティスを華麗にスルーにしてシェレスティアナは問い掛ける。
「そんなの、お前らを害されたと思って頭に血が上ってんだろうよ。
今も昔も、竜種は子を宝にして守るからな」
シェレスティアナに聞かれ、ラーティスは面倒臭そうに答えた。
「そうか……。のう、ラーティスよ。このまま父を殺さずに倒してくれるか?
倒さないと正気に戻らぬのがドラゴンや竜種の特徴だろう?
可能ならばお前に頼みたいのだ」
「お前の頼みだし、お前の今世の父であるからな。
面倒だが仕方無い。善処してやるよ。
ファイアル、ボルクル」
シェレスティアナに頼まれ、ラーティスは精霊を呼ぶと、焔と雷の精霊が現れる。
「フレイムサンダーボルト」
そのままラーティスが唱えると、二匹の精霊も焔と雷をドラゴンに向かって放つ。
焔と雷が一つになり、燃えながら雷を纏うトルネードになってドラゴンに襲い掛かる。
『エナジーブレス!!』
自分の魔力と生命力をブレスに変換してドラゴンが放つと、トルネードを一撃で霧散させた。
「エナジーブレス……流石は今世の王配だな」
お手上げだと、ラーティスは肩を竦める。
「む?父が王配って事は私は皇女か!?」
シェレスティアナはまたもやびっくりした。
「精霊王とドラゴンだと相性最悪エンジェ」
ロイスも一連のバトルを見て困り果てて目を細める。
「……二枚卸しにするか?5分だけ人間バージョンに戻れるなら可能だぜ?」
「却下。父の二枚卸しは見たくない」
笑ってカインは言うが、すかさずシェレスティアナは拒否した。
続けてドラゴンにブレスを吐かれ、ラーティスは防戦一方になってしまう。
「あーもう!!ただでさえドラゴンは魔力の塊だって言うのに、エンシェントドラゴンの血を引くドラゴンかよ!?」
結界で防ぎながらラーティスはぼやく。
「……ふっ、死亡フラグ詰んだな?ラーティスよ、お前の死は無駄にしないぞ!!」
「いや、既に一回死んでアンデットだけど勝手に殺すなよ!?」
ハードボイルドな顔をしてシェレスティアナが言うと、ラーティスが焦ってツッコミを入れた。
その息の合った様子は、かつて何でもテキトーだったお気楽大聖女と、必死にフォローする精霊王の在りし日々をチビエマ士族に思わせる仲の良さだった。
「エンジェビ……」
「……ダテン……」
だが、過去は過去。戻れぬ日々にチビエマ士族は悔しそうな顔をした。
「焼き肉、炭火焼き肉、ドラゴン肉食い放題」
「涎止まらない~~」
「喰いたい」
「「怖いわ!!」」
ドラゴン肉喰いたくなった人、喰われたくない人。
異空間はドラゴンで盛り上がる。




