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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第17章 『???』を探そう

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第513話 川を目指して


 みんなが勢揃いして、この名前のない平原の探索を開始である。アルのクジラに乗って、平原を進んでいく。さてと、さっきジェイさんと弥生さんから仕入れた情報を伝えておかないと。


「アル、さっき聞いてきた情報だけど川が見えてくるはずだから、そこからは基本的に川沿いが良いらしいぞ」

「ほう、川があるのか。……そういえば、ここは前に来たスターリー湿原とも繋がってるって事だったし、あの時の川か」

「あー、多分そうだな」


 よく考えなくても、どう考えてもその川だよな。……うん、マップを開いて見てみれば今の場所から北側にほんの少しだけマップが埋まっている場所がある。ついでに少しではあるけど川の一部も表示されてるな。間違いなくあの時の川だけど、ここからはちょっと距離があるな。


「ケイ、川沿いが良いのはどういう理由でかな?」

「その川が青の群集の森林まで繋がってるんだとさ。迷う余地がなくなるって事」

「あ、なるほど。そういう事なら納得かな」

「それなら川を目印にしながら、周囲を探索しつつ、進んでいくのが良いんじゃない?」

「私はヨッシのその案に賛成さー!」

「俺も賛成。アル、とりあえず川を見つけるまでは少し北寄りにしつつ、東に進むのでいいか?」

「おう、いいぜ。ここの川なら、結構川幅も広そうだしな」

「あー、確かに」


 そういやどんな規模の川かを聞くのを忘れてたな。まぁ前に行った上流になるスターリー湿原もクジラが通れるだけの幅があったんだから、その下流ならもっと川幅は広いだろう。場合によってはアルの空中浮遊もいらないかもね。


「ま、軽くだが情報は分かった。まずは川を目指すって事だな」

「そういう事。あ、そういやアル、昇華魔法の情報は聞いたか?」

「おう、聞いてるぜ。新しい昇華魔法は色々と面白そうな組み合わせだな」

「うん、そうなるね。広範囲への状態異常としては、破格の性能かも」


 確かに広範囲へと凍結と凍傷の状態異常を引き起こすダイヤモンドダストとかはかなり凶悪になるだろう。ただ、視界が悪くなるブリザードとかもあるから他の昇華魔法よりも使い時は慎重に選ばないといけないな。


「で、フィールドボスと1戦やって、風属性強化Ⅰを取ったんだってな?」

「あー、……やっぱりまずかった?」

「いや、それ自体は別に良いさ。その代わりと言っちゃなんだが、機会があれば俺にも風属性強化Ⅰを取らせてくれ」

「え、それは別に良いけどなんでまた?」

「単純な話だ。次に風の昇華を狙おうかって考え出してな。聞いたぜ、ダイクさんと大暴走したんだってな?」

「……やっぱりそれも聞いてたか」


 まぁアルのいない夕方での重要項目の1つではあるから、サヤとヨッシさんが伝えていない訳じゃないか。うん、確かにアルが風の昇華を手に入れるというのもありだと思うけど、アルはクジラの物理の強化でも良い気はするんだよな。


「アルさん、待ったー! 風の昇華は私のクラゲで目指すのさー!」

「え、ハーレが取るのかな!?」

「ハーレ、クラゲの強化の方向性を魔法にするの?」

「うん、そうするつもりー! クラゲで大型化も使えるようにして、帆みたいな感じでアルさんを引っ張るのさー! 触手の向きは自由に変えれるから、クラゲの傘の中に向かって撃ち込めるのです!」

「……へぇ、後ろに噴出して推進力にするんじゃなくて、風を受けて推進力にする形か。これから鍛えるのならちょっと時間はかかりそうだが、それは面白いな、ハーレさん!」

「えっへん! 私も色々と手段は考えているのさー!」

「……思っていた以上に具体的な内容でちょっとびっくりなんだけど」

「あー!? ケイさん、その言い方は酷いんだー!?」

「ちょ!? 今のは俺が悪かったから、石を投げまくるのはやめてくれ!」


 ふー、ダメージはないとはいえ、思いっきり石を投げられてしまった。流石にさっきの言い方は俺が悪かったのでちょっと反省。

 それにしてもハーレさんのクラゲで風の推進力を、アルの水流の操作か空中浮遊で空を飛び、場合によっては俺の水と土の突撃モードの改良版で一気に距離を詰めるのもありか。課題はまだまだあるけども新たな移動手段が見えてきたね。


 なんだかんだで空飛ぶクジラ計画も実用段階には達したし、ここからもう一段階の強化を進めていくタイミングなのかもね。

 そういう意味で考えるなら、使い道に悩む事になったイベント報酬で貰ったスキル強化の種と、今回のスクショコンテストの報酬で手に入るスキル強化の種がぜひ欲しいところだね。あれはいくつあっても破格なアイテムだしな。




 そんな風にアルがいない時の情報を伝えているうちに、目的としていた川と、その周囲で戦闘中の集団を発見した。えーと、どうやら青の群集の人みたいだね。

 戦っている敵は表面に鋭い棘が沢山生えたワニで、黒い王冠マークがあるって事はフィールドボスのようである。……最適化はされてない感じだから、棘のある種族との合成進化とかかな?


 羽のある西洋系の龍が天然で存在しているみたいだし、手動で誕生させる以外にも合成進化は発生していてもおかしくはないので、青の群集が誕生させたのか、天然なのかはよく分からん。うーん、どっちだろうか?


「なぁ、みんな。あのフィールドボスのワニってどう思う?」

「……元々居てもおかしくはないが、青の群集が誕生させたものって可能性はあるな。ふむ、随分苦戦してるみたいだし、Lvが高そうなのがなんとも言えないところか……」

「なんとなくだけど、青の群集の人が誕生させたのに1票です!」

「それじゃ私は天然のワニに1票かな?」

「予想するのは良いんだけど、どうやって確認するの? あ、私は天然に1票ね」

「そう言いつつも、ヨッシさんも予想するのな? んじゃ、俺は誕生に1票」

「アルもじゃねぇか!? ……よし、ここは大穴狙いで誕生させたは良いけども、倒された人が続出してLvが上がって手に負えなくなった半分誕生からの成長で!」

「おい、ケイこそ無茶苦茶なとこに突っ込んできたな!?」

「ふっふっふ、普通の可能性を考えても面白くはないからな!」


 まぁ青の群集の内情が分からないから、ぶっちゃけ確認の手段なんかないんだけどね。……でもまぁ、どうも苦戦している様子を見るとあながち間違ってない気もするんだよなー。単なる勘ではあるけどさ。

 って、あれ? ワニとの戦闘中だったヘビ……じゃないな。苦手生物フィルタが機能してないし、よく見ればウナギの人か。そのウナギの人が空中を泳ぎながら俺らの方に慌ててやってきた。他の人が苦戦中なのに離れてきていいのか?


「あ、あんたらって、昨日の報復に参戦してた人達だよな!? 急で無茶な頼みだとは思うんだけど、助けてくれ!」

「「「「「……はい?」」」」」


 思わずみんなの疑問の声が重なってしまっていた。えーと、苦戦中なのは分かるけども、他の人達を放置してきて良いのかな? あ、サイの……あれ? 角が3本あるけど、あれってサイか? うーむ、掲示板でトリケラトプスも出てきてたみたいだし、ちょっと判別がつかない。

 って、苦戦中で救援要請なら長々と考察してたら駄目だな。まずは端的にでもいいから情報を聞こうじゃないか。


「えーと、とりあえずどういう状況?」

「あぁ!? そりゃいきなりだと困惑するよな! えーと、灰の群集ならもうこの情報を掴んでるのはほぼ確定ってジェイさんが言ってたっけ。それなら言っても問題ないよな……?」

「……おーい?」


 何やら気になる独り言が聞こえているけども、そこで自己完結しないでくれるかー? えーと、このウナギの人はエルクさんか。てか、ジェイさんの名前が出てきてたなー。流石はジェイさん、青の群集の情報分析担当ってとこか。まぁ詳しい実情は知らんけど。


「あ、またやった! すみません! えっと、昨晩の騒動の後にフィールドボスの誕生を試してみたPTがいて誕生は出来たんだけど、ちょっとリアル側のトラブルで主力の人が強制ログアウトになって、誕生させたメンバーが全滅しちゃったらしくてさ……。その後に立て直した後ではどうやら川の中に逃げられたみたいで、ついさっき俺らがようやく見つけたら既に成長しちゃってて……。今、増援は呼んでるんだけど、その前に全滅してしまいそうなんだよ!」

「あー、なるほどね」


 ふむふむ、数日遅れではあるけども青の群集もフィールドボスの誕生手段は発見か。……タイミングが昨日の夜ということは、問題連中が消えて検証が捗ったのかもしれないね。……うん、軽い冗談のつもりで思ったけど、冗談抜きでその可能性はありそうだ。


「それじゃ、あのワニから全滅しないように助ければ良いのかな?」

「いきなりで悪いんだけど、それなりに弱らせてるし逃がすとまた探すのが大変になるからそうしてもらえると助かる。灰の群集の人に頼むのも、少し筋違いな気もするんだが……」

「あー、そこは気にしなくていいよ。それで、あのワニをぶっ倒すのはあり?」

「えーと、可能ならそれでも良いけど、Lv21になってるぞ?」

「……へぇ?」


 既にLv21とは、これは思わぬ強敵との遭遇だね。これは経験値を稼ぐチャンスか? 夕方に手に入れた経験値を増加させる水草は……今はみんなとのLv差はあまり出したくないから使わない方向性で行こう。あれを使うのはLv差が大きく出てきた時でだ。それに倒すつもりではやるけど、一応倒せない可能性もあるからね。


「よし、みんな! あのワニをぶっ倒しに行くぞ! 狙え、大量の経験値!」

「「「「おー!」」」」

「えぇ!? 本気で倒す気だ、この人達!?」


 おいこら、救援を求めてきておいてその言い草はないだろ。……まぁ悪意もない感じだし、そこまで気にする必要もないか。さてとこの状態だと乱入で横殴りする事になるんだけど、ここはPTの連結機能を使うのが得策かな。今のPTリーダーはヨッシさんだから……。


「ヨッシさん、PT連結!」

「あ、うん、確かにそれがいいね。エルクさん、そっちのPTリーダーは?」

「それは俺なんで大丈夫!」

「そっか。それじゃ、連結申請ね」

「助かる!」


<エルク様のPTと連結しました>


 よし、これでPTの連結は完了っと。って、2PTの10人で挑んでて既に5人が殺られてる状態か。これは確かに、通りがかった俺達に救援を頼んでくる訳だ。多分、この状態では青の群集からの救援は間に合わない。

 ざっと見た感じではこの人達は同じ『ブルークリスタル』っていう共同体みたいでエルクさんがリーダーみたいだね。なるほどね、共同体で一緒にボス戦をしてた感じか。


「おーい、みんな! 通りがかった灰の群集の人が手伝ってくれるぞ!」

「お、マジか! そりゃ助かる!」

「『グリーズ・リベルテ』……? はて、どこかで聞いたような共同体名なような……?」

「それはいい! とにかくこのワニをどうにかすんぞ!」

「……だな。何とか半分までは削ったんだ! 増援が来たなら、あいつらが戻ってくるまで耐えて、絶対に倒してやる!」


 おー、かなりの劣勢ではあるけども俺らが参戦した事で士気が少し上がったみたいだね。お、サイというかトリケラの人が、噛み付いて来ようとしたワニの顎を下から掬い上げるようにして妨害したね。


「ヨッシさん、ダイヤモンドダストをよろしく。まずは壊滅しかけの状態を立て直す!」

「了解。早速、出番だね。『並列制御』『アイスクリエイト』『アイスクリエイト』!」


 そうしてヨッシさんがダイヤモンドダストを発動し、キラキラ輝く氷の粒がワニの周囲を覆っていく。よし、ワニって爬虫類だから冷気には弱いっていう判断は正解っぽいな。

 とりあえずワニには凍結と凍傷の状態異常が入り、動きが鈍った上に継続ダメージを与えていく。ふふふ、ヨッシさんの氷の昇華魔法はやっぱりかなり有用だね。


「よし、今のうちに最大火力で連発を畳み込め! サヤとハーレさんは連撃で、アルはチャージ! ヨッシさんは魔力値の回復! 青の群集の人で行動値やHPが厳しい人は下がって回復! そうでない人は攻撃に加わってくれ!」

「はーい! 『魔力集中』『アースクリエイト』『操作属性付与』『連速投擲・土』!」

「分かったかな! 『魔力集中』『アースクリエイト』『操作属性付与』『爪刃双閃舞・土』!」

「おうよ! 『魔力集中』『アースクリエイト』『操作属性付与』『激突衝頭撃・土』!』

「了解。私はまた昇華魔法を撃てるように回復だね」

「せっかくの大物だ! 回復アイテムの出し惜しみはなしで行くぞ!」

「「「「おー!」」」」


「あー、思い出した!? 『グリーズ・リベルテ』って灰の群集の『ビックリ情報箱』の事だ!?」

「「マジで!?」」

「そういえば、メンバー構成も聞いた通りのような……」

「いや、今はそれどころじゃないだろ……」

「「「「確かにそうだった!」」」」

「とりあえず回復に専念だー! 俺らから救援を頼んだ以上、邪魔になるような事や指示の無視はすんなよ!」

「「「「おう!」」」」


 少し脱線しかけた青の群集の人達だったけど、エルクさんが上手く軌道修正をしてくれたようである。パッと見た感じでこの人達は決して弱い訳ではないようだ。えーと、ウナギのエルクさん以外には、さっきのトリケラの人と、カンガルーの人と、ハリネズミの人と、カメの人か。


 さてと、サヤの爪による連撃はワニの表面の硬い棘が邪魔になってうまくダメージが通っていないな。逆にハーレさんの投擲は硬い部分を避けて、開けた口の中に投げ込んでいるのがそれなり効果があるようだ。凍結のおかげで動きが鈍っているのも良い効果を発揮しているようだね。

 ざっと見た感じ表皮は物理攻撃が通じにくいというのであれば、表皮でない場所を狙えばいい。どの程度まで効果があるかは実際に試してみてから判断だな。


<行動値1と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』を発動します> 行動値 69/70(上限値使用:1): 魔力値 199/202

<行動値を19消費して『岩の操作Lv3』を発動します>  行動値 50/70(上限値使用:1)


 魔法砲撃が発動したままだったけど、今回は使わないので砲撃化はなしで通常発動だね。サヤとハーレさんの連撃にワニが気を取られている隙に、ワニの尻尾を固めるようにして岩を生成して……よし、捕獲成功!

 おー、暴れだしたけども、そんなのはお構いなしで空中にぶら下げてやる。……ちゃんと方向も調整してっと。


「アル、腹側に思いっきり叩き込め!」

「おうよ!」

「私は退避ー!」


 そしてハーレさんは慌てて巣から飛び降り、アルの眩い銀光を放つ頭突きが硬い棘に覆われていないワニの腹部に直撃した。ハーレさんが巣にいた都合でそれ程勢いはつけられなかったけども、とりあえずそれなりのダメージにはなったんじゃないかな。

 さてと、これらで削れたのは1割程度。元々HPは半分を切ってはいたけども、やっぱりLv差があるからタフだなー。……とりあえず青の群集の人達が体勢を立て直せる状況は作ったので、ここからはこれまでの戦闘の情報や識別情報などを聞きつつ共闘だね。さて、経験値の為にも頑張るぞ!


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大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
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― 新着の感想 ―
[一言] 川のそばをどんぶらこっこ(?)と、移動していたクジラに藁をも掴む思いで助けを求めたら、『当たり』を引いた『ブルークリスタル』の面々 これで、なんでここにいるのかを聞いたら『観光』と、…
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