第514話 ワニ討伐戦
多分あのワニは合成種だとは思うけど、今は効果時間の残っている岩の操作で尻尾を固めてぶら下げておく。ふむ、空中での移動手段も持っていないみたいだし、踏ん張れてもいないし、魔法も使う気配がないな。これはかなり一方的にハメ殺しが出来るのでは……?
「ヨッシさん、俺の岩の操作が切れたら氷の生成で同じように拘束よろしく!」
「了解!」
あ、攻撃指示を出していこうと思ったらワニが自己強化を発動したね。薄っすらと透明なオーラが全身にってことは属性は無しか。てか、暴れんな! うわっ、全身を振り回して遠心力で噛み付こうとしてきたぞ、このワニ!? ……噛み付かれるとヤバそうだし拘束も破壊されそうだから手を打ちたいけど、今のアルはクジラでログイン中か。登録にあればいいんだけど……。
「アル、根の操作は使えるか!?」
「共生指示の登録に入れてるから問題ねぇぞ!」
「よっしゃ! それじゃ、それでワニの口を縛り上げてくれ!」
「おう! 『共生指示:登録3』!」
そうしてアルが呼び出した根の操作で、ワニの口を縛り上げようと根を伸ばしていく。おー、暴れまくって噛み付こうとしてたけど、アルが上手く回避して縛り上げてくれた。
よし、これでワニは尻尾も口も塞いで吊り下げた状態になったね。結構な力で暴れて、操作可能な時間もどんどん減っているから急がないと。
「サヤとハーレさんはワニの腹側に向けて攻撃をよろしく」
「うん、分かったかな! ハーレ、爆散投擲の準備をしてて! 私が連撃でチャージの時間を稼ぐかな!」
「了解です! 『アースクリエイト』『爆散投擲・土』!」
「余所見してんなよ、ワニ! こっち向いてろ!」
「アルさん、ナイス!」
「アル、ありがとかな!」
ハーレさんはいつも通りアルの木の巣の中にいるので、そちらの向きにワニの腹が向くように根で調整をしていく。俺もそれに合わせて、ちょっと向き調整っと。
「あー、俺達は何をすれば……?」
「えーと、まず確認。あのワニって物理型で合ってるか?」
「あぁ、それは間違いない」
「なら、魔法持ちはサヤに当てないようにだけ気をつけて、魔法をぶっ放してくれ。あと、誰か識別情報を教えてくれ」
ここまでの状況で物理型という大体の察しはついていたけど、正解だったみたいだね。それでも一応ちゃんとした識別情報は知っておきたい。特性に何を持っているかが分からないからな。
「殺られたのが物理型の奴らだったから、ここにいるメンバーはバランス型か魔法型ばっかだな。よし、識別情報は俺の方で伝えとくからお前らは攻撃に行ってこい!」
「「「「おう!」」」」
どうやら俺らに救援要請をしてきたのは、前衛で戦っていた人達が壊滅して後衛の魔法型の人が取り残されていた状況だったみたいな感じだね。そりゃ群集が違っても助けを求めたくもなるか。ま、今の状況なら魔法戦力は有効だろう。
とりあえずウナギのエルクさんが識別情報を教えてくれるようなので聞いておかないと。……さて、岩の操作をしながらだから、色々と油断しないようにしとかないといけないけども……。
「私が合わせるから、みんなは好きに撃っていいかな! 『連閃・土』!」
「そう言ってもらえると助かるが、任せっぱなしって訳にも行かねぇ! 間違っても邪魔にはならないようにすんぞ! 『魔法砲撃』『エレクトロボム』!」
「複合魔法はこの場合は邪魔だな! 『並列制御』『アースボム』『土の操作』!」
「確かにな! 『並列制御』『ファイアボム』『火の操作』!」
「あー、手動操作は苦手……。って事で『魔法砲撃』『ウィンドボム』!」
「続けて行くかな! 『爪刃乱舞・土』!」
そして、サヤが一閃ずつ斬り裂いて行くタイミングに合わせて、トリケラの人が魔法砲撃で角から電気魔法を、カンガルーの人が手動操作の土魔法を、ハリネズミの人も手動操作で火魔法を、カメの人が魔法砲撃で口から風魔法を放っていた。その後、更なる連撃をサヤが続けて行く。
サヤが当てやすいように位置をズラしているという点はあるものの、タイミングや狙いはピッタリだね。魔法砲撃と手動操作の使い分けも上手いし、複合魔法になって規模が大きくなる事でサヤの邪魔にならないようにしてもいるようだった。うん、このPT、連携が思った以上に良いぞ。
「って、見てる場合じゃないな。エルクさん、識別情報を教えてくれ」
「あ、あぁ、そうだった! えっと、『硬棘牙撃ワニ』で黒の瘴気強化種の豪傑硬棘牙種だ。属性はなしで、特性は豪傑、牙撃、硬棘、強靭だ。Lvはさっきも言ったようにLv21だな」
「牙撃と硬棘か……」
地味に初めて見る……いや、全然興味を惹かれなかったから気にも留めていなかっただけで特性付与の時に一覧で見た気はするね。まぁ名前的に牙と棘を持っていて、それに関する応用スキルに必要となる特性だろう。そしてこの構成には魔法系の要素は一切ないから、聞いていた通りに物理型で確定。というか特性に合成が無いのなら、最適化の変異進化済みか。
さっきの攻撃を見ている限りでも、サヤの攻撃が効いていない訳ではないけども魔法の攻撃の方がダメージの通りはいい。……でも、自己強化を発動中だから全体的にダメージの効きはさっきより悪いか。
「あ、ヤバい。ヨッシさん、交代をよろしく!」
「ケイさんは時間切れだね? まだ氷雪の操作は心許ないから、こっちで! 『アイスクリエイト』『氷の操作』!」
俺の岩の消滅と同時に、ヨッシさんが氷の塊で同じようにワニの尻尾を固めていく。あ、しまった。つい鍛え終わってるものと思い込んでたけど、ヨッシさんの氷雪の操作はまだろくに鍛えてないんだった!?
「すまん、ヨッシさん! 氷雪の操作の強化がまだなのを忘れてた!」
「ちょっとくらいなら大丈夫! でも、それほど長くは保たないからね」
「それならすぐに再発動するから、ヨッシさんも攻撃に回ってくれ! 俺の再発動の時の繋ぎだけ頼む!」
「あー、ケイ、ヨッシさん。そういう事なら俺の方も繋ぎを頼むわ。このワニの顎の力、とんでもなくて思った以上に操作の時間が削られてる……」
「マジでか!?」
流石にLvが結構上のフィールドボスの拘束は一筋縄ではいかないようである。俺とアルの操作でも、それほど長くは保たないか。……これならいっそLv3の拘束魔法か、そこからの複合魔法の方が良いか……? ふむ、ワニだし氷は有効だった。それに水棲のモンスターなら……
「ヨッシさん、予定変更! 俺とアルの再発動の間はエレクトロケージでフォローを頼む!」
「電気と氷の複合魔法だね。了解!」
「アル、ヨッシさん、ハーレさんの爆散投擲と同時に拘束解除! サヤ、合わせて吹っ飛ばせるか!?」
「任せてかな! 『連強衝打・土』!」
「了解です! でももうチャージ終わってるから、急いでー!?」
「流石、サヤ! ハーレさん、もう少しだけ待機!」
「はーい!」
ハーレさんのチャージが完了して発動猶予状態なのはちょっときついな。それと反面に立て続けに打撃の連撃を叩き込みつつ、新たに打撃の応用スキルを発動したサヤが銀光が強くなっていく連打を繰り広げていく。その一撃ごとに、ヨッシさんの氷とアルの根が悲鳴を上げているように見える。
そういや昨日見た時は、サヤの新しいこの打撃の応用スキルには一撃ごとに吹き飛ばし性能とそれに追撃する為に距離を詰める性能があったっけ。でも今は対象になっているワニを固定している分だけ、その吹き飛ばし効果はダメージに、距離を詰めるのは次の連撃への加速となっているようである。……この応用スキル、敵を固定した方がえげつない事になるみたいだね。
まぁ今はサヤの新スキルの性能分析をじっくりやってる場合じゃないな。興味深いのは確かなんだけどね。さてと、さっきの攻撃を見てた限りでは多分、持ってる人はいると思うんだけど……。
「青の群集の人で、土の防壁の複合魔法を出せる人はいるか?」
「お、それなら俺が出来るぜ。どうすりゃいい?」
「それじゃ吹き飛ばす方向に土の防壁を設置してくれ。吹っ飛びすぎないように、壁にしたい」
「そういう事か。よし、任された!」
「任せたぞ!」
カンガルーの人が土魔法Lv5を使えるようなので、ここは任せておこう。俺が自分でやっても良いんだけど、再度岩の操作を使いたいから自分のスキル発動は空けておきたいんだよな。
「ケイさん、そろそろ限界!」
「ケイ、俺もだ!」
「わー!? 待機時間が過ぎちゃうよー!?」
これ以上の時間的猶予はないか。だが、下準備は整った!
「ハーレさん、サヤ、ぶっ放せ! 土の防壁、展開!」
「おうよ! 『並列制御』『アースウォール』『アースウォール』!」
「ハーレ、サヤ、任せたよ!」
「いっけー!」
「同時に当てるかな!」
そしてハーレさんの爆散投擲とサヤの連強衝打の最後の一撃が同時にワニへと直撃し、カンガルーの人が発動したアースプロテクションへとワニが背中から衝突していく。
さて、このまま壁にぶつかった後にヨッシさんにエレクトロケージで拘束してもらってから改めて俺とアルで拘束だな。でも、どうやらそう簡単にはいかせてくれないらしい。
「あー!? ワニの背中が光り出したー!?」
「……その攻撃に俺らのPTの奴らは殺られたんだよ。背中の棘を連続射出する応用スキルだ」
「……なるほどね」
方向的にワニの背中から銀光が放たれ出したのは分かるんだけど、エルクさんが言うにはこれが壊滅の原因になったスキルのようである。……確かに背中から棘を連続で射出されたら、初見で近距離にいたら壊滅してもおかしくはないか。
現に今も射出された棘によって、カンガルーの人が作った土の防壁もどんどんボロボロになっていっている。でも破壊しきる前にボロボロの防壁にワニが背中から叩きつけられていた。ふー、危ない危ない。
「ヨッシさん、今!」
「了解! 『並列制御』『エレクトロプリズン』『アイスプリズン』!」
ヨッシさんの複合魔法のエレクトロケージで凍結と麻痺の2重の状態異常と、電気の走る氷の檻での拘束によりワニの動きは完全に封じた。ふっふっふ、ここまでの経験則としてはLv差があるだけ効果時間は短いっぽいけど、ヨッシさんの状態異常への特化性能のおかげでかなり効果は高いようである。
「ヨッシさん、お見事! ケイ、やるぞ! 『共生指示:登録3』」
「おうよ、アル!」
そしてどうやら凍結も麻痺も思いっきり弱点設定になってる状態異常みたいだね。弱点を押さえて動きを封じてしまえば、Lvが上のボスと言えども敵ではない! ダメージさえちゃんと通るなら、時間はかかっても倒せるんだよ、このワニめ!
<行動値1と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』を発動します> 行動値 53/70(上限値使用:1): 魔力値 199/202
<行動値を19消費して『岩の操作Lv3』を発動します> 行動値 34/70(上限値使用:1)
少しだけ行動値は回復してたか。まぁ気持ち程度だけど……。とにかくヨッシさんのエレクトロケージでワニが身動きが取れなくなっているうちに俺は再び岩を生成して尻尾を固めて、アルは口を根で縛り上げていく。よし、これで再び完全拘束は完了だ!
「よし、それじゃ俺とヨッシさんとアルで連携して拘束していくから、他のみんなは交代で行動値や魔力値を回復をしながら削ってくれ! あ、俺かアルと同じ役割が出来る人は居るか?」
「俺は土の昇華持ちだから行けるぜ」
「俺もだ!」
ふむふむ、カンガルーの人とエルクさんが土の昇華持ちなのか。それなら俺らと同じ対応は可能だから、行動値と魔力値の回復は可能か。よし、これなら時間がかかってでもこのワニは倒せそうだね。
「それじゃ俺らの行動値が尽きた時は2人に任せた!」
「「おう!」」
「ヨッシさんは行動値の回復は間に合うか?」
「うん、基本的にフォローする時以外は待機が多くなるけど、その間に回復しきれると思う」
「よし、それで充分! それじゃ、ワニには何もさせずにぶっ倒すぞ!」
「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」
みんなの気合は充分で、倒せるだけの条件も整っている。いきなり救援を求められてのフィールドボス戦だったけども、何とかなりそうだな。
そこからしばらく時間はかかったものの、自己強化が切れてからは比較的スムーズだった。魔力集中もしてきたけど、根本的に牙は口を塞いでいるので使い物になってなかったし、背中の棘もその攻撃の方向には誰も位置取りはしていなかった。攻撃方向が分かっているのに、わざわざそこにいる必要はないしね。
ワニを空中にぶら下げて、それが途切れない状況を作れた時点でハメ殺しである。まぁ、どんな敵にも通用する訳でもないし、参戦メンバーのスキル構成にもよるから運が良かっただけだろう。……流石にこれがどんな敵にも通用する事はないね。
ただ、状況が状況だったから大規模になる昇華魔法は使いにくかったね。流石にそれなりの長期戦だと、事前準備なしでは昇華魔法の連発は出来ないな。威力は凄まじくても決して万能ではないって事だね。
「これでトドメかな! 『重硬爪斬』!」
そして、魔力集中の効果が切れて自己強化に切り替えていたサヤの一撃がワニの腹を斬り裂き、残り僅かなHPも全てなくなってポリゴンとなって砕け散っていった。よし、ワニ退治完了!
<ケイがLv15に上がりました。各種ステータスが上昇します>
<Lvアップにより、増強進化ポイント2、融合進化ポイント2、生存進化ポイント2獲得しました>
<ケイが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<ケイ2ndがLv15に上がりました。各種ステータスが上昇します>
<Lvアップにより、増強進化ポイント2、融合進化ポイント2、生存進化ポイント2獲得しました>
<ケイ2ndが未成体・瘴気強化種を討伐しました>
<未成体・瘴気強化種の撃破報酬として、増強進化ポイント3、融合進化ポイント3、生存進化ポイント3獲得しました>
<『瘴気石』を1個獲得しました>
お、夕方にLvが上がったばっかなのに、またLvが上がったね。うーん、流石に結構上のLvだっただけの事はあって、経験値は美味かった! 称号については平原のフィールドボスは既に倒しているから特になしか。
「いやー、『ビックリ情報箱』の人達、助かったよ」
「エルクさん、それはいいんだけどさ。……その呼び名って青の群集にも広まってるの?」
「え、あぁ、まぁな。あれ、もしかして嫌な感じ?」
「「「「「うん!」」」」」
「うぉ!? ビックリする程、異口同音!?」
「不本意だから、呼ぶなら『グリーズ・リベルテ』で頼む」
「おう、了解だ!」
ふー、こういう事は地道に訂正というか、主張していかなければ駄目っぽいね。……まぁこの辺は地道にやっていきますか。
【ステータス】
名前:ケイ
種族:同調強魔ゴケ
所属:灰の群集
レベル 14 → 15
進化階位:未成体・同調強魔種
属性:水、土
特性:複合適応、同調、魔力強化
群体数 365/6000 → 365/6150
魔力値 160/202 → 160/204
行動値 26/71 → 26/72
攻撃 73 → 74
防御 108 → 111
俊敏 81 → 83
知識 159 → 164
器用 173 → 179
魔力 227 → 235
名前:ケイ2nd
種族:同調打撃ロブスター
所属:灰の群集
レベル 14 → 15
進化階位:未成体・同調打撃種
属性:なし
特性:打撃、斬撃、堅牢、同調
HP 6439/6850 → 6439/7050
魔力値 94/94 → 94/95
行動値 62/62 → 62/63
攻撃 224 → 232
防御 209 → 216
俊敏 172 → 178
知識 68 → 69
器用 76 → 78
魔力 40 → 41




