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Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜  作者: 加部川ツトシ
第15章 あちこちを探索しよう:砂漠編

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第451話 捕まえたコイを連れて


 アルのクジラの背に乗り、アルの作り出した水のカーペットで平原の空を飛んでいく。それに合わせて捕獲したコイを閉じ込めている水球も移動させておかないとね。移動させずに放っておいたら操作の範囲外になって、捕まえた意味がなくなるし。


「アル、完全な自力での飛行はどんな感想?」

「……そうだな。今まではケイと合わせてたからそれが無くなった分だけ少し違和感はあるが、こっちの方が自由度が高くていいぞ」

「あー、まぁそりゃそうか」


 アル自身は操作系スキルの扱いは上手いし、俺と位置を合わせ続けておく必要があったこれまでよりは自由度は高いよな。わざわざ俺との意思疎通が必要なくなったんだから、出来る事も増えただろうし、墜落する可能性も前より減ったんじゃないかな。


「ふむ、自分で制御出来るからこういうのもありか」

「お、蛇行するのか」

「おー!? こんな事も出来るんだー!?」

「別に今までも出来なかった訳じゃないんだがな? なぁ、ケイ」

「まぁ、やろうと思えば出来るけど、今までは面倒な割にあんまりメリットはなかったもんな」

「え、でも地上からの攻撃とか回避に使えそうじゃない?」

「ヨッシ、その場合はハーレとケイの遠距離攻撃で大元を潰した方が早いんじゃないかな?」

「サヤの言う通りだな。そういう時には昇華魔法でぶっ飛ばすだけだ」

「私も色々投げるよー!」

「あ、確かにそっちの方が良さそうだね……」


 地上からの攻撃を蛇行させて回避させるという状況にはまだなった事がないけど、そういう状況になったとしたら俺が回避に動くよりは元を潰した方が確実だろうしね。それでも対処し切れない場面なんて早々……あ、レナさんが氷狼を蹴り上げて来た事があったっけ……。


「アル、墜落防止策はしっかり考えておこうぜ! 油断大敵だ!」

「……ケイ? 何かを思い出したように慌てて、どうしたよ?」

「あっ、もしかしてレナさんかな!?」

「サヤ、正解!」

「「「あー!」」」


 どうやらレナさんの名前だけでみんな納得したようだ。あれは何もない時の味方からの事故だったから問題はなかったけど、今後もありそうな群集対抗の競争型のイベントなら厄介な手段である。

 通常は移動操作制御で移動する事になるから、破られた時の方法を考えておくべきだ。……ジェイさん辺りが何か仕掛けて来てもおかしくないもんな。斬雨さんを投げ飛ばして上空からの奇襲とかもあった訳だし……。


「……基本的に視認が出来る対空攻撃は俺がさっきの蛇行みたいに回避するとして、もし移動操作制御を破られた時の対応を考えておくか」

「その場合は、俺かアルが通常発動で水のカーペットの再生成が無難か。俺とアル、どっちが発動するかはその時に臨機応変にでいいか?」

「あぁ、良いぜ。だけど、それだけで大丈夫か?」


 あくまでこれは墜落防止であって、地上からの攻撃からの防御ではないもんな。……危険なのは応用スキルを使った奇襲だろうけど、しっかりとした防御策も必要か。


「……その時の状況次第にはなるんだけど、ヨッシさん、俺かアルが水のカーペットを再生成した後にアルのクジラの下に回り込んで氷の防壁をお願い出来る?」

「あ、うん。それなら任せて」

「ヨッシが一番小回りが利いて、いつでも自由に飛べるもんねー!」

「逆に空中だと私が一番出番がなさそうかな……?」

「まぁその辺は攻撃範囲の適性の問題だしなー。サヤの近接は頼りにしてるからな!」

「……うん、分かったかな!」

「奇襲の場合は、ハーレさんの危機察知も頼りにしてるぞ!」

「了解でーす!」


 とりあえず地上からの対空攻撃の対応としてはこんなもんかな。これ以上は細かく決めても臨機応変な対応の邪魔になりかねないしね。


「状況次第ではあるが、墜落覚悟で上空から昇華魔法もありか……? ケイ、どう思う?」

「あー、ありだとは思う。……ホントに状況次第だけど」

「……あはは、とんでもない攻撃になりそうかな?」

「でも効果はありそうだよねー!?」

「これでヨッシさんも氷の昇華になれば、更に手札増えるな」

「そっか。私もそうなるんだよね」


 ヨッシさんももう少し氷の操作がLv6になりそうな感じみたいだしね。手札に氷の昇華が増えれば昇華魔法の組み合わせも増える筈なので、幅は広がる筈。まぁどういう組み合わせで発動するかは確認しておかないといけないけども……。


 あ、そういや氷の昇華で思い出した。ヨッシさんは平然としてるけど、氷属性のヨッシさんって砂漠にそのまま行っても大丈夫なのか? 氷属性とはいえ氷そのものになってる訳ではないから溶けたりはしないと思うけど、砂漠の暑さに強いとは思えないんだよね。


「ところでヨッシさん、氷属性のハチって砂漠は大丈夫?」

「それについての準備はしてるけど……あっ、ケイさんに言うの忘れてたかも……」

「なんにも聞いてないな……」

「ごめん、ケイさん! 言い忘れてた!」

「あー、いや今まで失念してた俺も俺だしね」


 ヨッシさんは砂漠の暑さに対して既に準備を済ませていたから平然としてたんだね。言い忘れる事は誰にでもあるし、俺だって重要な事なのに今の今まで聞き忘れてたんだからお互い様ってとこだろう。


「それで、具体的にどんな対策?」

「氷属性で砂漠の昼の暑さに対応するには、火属性の纏属進化が有効なんだって」

「ほう? 火の纏属進化か」


 ふむふむ、確かに火属性なら暑さも何もないよな。もし火属性で暑さに弱いとかになるとものすごくツッコミを入れたくなるし、順当な対策か。


「でも氷属性を素で持ってると相殺されて効果は弱くなるって話でね」

「え、それって大丈夫なのか?」

「ない場合よりは圧倒的に弱る速度が落ちるから充分実用レベルだってさ。まぁそれでも注意は必要なんだけどね」

「……なるほどね」


 氷属性を持っているヨッシさんは雪山では何も必要なかったけど、砂漠となれば逆に弱くなるのか。昨日のネス湖では水中での雷属性の効果の変化も見たし、属性ってのは地形の影響を受けやすいんだな。そして、それ故に纏属進化が役立ってくるって事か。


「とりあえず私は桜花さんから火の小結晶は確保してきてるから心配はいらないよ」

「ほいよ。ちなみにトレードは何にした?」

「えっと、この前凍らせた果物をシャーベットにしてみてね。シャーベットにすれば少しだけど回復量が上がるみたいだよ」

「蜜柑のシャーベット、美味しかったです!」

「いつの間に食ったんだよ、ハーレさん!?」

「ログインして、すぐだよ!」

「直前にリアルでアイスを食べてたよな!?」

「それはそれ! これはこれなのさー!」

「……まぁいいか。害がある訳でもないし」


 食べすぎてリアルに害があるならサヤとヨッシさんに協力してもらって止めるけど、そういう害は出ないようになってるもんな。ハーレさんは夏休みにサヤ達の所に遊びに行く為のお金は節約中なんだろうしね。ゲーム内で食べる分については、気にしないでおこう。


「楽しそうな話をしてるな」

「お、ベスタ!」


 そんな風に雑談をしていれば、地上からジャンプしてきたベスタがアルのクジラの上に乗ってきた。今は6メートルくらいの上空にいるはずなんだけど、あっさりと上がってきたね。

 よく見ると小石を足場にして上ってきたのか。あ、弥生さんが使っていた戦法についてまとめに情報を上げるのを忘れてた……。ちょっと情報を……あれ? 表記がビックリ情報箱になった俺用の報告欄に情報が既に書き込まれている?

 

「あー、情報なら俺が上げといたぞ。俺らのPTが全員、書き込み対象に変わったみたいだしな」

「アルが書き込んだのか! そういやベスタ、前々から気になってたんだけど俺専用の報告欄ってどういう仕組み?」

「……今更それを聞くのか? それは書き込み制限がかけられるページにユーザーの識別IDで書き込み制限をかけてるだけだ」

「へぇ、そんな機能あったんだ」


 書き込み制限がかけられるのは分かったけど、ユーザーの識別IDってどこにあったっけ……? えーと、あ、ユーザー情報の所に記載があった。

 ふーん、これを使って書き込み制限をかけられるんだ。あ、これはフレンドまではデフォルトで開示になってるんだね。誰にでも開示されてる訳じゃないんだ。


「識別IDかー。そういえばハーレを仲間の呼び声で連れてくる時に、いったんからユーザーの判別に必要だって言われたね」

「そんな事もあったねー!」

「そういえばそんな事も言ってたよね。私は識別IDを使った事はないかな?」

「そういや俺もまだないな」

「なるほど、識別IDってそういう用途か」


 その名の通り、どのユーザーかを区別する為のものなのだろう。え、でもユーザーが編集するまとめ機能で、ユーザーがそんな制限をかけられて良いのか?


「……ちなみにだが、書き込み制限のページは運営への申請制だ。荒らしやデマをばら撒く目的だとかで悪用が認められたら問答無用で削除されるからな」

「……聞こうと思ってた事の返答をありがとう。そっか、対策はされてるんだな」

「そういう事だ。で、実情に合わせて追加申請をして、書き込める対象を増やしておいた。『ビックリ情報箱』の報告欄はお前ら5人なら、全員書き込めるようにしてあるぞ」

「だそうだぞ、みんな!」

「「「「えー!?」」」」


 思いっきり不満げなみんなの反応であった。……サヤとハーレさんとヨッシさんはまだ良いとして、がっつりと既に書き込んでいるアルがそこで不満げなのは納得いかないんだけど!?


「……まぁあの報告欄をどう扱うかはお前らに任すぞ。基本的にこれは明日実装予定の共同体用の公開ページ機能らしいし、登録した識別IDしか見れないって設定も可能だ。完全に共同体専用機能という訳じゃないから、こういう使い方も出来るってだけだしな」

「あ、そうなんだ」

「灰のサファリ同盟も書き込み制限をかけたページを使っているからな。あぁ、普通の情報のまとめに関しては制限にはなってないがな」


 ふむふむ、俺はまとめ機能については報告を上げるだけでどういう仕組みになっているのか、正直全然把握してなかったんだけど、色々と便利にはなってるんだね。

 共同体用で非公開設定も可能って事は、予定の表示とか、伝言板代わりになったりする? まぁこの辺は共同体が実装されたら、詳細は分かるよな。実装は明日だし……。


「そういや、お前らは共同体を作るのか?」

「あー、うん。その予定だぞ」

「まだ名前は決まってないけどねー!」

「なかなか良い名前が思いつかないかな……」

「私も全然……」

「サヤもハーレさんもヨッシさんもかよ。……俺もだぞ。ケイはどうだ?」

「あーうん、まぁ、そうだな、俺もまぁ似たようなもん……かな?」


 流石にこの流れでビックリ情報箱にしてやろうかと画策していたとは言えない! かと言って、他に案がないのもまた事実! っていうか、みんなも全然アイデアないのかよ!?


「名前、決まってねぇのか。もう、『ビックリ情報箱』で良いんじゃねぇか?」

「「「「それだけは却下!」」」」

「お、おう。そうか、なら頑張って名前を決めてくれ」


 思わぬ剣幕でみんなに反論されたベスタが少し戸惑っていた。ベスタの珍しい反応を見た気もする。……そして、ちょっと嫌な流れになった気がするんだけど、どうしよう? 俺も一緒に却下に混ざるべきだった気が……。


「そうするつもりだ。……だけどよ?」

「うん、ケイはどうやらそのつもりじゃなさそうかな?」

「ケイさん、ビックリ情報箱だけは却下だよ!」

「私もそれは反対だよ?」


 みんな揃って、声が低くなっているのが地味に怖いんですけど!? ……うん、共同体名をビックリ情報箱にするのは身の危険を感じる。悪ふざけでその名前にしたら、確実に後が怖い事になりそうだ……。


「分かった! 時々ビックリ情報箱にしようかと目論んでたけど、絶対にやらないから落ち着いてくれ! ちゃんと名前はみんなで考えような!?」

「ケイ、約束だからね?」

「検証が終わって時間があったら、名前を相談だな」

「そうだねー! 良い名前を考えよー!」

「それで駄目でも明日の夜までにはちゃんと決めようね。ビックリ情報箱以外で」

「……了解です」


 これは悪ふざけなしで真面目に考える事で決定だな。親しき仲にも礼儀ありって言葉もあるし、俺が余計な事をすればこのPT自体が良くない方向に転がりそうだ。……流石にそれは絶対に嫌なので、真面目に名前を考えようっと。


「……ケイ、下手な真似はするなよ?」

「……分かってる」


 流石にベスタも、自分の発言が少し不味かったと思ったようで小声でそんな言葉を伝えてきた。俺もその意見には同意なので、下手な真似はやりませんとも!


「さて、盛大に話は逸れたが、その水球の中にいるのが報告にあったコイか?」

「あ、うん。Lv20の成長体のコイだ」

「『識別』! 確かに、確認した。ついさっき紅焔のPTでも見つけたという報告もあったぞ」

「おー!? 紅焔さん達が見つけたんだー!」

「あとはエリアを跨いで移動が出来るかが問題かな?」

「それが出来ないと無駄足……?」

「いや、そうでもないだろ。失敗しても情報としては無駄になる訳じゃないからな」

「アルマースの言う通りだ。移動できなかったとしても、その情報自体に価値があるからな」


 そうだよな。失敗だって成功へのヒントに繋がる事もあるし、失敗から新発見があったりするんだから決して軽視は出来ない。それに成功のみを求めて、何もかも失敗したくないっていうのは検証をするには一番不向きだしね。


「まぁそういう事だ。このまま北に進んで砂漠まで進んでくれ。そこで紅焔達と合流し次第、フィールドボスの再出現の検証を開始する」

「ほいよ。みんな、頑張るぞー!」

「「「「おー!」」」」

「……さっきまでの妙な緊迫感はなんだったんだ?」


 うん、ベスタ。気持ちは分かるけど、そこはスルーでよろしくお願いします。みんなはあのあだ名が気に入らないってだけだからね。みんなして俺1人のあだ名にしようとしているし……。

 さぁ、その辺の事は無かったことにして検証を頑張っていこう。その為にもまずは砂漠まで移動だね!

 

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自力での電子書籍版もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
大きな流れ自体は同じですが、それ以外はほぼ別物!
ケイ以外の視点での外伝も収録!

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― 新着の感想 ―
[一言] コイ 向こうは何を見つけたのかな~ トカゲとか、コウモリとか んで、合体したら、ドラゴンっぽいのになったりして(笑)
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