第213話 昇華させたスキル
草原目前ではあるけども情報提供と、状況確認の為に情報共有板へとやってきた。草原が近付いているという事もあって乾燥の影響も弱くなっていたので、サヤとヨッシさんは荒野エリアの人達と混ざって現在熟練度上げをやっている。
対戦式の的当ての熟練度稼ぎが妙に人気になっているようだ。使用している的は主に土魔法になってたけどね。
コケ : 新情報の伝達を忘れてたー!
ドラゴン : あ、停電は大丈夫だったか、コケの人?
コケ : あれ? ドラゴンの人?
サル : コケの人、伝え忘れてた情報ってのは水流の操作を別系統の称号で取得可能になる情報?
コケ : うん、それ。って、もしかして情報投下はあった?
タカ : ちょうど今、それの真っ最中というべきだろうね。
サル : 概要だけ聞いて、これから詳細を聞くとこだ。
あれ? 情報まだだと思ってたから焦ってすぐにこっちに書き込みに来たんだけど、ちょうどこれから情報公開というタイミングだったのか。
サボテン : あ、これからなのか。良いタイミングに来たみたいだな
コケ : え、でもなんでちょっと時間経ってからなんだ?
タカ : コケの人、自分が何をやったか思い出してごらん?
俺がやった事といえば、規模の大きくなった水の操作で湖の大量の水を操作して水流の操作に昇華して……津波を起こしたんだったね。そうか、あの影響範囲を基準にすれば効果範囲がかなり広くなるんだな。
コケ : うん、あれはミスでした! 改めてすみません!
草花 : ま、コケの人のはいつもの事だし気にしないさ。
ドラゴン : それは良いとしてだ。今回は影響範囲が大きそうだから、まず他の属性で再現可能かどうかちょっとマップの端っこの方まで行って試してたんだよ。
イノシシ : ミズキの森林というか競争クエストの勝利占拠エリアはマップを見たら、味方の位置もすぐ分かるしね。巻き込まない位置取りはしやすい。
ドラゴン : そうそう。他の群集のプレイヤーがいても色分けされてるから即座に分かるしな。流石にあの規模の実験は初期エリアじゃ試せないし。
草花2 : あの場にも何人かあの条件をもう少しで満たせそうな人はいたからね。あちこち色んな場所で試す前に情報精度を上げとこうって事になってさ。互いにすぐに連絡取れそうな距離を保って熟練度上げして、その成果がついさっき2件ほど出た訳さ。
コケ : ほうほう、そういう流れか。
なるほど、俺が停電が復旧してログインした時に湖の畔で検証してたっぽい人達がいなかったのはそういう事か。いなかった訳ではなくあの位置から目視出来ない場所で検証中だったんだな。
今考えたらあの時に思い出しとけって話だよね。……いや、流石にあの時は焚き火とかヨッシさんの棘に刺さった魚の姿の印象が強過ぎたのかもしれない。
サル : まぁ、その代わりにミズキの森林の一部が焼け野原になったけどね。
コケ : え、焼け野原……? もしかしてドラゴンの人……?
ドラゴン : 察しがいいな。俺が操作するための火を増やす為に放火したら、ちょっとやり過ぎた!
草花3 : あの火災は放火だったのか!?
ドラゴン : いやだって、火の操作Lv6での操作分には火の量が足りなくてよ? そしたら燃やして増やすしかねぇじゃん?
タカ : ドラゴンの人、少し反省したらどうだい?
草花 : そうだよ! その直後に『水流に昇華させたモノ』に辿り着いた人がすぐに消火してくれたから良かったものの、大惨事寸前だったじゃん! コケの人の津波より被害酷いじゃん!
ドラゴン : うっ、すみませんでした……。
クラゲ : 応用スキルの称号取得って被害を出すのが前提なの!?
サル : ……その可能性は否定出来なくなってきたね。
草花3 : ……予め分かっていれば被害は抑えれそうだが、初見だとこれは確実に被害が出るな。俺もコケの人の見てなければやらかしてたかもしれん。
クラゲ : その言い方的に、水流の操作を取得したもう1人は草花3の人!?
草花3 : おう、そうだぞ。
今回は紅焔さんがやらかしたようである。草花3の人やハーレさんの言うように応用スキルが関わるとやらかし率が跳ね上がるのかもしれない。俺の岩の操作でも、シアンさんの海流の操作でもやらかしは発生してたしな。応用スキルの操作系スキルは影響範囲は広くなるから、そのせいってのもあるんだろうけども……。
サボテン : なんとなく事情は分かったが、そろそろ詳細を聞いてもいいか?
クジラ : そうだな。他の属性で再現出来たという事は条件がほぼ確定したって事だろう?
クラゲ : 大体は分かってるけど、気になるもんね!
ドラゴン : おう。改めてにはなるけど、前提となる注意点と条件を出していくぜ。まず注意点だがこの手段は手軽ではなく確実に手間がかかるが、効果はポイント取得よりも絶大なものになる。
草花3 : 条件は操作系スキルLv6まで鍛え上げた状態で、Lv5までで扱える規模を超えた範囲で操作系スキルを発動する事。それで称号『〜に昇華させたモノ』という称号と、同系統属性の応用スキルの操作系スキルとその属性に対応した『生成量増加Ⅰ』ってのが手に入る。
ドラゴン : この称号取得で最重要なのは操作系スキルの方じゃなくて、『生成量増加Ⅰ』の方だな。これ、俺の場合だと炎の操作を発動中に火の追加生成が出来るんだよ。
草花3 : 水流の操作だと水の追加生成が出来るな。
サボテン : ほうほう。あ、だからコケの人の水の生成量がとんでもない事になってたのか。
ドラゴン : コケの人、どこで何やってたんだ?
コケ : え、荒野エリアで色々実験してた。
サル : コケの人の実験は気になるね。どんな内容?
色々と成果はあったんだぜ。水流の操作の取得方法以外で報告できる程の情報は……あ、スキルの使い方とかを話しておいてもいいかな。
コケ : 水流の操作での攻撃方法と、移動手段へ転用だな。
クジラ2 : あれ!? 風の操作の取得情報が纏まってきたから、報告に来たらなんか新情報が増えてる!?
マグロ : また凄いことになってんな? 扱うモノの方で応用スキルの操作系スキルを取得済みだとどうなるんだ?
タカ : それについても検証済みだよ。ポイントで取得しても、こっちの条件を満たせば称号が手に入るのは確認済み。
ドラゴン : 俺が炎の操作を元々ポイント取得で持ってたからな。ちゃんと火の操作をLv6まで上げてしまえば『炎へ昇華させたモノ』の取得は問題ねぇぜ。多分『〜を扱うモノ』の称号でも大丈夫だろうよ。
マグロ : お、検証済みか。なるほど、ポイント取得してても問題はないんだな。
タカ : そうなるね。風の操作の方はどうだい?
クジラ2 : こっちの報告もしないとだね。他のプレイヤーを海流の操作で流して、流されたプレイヤーが何かの称号取得をすれば風の操作を取得が出来たのは何件か確認出来たよ。何でもいいから流れに乗りながら攻撃スキルを使うのは良いみたいだね。持っていればだけど、体当たりが効率良さそう。
サル : 海流の操作で風の操作の取得が出来るなら、水流の操作でも可能か……?
クラゲ : あ!? それやってみようと思ってたのに忘れてたー!?
あ、確かに同じ流れに関わるスキルだし、その可能性は十分ありそうだ。……そういや停電の直前にそういう話になってたっけ。停電め、調子を狂わせまくりやがって……。
サボテン : 俺は海流の操作を見たことないからはっきりとは言えないんだが、風の操作は流れを利用出来れば良いんだよな?
クジラ2 : うん、そうなるね。
サボテン : さっき水流の操作でのクジラの舟みたいな移動を見た感じだと、水流の操作の方がやりやすいんじゃないか?
ドラゴン : サボテンの人、その話の詳細を!
クジラ2 : 俺も気になる! 何そのクジラの舟みたいな移動って!?
サボテン : コケの人が川みたいな水流を作って、クジラの人を流してたんだよ!
クジラ : そこは俺から説明しようか。あ、ちなみに俺はコケのとこの木だ。
サル : あ、いつもの木の人か。説明頼んだ!
クジラ : まぁ俺は今、クジラと木で共生進化しててな。地上活動は可能なんだよ。それで『空中浮遊』で30センチくらいだが浮く事が出来てな? その状態でコケの人の水流の操作で推進力を得る訳だ。
クジラ2 : そんな手段があったの!?
クジラ : 海水魔法は水量が多いから、工夫すれば同じような事も出来るんじゃないか? まぁ試してみないとわからんが。
クジラ2 : それもそうだね。後で試してみる!
クジラ : で、サボテンの人の言った事だが、水流の操作の移動利用ってのは要は人工的に川を再現してるって感じなんだよ。まぁ地形の影響は受けるからどこでも行ける訳じゃないが。
マグロ : ……という事は、中に巻き込まれる必要のある海流の操作よりも流れに乗りやすいのか?
サボテン : そうそう、それが言いたかった! 川下りの要領で流れを利用して、攻撃に移って称号取得すれば風の操作も狙いやすいんじゃね?
ドラゴン : 試してみる価値はありそうだな。
クラゲ : でも『水流に昇華させたモノ』が必要なら、気軽に手に入れるのは厳しい気がするよ!?
サル : 問題はそこだな。だが、威力が変わってくるからそこら辺は仕方ないだろ。
タカ : いや、大丈夫じゃないかい? 扱いやすさは変わってくるだろうけど『水流の操作』だけでも天然の川や湖を利用すれば……。
クラゲ : それもそっか! あくまでも何もないとこでやろうとしたら難易度が上がるだけで、必須じゃないんだね!?
草花 : でも折角なら『〜を昇華させたモノ』の方で取りたいよね。時間かかりそうだけど。
コケ : でも育てさえすれば取得可能だから、主力にしたい属性を鍛えればいいんじゃないか?
草花 : ま、そう簡単に強い状態ではホイホイと取らせてはくれないって事かー。
ネズミ : そうだろうね。内容的に誰でも何個も気軽に取れていいスキルじゃないもんね。
むしろ昇華させたモノの系統の称号はあっさり取れたらダメな系統の称号だろうね。これは使い込んだからこそ得られる主力スキルの証みたいなものなのだろう。この称号『水流に昇華させたモノ』と同格なのが青の群集にいたタチウオの人やシャコの人のあの銀色に光る溜め攻撃なんだろうな。
確かに水流の操作も全力の威力を発揮させるまでに少しのタイムラグはあるし、大量の水を生成した時点で予備動作としてはバレバレなんだよな。……強力だからこそ使いどころに要注意だね。
とりあえずこれで水流の操作絡みの情報提供は終わりだね。他には特に何もなかったと思うから、この辺りで切り上げて草原に向けて出発しようかな。
2018/11/29 誤記載を修正。
アルがこの時点ではクジラでログインなので、木をクジラに修正と、それに合わせて元々のクジラをクジラ2に修正しました。




