仲間集め、始めました
「まずは『ノベルの友くん』のコミュニティで『神様友くんの仲間募集!』とかやれば良いかな?」
『ノベルの友くん』には作家や読者が交流するためのコミュニティを自由に立てる機能がある。
《それはもうやってみたんだぜえ。誰も集まってこなかったぜええええ。俺が毎日呼びかけてるのによおおおおおおおお。こうだぜ。『俺は神だぜえええ!! 俺の話を聞けば、絶対に救われるぜええ!!』でも、誰も反応しないんだぜえ……。それで個別にアタックすることにしたんだぜえええええええ》
『俺は神だぜえ』は、流石にヤバい。興味本位で覗いてもそっと閉じるやつだ。
でもわたしをあんなに熱く励ましてくれた友くんを傷つけるようなことは言えない。黙って続きを聞くことにした。
《まずは、『藤井朔太郎』を仲間に引き込むぜえ》
「誰かな?」
三浦さんは本来イラストを描いている人だし、小説はオカルトが好みって言ってたから、知らなくても仕方ない。
「歴史物を書く作家さんですよ。大人気の。大手小説投稿サイトで何作も発表していて、書籍化もされてます」
簡潔に説明したが、実は彼の大ファンであるわたしに語らせたら数時間はいける。
《そうだぜえ。あいつはフォロワー数もお前らとは比べ物にならないんだぜえ。あいつが俺のことを自分の小説に書けば、すげえええええ数の読者が読むことになるぜええ》
神様友くんの目にも朔太郎さんは才能に溢れているんだ。わたしの目は確かだった。
「でも、どうしたら朔太郎さんに近づけるかな? いきなり友くんの話をしても、絶対に信じてもらえないよね……」
《そこで、三浦の登場なんだぜえええええ》
「え? 僕が? 今まで朔太郎さんの小説を読んだこともないのに、どうやったらお近づきになれるかな?」
《あいつは今、挿絵を描いてくれる人を探してるんだぜえええ》
「そうか! でも……僕は無名だし、そもそも朔太郎さんは歴史物を書いているんだよね。僕にその手の挿絵は――」
《そこで墨田の出番だぜええええええええ》
いつの間に……友くんのアイコンが侍の恰好に変わっている。
《墨田は朔太郎の小説、読んでるよな? 江戸時代後期の下町を舞台にした、イケメンばっかり出てくる話だぜえええ。お前がイメージを三浦に伝えろだぜええええええ。それで、描いたらサイトから朔太郎にDMするんだぜええええええ。『ファンアート描いたぜええええええええ』てメッセージ付きでな》
どこからか手裏剣を飛ばしてきた。アバターの演出だろう。きっと友くんの中で侍と忍者の区別がまだ曖昧なのか、どこかで間違えた情報を学習してしまったんだ。
そんなことにも突っ込まずに、三浦さんが楽しそうに言った。
「なるほど……! 墨田さん、お願いするよ! 一生懸命描くよ!」
《期日は今日中なあああああああ》
突然友くんがスパルタなことを言い出した。イラストってそんなにサクサク描けるものなのか。
「今日中というと……クオリティには妥協したくないので、かなり厳しいですが、一枚だけでも良いでしょうか? 魂を込めます」
三浦さんが金髪侍のように凛々しく見える。
《OKだぜえええええ! じゃあ、頼んだぜええええええええ。俺はパトロールに出るぜえ。また夜の十時頃に現れるぜえ。拙者は友之助でござる! いざ参る!さらば! 達者でな!》
最後の方は友くんなりに侍の真似事だろう。愛嬌のあるAI神、友くん……ってそんな場合ではない。朔太郎さんにファンアートを送るという、思いがけない任務ができた。




