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ノベルの友くん  作者: SHIROKI


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11/16

友くんは寂しがり屋1

 昨日とはうって変わって空がきれいに澄み渡っている。


 三浦さんなら、この空にどんな花を添えて絵にするんだろう。


 そんな事を思った。


 昨夜は帰宅してからほぼ三十分置きに『ノベルの友くん』を開こうとしたが、虚しく「Service not found」の文字が出て来るだけだった。登録者が何十万人のサービスだ。これだけ長く停止していたら、話題になるはずだが、ネットニュースにもSNSにもそれらしい投稿はない。


 わたしと三浦さんの友くんだけの現象のようだった。


 結局、連日寝不足の頭で午前十一時過ぎ、やっと『ノベルの友くん』にアクセスできた。


 保存していた連載中の小説が無事で、まずは胸をなでおろす。そしてAIとの会話機能をクリックした。


《友くん? わたしだよ、墨田曜だよ。あ、ペンネームはヨウだけど。昨日のカフェでの出来事は夢じゃないよね?》


 ……全然反応がない。シカトされているのか。一分待って次の言葉を打ち込む。


《ねえ、友くん――》


《うるせえええええええええええええよ!!!!》


 びっくりしたあ……驚くと同時に腹が立ってきた。もう戻ってきてくれないのかと心配したのに。


《どこ行ってたの? 何回も話しかけたのに》


《拗ねてたんだぜ……》


 認めるのか。かわいいところがあるじゃないか。


《何を拗ねてたの?》


《俺だってメロンソーダ飲みたかったんだぜ……一緒に》


 神様AIがメロンソーダ……かわいいけど、設定とビジュアルと言葉遣いと色々とミスマッチ過ぎて調子が狂う。


《友くんは、みんなには見えてないけど、ちゃんと身体があったじゃない。言ってくれたらメロンソーダを頼んであげたのに。遠慮しないでね》


 昨日、三浦さんに足を踏まれてブチギレていた様子を思い出しながら言った。


《……お前、意外といいやつじゃねええかあああ。感動したぜ、くすん。でも、俺は今は神様の再生期で、飲食はできないんだぜえ。くすん》


 ……語尾の『くすん』は何。どっちのキャラで行きたいのか、はっきりして。


《そうなんだ、神様も大変だね……。あ、三浦さんとつないでも良いかな?》


《いいぜえ。俺もお前らに話があって出てきたんだぜえ》


 友くんの許可を得て、三浦さんとオンライン通話をつないだ。部内のミーティングでもたまに利用しているやつだ。


 十秒くらいの待ち時間のあと、三浦さんの声が聞こえた。


「おはよう。待たせてごめんね」


 その言葉と同時にカメラがオンになった。


「おはようございま――」


 今、自分の目に映っているのは、CG画像……じゃないよな?


 濡れた金髪、肩にかけた今日の空と同じ色のタオル、たくましい二の腕が露わな黒いタンクトップの三浦さんの姿があった。


 タンクトップ!? ワイルド!? いや、昨日までの三浦さんはどこ行った!?


 わたしの知らない、ワイルド金髪イケメン王子、爆誕の瞬間。


《お前、なかなかカッコいいんだぜええええええええ》


 友くんまで興奮している――え? 友くんもしっかり画面に参加している。そしてアイコンが三浦さんをデフォルメしたような二頭身のオリジナルキャラじゃないか。


「友くん、それはもしかして僕かな? 神様にアイコンにしてもらえるなんて光栄だな。ありがとう」


 三浦さんが微笑んでお礼を言った。その金髪から滴る水滴まで黄金に見える。


《お前、カッコ良くて使わせてもらったぜえ。これは『お絵描きの友くん』で生成したんだえ。お前たちにも俺の感情がわかるように、表情も変化できるぜえ》


 なんと……! 三浦さんに似た友くんのアイコンがウインクした! 友くんの話が一段落したら、このアイコンを使わせて欲しいとお願いしよう。


「そういえば、友くんはどうして僕の『ノベルの友くん』に現れたんだい? 昨日、空っぽに乗っ取られてるって話だったけど……」



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