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ヘルパーRの英語(21)

 ヘルパーRが来てから、良かったこといえば、私は英語への不安が少し和らいだと思う。以前は、間違えたらどうしよう!という気持ちが先立って、無口でニヤニヤと笑って誤魔化す私であったけれど、ヘルパーRにあれこれ指示・説明をしたり、彼女の言っていることを理解しないといけない。ヘルパーRは、全く日本語を理解しようとはしない。彼女だってスマホを持っているのだから、私に言いたいことがあれば、日本語に翻訳して私に見せるとかメッセージに貼り付けて送っても良いようなものなのに、私ばかりがせっせと英語を翻訳する日々。日本人の家にやって来たのだから、少しは前向きに覚えろよ!と、イラッとするのだが、だからこそ、私が英語をどうにか使わないといけなかったり、翻訳ソフトで訳した英文を読んで「これって、こういう風に言うのかー」などと少しずつ英語に対する恐怖が減った。それに、ヘルパーRは、私の英語がいくら文法的に間違っていても「意味わかりません!」とか言うこともなく、単語と身振りなどで私の意図を汲んでくれるところがある。それは本当に感謝だ。今まで、英語に恐怖を感じていたのは、私が一生懸命話そうとしても「Pardon?(もう一度言って)」「Excuse me?」と怪訝そうな顔で言われたり、何言ってるか解らん…みたいな態度であしらわれた経験も24年も住んでいたら何度もある。通じないことは恐怖だった。相手の言っていることはある程度分かるけど、こちらから何か言うことをためらって、消極的になった。言いたい事が英文的に意味が通じるものでも、発音の問題で通じないとか、私の英語に対する恐怖心は、英語学習者のつまづきの典型的な事例に当てはまるのではないだろうか。

 私の英語でも何とかヘルパーRと日常生活に支障がないことは、私にとって英語のハードルが少し下がった。言わないと伝わらないから調べてでも翻訳してでも言わないといけない。それはとても良かった。ただ、彼女の英語は完璧ではないことも分かってきた。彼女の英語から「あー、これって英語だとこう言うんだ!」と学ぶことも多いけれど、そんな崩した言い方じゃなくて、正確な言い方で言ってほしいんだけど!と思うことも多々あるのだ。

 彼女は、ほぼほぼ、疑問形の正しい言い方をしない。簡単な例としては

「You want coffee Ma’am ?」と聞かれて、語尾が上がっていて私にコーヒーが欲しいか尋ねているのは分かる。別に完全に間違いだとも思ってない。でも、正しくは「Do you want coffee?」とか「Would you like some coffee?」とかであるはずだ。全てがこの調子で、ほぼほぼ肯定分の語尾をあげて質問してくるし、丁寧な言い方などもしない。英語恐怖症の私には、小難しい表現をされるよりはわかりやすくて良いけれど、私は正しい言い方っていうものが身につきそうもなくて、それがなんだかなーと思う点だ。

 もしかして、私が英語苦手なのを分かっているから、理解しやすくしてくれてるのかもしれないとポジティブに考えようとしてはいたが、だんだん、どうせ英語わかんないんだろうから、丁寧に言わなくても良いや!と思ってこういう言い方してるっていう側面もあるのかもと思う時もある。なぜなら、夫や息子が見るグループチャットの中の英語は、もうちょっとフォーマルだと思うからだ。。。


 そういえば、日本語をちっとも覚えないことの例としては、私たち家族が、出かける時、帰宅する時に「行ってきまーす。」「行ってらっしゃーい」「ただいまー」「おかえりー」などと挨拶するが、彼女が出かける時にも行ってらっしゃい、おかえりを言うようにしている。そうじゃないと、無言で出入りすることになる。別にそれでも構わないのだけれど、家族にだけ挨拶するというのは、なんかそこで線を引いているようでどうなのかと思ったので。だが、そんな私の考えとは裏腹に、彼女は返事を無言だ。私のマインドと彼女のマインドを同じだとは思わないが、もし私なら(いつも言ってるこの言葉ってなんだろう?)と疑問に思って聞いたり調べたりすると思う。そういうのが彼女にはない。いや、全くないわけでもないかもしれない。なぜなら、調味料については名前や、用途を知りたがる。これまでに、みりん、塩麹、麺つゆ、出汁、などについては、その名前と発音、用途などを聞かれた。でも、それらを使って作る料理名は覚えようとしない。流石に、おにぎり、卵焼き、肉じゃが、梅干しなど、日本独特の食べ物で、我が家でよく食べるものは、作り方だけでなく名前も日本名で覚えて欲しいと伝えたが、覚えたのは『オニギ〜リ〜』のみである。

 興味のあるものしか覚えないスタンスのようだ。ここは日本ではない。興味がないものを無理に覚えろ!と言うつもりもない。だけど、ちょっとだけ上から目線な発言をすると、日本人の家で住み込みで働いているのに、なんで私たちばかりがヘルパーに合わせて英語に変換して話さなければならないのか?!と、考え始めるとイラッとするので、それは考えないようにしている。

だが、「食事の後に『ごちそうさまー』って言ったら、食事が終わったと言うことだから、後片付けをしてくれる?」と言う夫の言葉はすんなり受け入れ、あいさつの中でも「ごちそうさま」だけはすぐに覚えた。夫の指示の仕方も良いのだろうが、私と夫に線を引いているようにも思って、これまたイラッとポイントである。

 

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