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五神唄  作者: 成倉爻哀
第四章
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複数の糸(3)

しん…としずまりかえった部屋に薬草を潰しすりながら、心栖の顔はとても楽しそうな顔に見えた。

この死闘は終われば新しい薬剤が今まで無いに、それこそ無限大に広がる。

あの時居なくなってしまったあの存在を助けてあげられる。

早く、早く、早く。

「心栖!!心栖てばっ!」

額に当たった指先の僅かな痛みに顔をあげると、火遁の顔がある。

「何ニヤニヤしてんの?」

「今日、陰国の薬屋がいたので失敬したんだ」

「失敬って…つまり盗んだ?」

「急所さけて麻酔針をな」

「え~。いくら陰国の商人の一国民だろ?」

「ただ売ったわったないよ。まず、こちらの状況を知らせる為でもある。

とりあえず目が冷めれば籠がないの慌てる最中に自然に抜けおちるさ。

2つは赤凋は神経芯に、毒をいれているはず。しかも即死系でね」

心栖の口角きゅっとあがる。

火遁が少したまった唾液を呑み込む。


神経毒は当てれば、勝利

当たらなければ、失敗。

つまりは死。


「教えてやるのさ、火神の前には一番頭のまわる「薬剤師」がいるとね」

その言葉に火遁は眉をひそめる。

闘いの幕開けを告げる鐘の音が頭の中でガンガンぶつかりそうな。

「心栖、少し弱い薬玉もらえる?」

「ん?」

「ちょっと、落ちつきたくてさ」

流石に明日いきなり突っ込んでくるのは燵紅くらいなものだ。

「甘めのにしようか?」

「まかせる~」

火遁は目の前にある鉢を見てから、その隣にある横のビンのみる。

透明の液体の中で何かが蠢いている。

「触らない様に気をつけろよ」

「これなに?」

「人間の生きた神経」

火遁が思わず後にずり下がる。

「えっはえ!?」

「ちゃんと陽国の取り引きでかったものだよ」

確かに神経自体は亡くなった身内から同意があれば直ぐにでも入るようになっていた。

死にギリギリに抜きされる患者には痛みは殆どない。

心栖が立ち上がり庭に生えている木に針をタンッと投げる。

「12歳の子供のリーチ、投げる筋力=速さ。足のベルトにまけるのが片方500本、さて答えは?」

「そんなの実際見てみなきゃ…」

針1本を取り先ほどすり鉢の中に少し浸し、ふちで液体をこそげる。

「そう。少しはわかるかと思ったんだけどね。私にとっては、相手が遅すぎるんだよ」

瞬間風切りが起こったいうといのか。

針が当たるに様に思えた。

木の色が一瞬に緑色になり、腐った様臭いが辺りに広がったと同時に木は根元から崩れ落ちた。

「ほらな。距離をスピードで負ける気はしないよ、私は。なのに何故子供を寄こすのだってね」

「薬剤師の心栖にも分んないことあるんだね」

「うーん、どちらかといえば医者が使う事が多いからね。

「はい、薬玉できたよ。恐らく2、3日もしたら陰も動くだろう、今夜はゆっくり寝むろう」

「はあい…」


□□□□


陰国はしばらくの間何も起こらなかった様に思えた。

もっとも胤にとっては「これが」予定通りだったが。

「胤さん、お茶を」

赤凋が静かにお茶を置くとにっこりとした笑みを浮かべ「ありがとう」と礼を返す。

最初にどこが動くのか、それは何なのか。此処にいる誰にも無かった。

数分手度の長さが遠泳の様に流れていこうとした時、赤凋に立ち上がった。

「胤さん。私はこの戦いで、死にます。最後まで貴方の武器のまま」

「…そうですか、即死系の毒を神経に使うようですね」

「失敗すれば、私が負け。おそらく蒼凋も。半端な死に方はしなでしょう」

「そうだね、でも馬鹿みたい無しに様しないよ」

「蒼凋…」

そんな会話を遮ったのは燵紅だった。

「胤、南からだ」

「ん?」

「どうしたんですか、燵紅さん」

燵紅がテーブルにトンッと細長い”針”を突き立てた。

僅かながらの血液が付着している

「どこで?」

「南との境界線の薬屋だ」

「南は”陰国の毒草”を手に入れた。こうも分かりやすくひっかけてくるとは思わなかったけど」

胤は鼻に抜けた様に笑いを漏らし、机に刺さっていた針を引き抜く。

ふう。と一息ついて、胤は燵紅を見る。

「お前の美徳の始まりだな」

「あぁ」

胤はゆっくり眼を閉じ、立ち上がり蒼凋と赤凋の後ろに回る。

「行きなさい2人供…」

「はい…父上様…ありがとうございます」

綺麗に揃った声が清とした表情を覗かせる。

その後姿に胤は手を差し伸べ、ひやりとする体に捲きつける。

「胤、いいのか」

夜臣が口元の布を少しさげる。

「はい?」

「父親というあの子達の最後がそれで」

「かまいません。必要がない。では、夜臣、貴方はどう送りだされたいですか?」

「・・・・」

「半端なことは嫌いなのですよ私は」

「無駄なことだ、夜臣。いらねぇんだよ。この場所ではな」

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