【ギルドバトル・後編㊦】
バトル開始から数分して、あずさんとレイさんが西に向かった。さらに数分経過してからルナさんは椅子を出して座り「はぁ。思った通りね。澪、お願い。」と言うと、澪さんが俺の方に向かって歩いてきた。
「はい、じゃあご説明致します。今後の予定ですが、恐らく直ぐにルナ様はギルドハウスの方へ召喚されます。」
「え!?ギルドバトル中に?」
「はい。ギルドバトル中にバトル王防衛戦を挑まれた場合、防衛戦優先になります。そして…ここで少しでも時間を稼がれると空腹バフや疲労バフがついてしまって不利な状態で戦う事になります。」
「えぇ…」と俺は困惑した。もっと早く教えてくださいよ…。
「すみません。もし、メンバーの中にスパイがまぎれてるようなら、この作戦は失敗してしまうので。今回手引きしたスパイをあぶりだす為なんです!」
「手引き…?ん?バトル王防衛戦ってルナさん直接に挑まないと挑めないんじゃないのか?」
「方法は2つあります。りきさんもご存知の通りルナ様に直接挑む方法。もう一つはギルドハウスに隠されたバトル王の心臓と呼ばれる部分に触れて挑む方法です。ギルドハウスにルナ様くらい強い方を手引きして…防衛戦を挑み、此方を9対10に持ち込んでから試合をするつもりのようです。そしてついでにデバフのついたルナさんを倒す予定みたいです。」
「え?…じゃあシンが今必死に詠唱してるのって…?」
「あぁ、あれは貯めておけるタイプの魔導書ですね。次の戦いに備えての。」
「あの、俺の方はもう詠唱完了しました。」
「はい。マグマプールの範囲はだいたい300メートルくらいですから、今みなさん四方に散って追い込み魚作戦中です!発動する時は私が合図します。」
このゲーム…複雑だし、やる事が多くてついていける気がしない。
「ええっと…俺は何をすれば…。」
「お暇でしたら、私の千里眼をお貸ししましょうか?」
「千里眼を貸す?」
「はい、千里眼発動中私に触れている人は私が見てるものと同じものを見る事ができるんです。」
「え?千里眼にそんな効果まであったっけ?」と咲が首をかしげる。
「固有スキルと言いますか…りきさんのサモンゲートみたいなものです。」
「千翠が澪を長い事手放さない理由ってそれなのね。私も千里眼持ちだけど、固有スキルになってくるとそうなるのね。」とルナさん。
固有スキル…また何かわけのわからないスキルが…。
「じゃあ…えっとお願いします。」
澪さん、小さくてよたよたしてたのに今じゃしっかりして…成長してるなぁ。
「りきさん、目を瞑ったほうが綺麗に見えますよ。」と言われて俺は目瞑った。
これは北の方角…ダリアさん。
素早くキレのある動きで敵のAIを二刀流で斬り、体力を削り切ったけども…そのマスターが何やら札のようなものを使ってAIのを復活させた。
「やはり…相手は課金アイテムのAIリザレクトの札を使ってきましたか。これではAIを倒しても復活させられてしまいますね。」
ゾンビのような敵を倒すのって本当に大変そうだ。ダリアさんの体力が半分まで削られてしまって、咄嗟にタクトを北へ向けてスゥでダリアさんの体力を回復をした。
「この距離から回復を!?」と澪さんが驚いていた。
「うん。万能なんだ。」
ダリアさんは敵の後ろに回り込んで、わざと足元を狙って中央に追い込もうとしていた。
見ていて気になったのがAIアキさんの動き。ダリアさんが中央に向かってきているのに対してアキさんはそのまま北へ北へと進んでいってしまった。
「ねぇ、りき。」とルナさんに声をかけられて目をあける。
「はい?」
「もしも…なんだけど、ラートも千翠も予想してない事があって。」
「え?なんですか?」
「あ、それ私も思った!やっぱりその可能性あるんだ。」と咲が言う。
「ALLMILEのギルドリーダーは私と張り合ってる女の子なのよ。ギルドバトルに負けたらギルドハウスがぼろぼろになっちゃうでしょ?バトル王の心臓が露わになって申請連続されて、流石の私も対応できないと思うのよ。ねぇ?シンカ。」
「ん?確かに…言われてみれば…でも例え気絶状態で試合が開始されても体力が減れば勝手にゴ●ラになって暴れてくれるので問題ないかと。」
「それって100%負けないって言いきれる?」とルナさんがシンカさんに問うと、少し目を見開いて腕を組んで考えて「…まぁ、100%という数値はだせませんね。」と返す。
「でしょう?ALLMILEの姫って結構私が邪魔なのよね。私と言うか私たちというか…。」
「ルナ、何が言いたいんですか?」
「みんなは防衛戦で終わるって思ってるかもしれないけど、着地地点に…手引きされた仲間が潜んでて、ギルドバトルが終わった後はパーティとか組んでない状態だから…そこに勝負を挑んできたりしたら…負ける人もでちゃうんじゃないかしら。」
「…でも、ギルドハウスには今ルナ班もそれぞれ残りの幹部も待機していて万全なはず…そこを突破するなんて………。」
「できるわよね?うちと同じくらいの力がある大手ギルドなら…。」
「…ハハハハハ。」とシンカさんが突然笑い出して「面白い想像してくれちゃって、ほんとに。澪さん、皆さんに声を届ける事は可能ですか?」
「え?はい。どうぞ手を。」と澪さんはシンカさんに向かって手を差し出した。
おそらく、触れていれば自分の能力を他人にも使ってもらえる系のスキルなのかなと勝手に解釈する。
「待って。私がやるわ。」
「いえ、自分が。ルナが言うと説得力がありませんし。」
「何よソレ!!!」とルナさんの顔が膨れる。
「騒がしすぎ。丁度今詠唱終わったし、僕がやるよ。僕ならシンカより罰が緩いしね。」と詠唱が終わったシンが本をパタンと閉じて立ち上がった。
「ルナ、罰は解除できないわけ?」と咲が珍しく口を出す。
「…アレの解除には時間がかかるわ。」
「気にしないで。話もちゃんと聞いてたし。」とシンが澪さんの手を握ると歯を強く食いしばって顔を歪めた。
『みんな聞いて。ギルドバトルのあとに個人バトルを挑まれる可能性がある。可能なら近くの人とパーティを素早く組むなりして回避してほしい。』
伝え終えるとシンがフラっと倒れそうになっていて俺が支えた。
「シン、大丈夫か?」
「うん。一瞬だったから。」
ルナさんが立ち上がって、そっとシンを抱きしめにきた。
「ごめんなさい。」
「気にしないでルナ。いいから。」
その光景をみていたシンカさんの目が酷く冷たくて…殺意が混じってるような気がしてビクっとした。
っと、その時ルナさんとシンカさんの顔がハッとなってお互い顔を見て頷く。
「防衛戦が来たわ。移動するわ。シン、大丈夫?」
「大丈夫。体力とかに問題ないし…。」
「では、りきさん。あと、よろしくお願いします。」とシンカさんが言うと3人が目の前から消えた。
「って!!りきさん!!敵が追い込まれてきました!かまえてください!」
確かに目視できる北にAI含めて21人…西に3人東に1人、南に3人。
千翠さんが結界のようなものを張って21人を食い止めて、その裏からダリアさんが攻撃をして蹴散らそうとしてくれていた。
「ハナビ!!頼む!!」
ハナビがコクリと頷いて「マグマプール!」と唱えると辺りにマグマが流れ込む。
「私、行く。東が一人しかいなかったから、絶対取り逃しがいるはず。」
「その必要はない。」と聞きなれない声が聞こえた。
声の主はいつの間にか中央に戻ってきていたダリアさんのAIアキさんだった。
「え?」
「俺が二人殺った。」
「え・・・。」
【勝利】という大きな文字がホログラム画面で表示された。
「アキ!!」とダリアさんが叫んだと同時にアキさんが武器化してダリアさんの手におさまった。
謎の光に体が包まれ始めた。
どうやら元の場所へ戻されるようだった。




