【ダリア】
「も…もう死にそうだ。」
…僕は…この世界を甘く見ていた。
今までの町や国は…だいたい1時間もすれば外にでれて次の町へ行けたのに…
【にゃん!だー!ランド】は8時間かかった。
もうすっかり夜で晩餐の為に戻らないといけなかった。
「ゲート出したから、ほら。」と咲がギルドハウスの大広間へのゲートを開いてくれていて…そこによろよろと入った。
丁度そこに晩餐の為の料理を運ぶシンカさんがいて…
珍しくモノクルをかけていて…
「…うわっ。ぶふっ…(笑)なんですか?その疲労バフ。」シンカさんは此方を見て笑う。
「りき、ちゃんとした中規模の国を通過するのはじめてだったみたいで…。」
「あぁ(笑)明日はアトランティスの観光でもしたらどうです?うちは大規模な国ですから。」
「そんな事したら りき死んじゃうじゃん!」
死ぬ!?………本当に僕はこのゲームの事何もしらなかった。
小規模の国と町はだいたい30分から6時間ほどで入り口門から出口まで通過できるけど、中規模からは6時間から二日はかかるそうだ。大規模な国は二日から六日……ドルガバの所有地…はじめてジャンさんと会った、あの金ピカの国が六日かかるらしい…。
早く通過する方法は…色々あるけど…僕の場合フゥに風で運んでもらうしかないらしい。
あと…すっごくどうでも良い事だけど…このゲーム内は犬派より猫派のほうが多いって事も学んだ…。
「りきさんのテーブルには疲労回復効果のある食事置いときますね。」
「すみません、ありがとうございます…。」
シンカさんは料理をテーブルにおいて、またすぐに厨房へ戻っていった。
「ほら、とりあえず座ろ?」
「うん。」
こんなズタボロで…この後練習試合かぁ…。憂鬱で深いため息をついた。
しばらくして晩餐がはじまった。
シュガーさんとソウジュンさんとガウルさんが同時に席についた。
「ん?ぶはっ(笑)りきよぉ…どこの国行ってきたんだよ。似合ってんぜ!その耳。」
「猫耳…うわっ!!僕っ…外し忘れてましたっ!!」
めっちゃ恥ずかしい…猫の着ぐるみ外しわすれた!!僕は急いで装備覧から猫の着ぐるみを外した。
「はっはっは!!にゃんだーランドにでも行ってたんだろう!」とソウジュンさんが笑いながら言う。
めっちゃ笑われた…
晩餐が終わって…シンカさんの料理のおかげで疲れはとれたけど…精神的な疲れはとれず…とぼとぼ練習場へ向かった。
練習場にいたのは…よりにもよってこの人かと思ってしまう人物で…
美しい金色のボブヘアー…真紅の美しい生地で作られた王子様のような服…茶色い皮のズボン…膝あたりまである黒いブーツ…
そして…血がしたたる刀。
「……ダリアさん。」僕がそう呟くとダリアさんの目が一瞬右にそれて、それからまた僕をみつめてから練習試合の申し込みをしてきた。
無言の状態でカウントダウンがはじまる。
0になった瞬間、咲がステッキを解放しようとすると…もうダリアさんが切りかかっていて…詠唱できずに受け身をとる咲。
そのまま背後をとられて剣を刺されて…ダリアさんは剣を引き抜いて距離をとった…
「あっ…何よ…何よこれ!!!!」と咲が驚いていた。
「スゥ!」すぐに僕はスゥで回復を施す。
でもダリアさんは…正面から縦に斬りつけて、次は横…最後は背後をとって横に斬りつけた。
僕はスゥを咲につかせてずっと回復し続ける。
どうやら…ステッキを解放する隙がないらしい。
僕は深呼吸してから目を瞑って…小人達に魔力補給をする。
10分…20分……30分…そこで僕の魔力は尽きてしまって…目をあけた。
咲が瀕死で倒れていた…ウォールも…もう動けそうにないくらいズタボロだった…
魔力がなくて棒立ちの小人達…
……何が…おこって……
「残念だ。」
ダリアさんにバッサリ切られて…僕は負けた。
試合が終わって全回復はしたけど……咲も僕も…驚いてその場から動けなかった…
「弱い……。」そう呟いてダリアさんは去って行った。
「……何……どうして…負けたんだろ。」と咲が…いつも明かるげにニコニコしていた咲が真顔で呟いた。
部屋に戻ってVTRを見る。珍しく咲も一緒に見ていた。
ダリアさんは…見えない攻撃を避けていた。
ハナビの魔法もハクの攻撃も…避けていて…避け方が自動防御なんかじゃない…どうして…。
「………この人…風とか…音を聞いて避けてる…。」と咲が言う。
確かに…攻撃を避ける時…目を瞑ってる!?
「……こんな避け方…。」
「普通じゃない…この人…天才だ。」と咲がちょっと嬉しそうに言う。
「え…咲?」
「私も負けてらんない!!これ練習する!音と風で避けるの!」
「え…。」
「あー!でも!今日はりきが疲れてるからやらないよ?明日からできるまでやる!りき、手伝ってね!」
「あ…うん。」
それから…1週間ほど…咲の特訓をして、咲がそれをマスターしたら次は僕の練習になって…僕がちゃんと避けられるようになるまで一ヶ月たった。
晩餐の後の練習試合は運よくダリア班の人ばかりで…凄く良い練習ができて…僕と咲は一ヶ月と一週間みっちりプレイヤースキルを磨いた。
そして…晩餐前に厨房に入って…
「シンカさん!!」
「はい?」
「お願いします!!今日の晩餐後の練習試合の相手、ダリアさんにしてもらえませんか!?」
「はぁ…別に良いですけど…どうしたんですか?急に。」
「前に負けて…リベンジしたくて…。」
「……わかりました。じゃあ、ルナに伝えておきます。」
「お願いします!!」
そして…晩餐の後…練習場へいって待っていると、ダリアさんが現れた。
ダリアさんは到着するなり、練習試合を申し込んできて…カウントダウンがはじまる。
カウントダウンが0になって…咲も僕も…集中して…ダリアさんの攻撃を避ける。
咲はダリアさんの攻撃を避けながらステッキの解放に成功した。
素早さで無理矢理ダリアさんに攻撃をしかけるが…やはり避けられてしまう。
だけど…ダリアさん攻略の為に…僕は…ウォールを纏ってダリアさんに捨て身の突進をする。
咲がダリアさんの背後をとって、殴ろうとすると…ダリアさんが体をくねらせてそのまま避けてしまい…その攻撃が僕にあたって…僕はふっとんだ。
味方の攻撃は痛みも体力も減らないけど…吹き飛びはする。
ダリアさんが僕目掛けて走ってきて…ハクが僕の目の前で刀を構えて止まり…そのまま向かってくるダリアさんにズプリと刀がささった。
そうか…止まってたから…ダリアさんにはハクが見えないから……ハナビがダリアさんの真後ろに火柱を設置していた…。
ダリアさんは見えない何かを抜こうと後ろへ下がると…その火柱にあたって大ダメージを受ける。
驚いた顔をするダリアさんに…咲が真上からステッキを振り下ろそうすると…ダリアさんの刀が人型に戻ってダリアさんを庇って…体力を0にする。
「・・・っ!!!」
「ちいろっ!!!」
ダリアさんは僕らから距離をとる。
それからスマホを操作して新しい武器をとりだした…それは真っ黒い細い剣を2本…両手に持って…また僕らに襲いかかってきた。
ハクがまた刀を構える…ダリアさんの体にブスリと刺さったが…ハクごと…刺さったまま僕に向かってくる…。
やられる!!!と目を瞑った瞬間……ハクの刀の呪いダメージでダリアさんの体力が削れて…僕たちが勝利した。
「……斬り足りないじゃないか…。もっと斬らせろ。」
「えぇ!?そ、そんな無茶な!!」
「じゃあ私と一対一でもする?」
「よし。やろう。」
咲がパーティーから抜けて、ダリアさんと一対一の練習試合をしだした。
しばらくして練習場に千翠さんがやってきた。
「ん?…はぁ(ため息)コールしても反応がないと思えばこれですか。」
僕とちいろさんは三角座りをしてそれをぼーっと眺めていて…。
「ははっ…僕たち…いつ寝れるんだろう…。」
「夜更かしはお肌に悪いのに…ははっ。」
「………(汗)コホンッ。ダリア、仕事があります。」
「試合中だ。あとにしろ!」
「そうもいかない。あと30分でクエスト受付が終わってしまう。…ダリア。」
「……チッ。」
ダリアさんは持っていた剣を落として…「やれ。」と咲に言って、咲はダリアさんを殴って体力を削って勝負を終えた。
「あと何分だ。」
「28分です。急いでください。」
「あ!まってよ!ダリア!」とちいろさんが立ち上がってダリアさんのあとをつける。
仕事って…クエスト?
「はーあ。つまんないの。」
「楽しそう…だったね。」
「うん!やっぱり、あの人天才だよ!いいなぁ…私もあんな動きできたらなぁ…。」
「咲ならできそうだけど。」
「できるかな?…ふふふっ!できればいいなー!」




