再会 第三話
明行寺を守るために参上したのは兼平綱則の率いる兵五百。主だった構成として本拠兼平村の兵二百と所領田野沢より百。他は野良の者ら二百だ。その“野良”の中には不埒者だとか身寄りのない他国者がおり、あの男も当然の如く混ざっていた……。
その男らの一党は庫裏を偶然にも守ることを任されたので、土足でずげずげと建物の中に入った。そこにいる僧侶らは突如として野蛮な者らが押し入ってきたことに驚いたが、一応は味方であるし止めるわけにもいかない。
ただし誰もが顔を下にして、“私がしたことではない” と言っているかのよう。頼英様はすでにここより離れて仏殿にて兼平様と行動を共にされておられるし……。もちろん大浦軍にとって彼女が縄で縛られていてもなんら不都合なことはないが、なんとなく仏門に仕える身の上としてなにやら不適切な気がしてならぬ。事前に聞き及んでいた話では、彼は同じ真宗とも聞く。さらには石山本願寺に仕えていた者にこの様を見せるとなれば……恥でしかない。
そのような恐れを抱かせつつ、その男 “生玉角兵衛” は野蛮にも草履を脱がずして廊下を歩む。配下の者らもそれに倣って……いや仲間故、同じような考えの者らが集まっているので、自然と同じような行為を取っているのだ。そうして堂々と庫裏の中を闊歩していると……聞いたことのあるような声。あの “キツい” 声はしっかりと耳に焼き付いている。あのように侮辱されては……沽券に関わる。己の威厳をズタズタにされたことは、生涯忘れぬであろう。
顔をしかめさせて先を歩くと、向こう側に一人の尼僧。……柱に縄で縛られているのは、まさしく妙誓。あの尼小僧だ。どのような経緯でこうなったかはわからぬが、おおよそ予想はつく。どうせ煩く宣って、他の僧侶らにしてやられたのだろう。……となれば面白い。かつて俺を悪人扱いし追い払った奴が、今や正反対の立場にいる。しかも俺らがこの寺を守るのだから、この尼小僧も俺らに守られるべき立場の人間……。
笑えてくる。そうだ、お前たちも笑えるだろう。そうだそうだ。声に出して大いに笑え。そしてこいつに聞かせてやれ。耳の穴をふさぐのならば、手をはねのけてでも……そうか。そういえば手も縛られていたのだな。相当受けるぞこりゃ。
そして野郎どもの騒音を黙って聞く妙誓尼。悔しさのあまり、唇を噛む。




