表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
津軽藩起始 油川編 (1581-1585)  作者: かんから
第七章 浪岡無血開城 天正十三年(1585)三月一日
67/102

人の道 第一話


 闇夜となり……晴れてこそいるが、月は一切見えぬ。代わりに星々が大いに輝き、すべてのものを照らし出さんとしていた。鳥は鳴かぬし、獣も寝静まる。そんな中で山を駆ける僧侶ら。彼らの背中には太い木の棒の束。しかも上の方には油で湿っている布が巻きつけてある。これに火をつけると……光り輝く松明と化す。ただしまだそうする必要はないので、今は嫌なにおいを放つ “でくのぼう” でしかない。適切なタイミングがあるのだ。



 ……どうやら数人の大浦兵が向こう側より来るようだ。そのことに一瞬驚きはしたが……申し合わせの通り話せばいいのだ。姿こそいまだ見えないが鎧兜で藪を進むので、草木とこすれる音で十分わかる。そしてこの時間に歩いてくる人は己ら僧侶を除いて、大浦兵しか考えられぬ……。



 やっとで姿形が見えると、互いに目を確かめ合って敵でないことを確認し合う。そうしてからもう少しだけ近づき、伝えるべき言葉を口にした。


「私ども明行寺(みょうこうじ)より参りました。住職である妙誓(みょうせい)()を縄にかけ申した。あとは指示を待つのみでございます。」


 大浦兵はしきりに頷き、僧侶に対してこう応えた。



「わかった。これで……明行寺で意を異にする者はおらぬということだな。結構なこと。」


 次に目が行くのは、当然背中の太い木の束。大浦兵は眉間に皺を寄せたが……答えを聞くなり納得したようで、次の句へ移る。



「先導も承る話、まことにあっぱれな話かと存ずる。しかも兵らのために松明まで用意したとは……しかしその必要はない。灯を付けると油川にバレるでの。気持ちだけ受け取っておく。」




 大浦兵はそういうと、元来た方へ引き返していく。僧侶らは彼らの後姿を見て、音も聞こえなくなったところで……やっと胸をなでおろした。故を問い詰められずに済んだことへの安堵。この松明がすべてを成しえる上でのカギとなるのだから……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ