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津軽藩起始 油川編 (1581-1585)  作者: かんから
第六章 堤弾正、暗殺 天正十二年(1584)秋
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始まりの合図 第一話   +新城絵図

 天正十二年(1584)、外ヶ浜(そとがはま)横内(よこうち)より大豆坂(まめさか)街道を経て浪岡へ向かう道中……稲の刈り入れは終わり、道のわきにある河原を望めばススキの枯れた色、そして風を受けて騒ぐ音が否応なく激しく聞こえる。


 横内城主、(つつみ)弾正(だんじょう)則景(のりかげ)。浪岡に詰める家来の白取(しらとり)伊右衛門(いえもん)の求めを受けて “実りの祭り” を行うべく、浪岡へと向かっていた……馬の足取りはゆったりとしていて、数人の家来も特に警戒する様子はない……。取り留めて思うことといえば、鳥が葉の落ちた枝に止まる姿が少し寂しく感じられるくらいで、武骨な者でも風情を感じることができる余裕があった。


 誰もが、このようなことが起きるなどと知らず。






 突如として茂みより、途轍もない爆音が響いた。枝に休んでいた鳥は一斉に飛び立ち、カラスはその汚い声で大いに鳴き散らす。人の(またが)る馬は前足を高々と上げ……乗るべき人はそのまま横へ転げ落ちた。付き従っていた家来らは慌てて駆けよるが、弾正は一切動かぬ。脇腹を抜かれ、息もない。刀を抜き辺りを警戒し……体を何もできぬうちに赤い色はとめどなく流れていく。そしていつしか一度赤く染められた辺りの土やら石は次第にどす黒く変わる。


 きっと茂みの向こうには敵がいるのだろうが……今は殿の身体を捨てて追うことはできぬ。悔しい限り……特に誰も鎧兜を身に着けていた訳ではないので、むやみに向かっていくと銃弾を受けて、まともに死ぬ。そして大将の跨っていた馬は……哀しげに遠くを見て一声鳴いた。家来らは茂みの奥を睨みつつ、弾正の身体を背負い、来た方へ引き返していく……。



 ……この凶報は浪岡、油川、そして大浦へ津々浦々とすぐさま伝えられた。犯人はいったい誰だ。さては大浦為信か……いや、そうでもないらしい。元々弾正を呼んだのは浪岡代官の白取伊右衛門。その日に弾正が城を発つことを知っていたのは白取を含め、その周りの限られた人しかいないはずだ。




新城絵図

https://18782.mitemin.net/i410962/

挿絵(By みてみん)


2018/02/15  挿絵に関して


出典元:特集 津軽古城址

http://www.town.ajigasawa.lg.jp/mitsunobu/castle.html

鰺ヶ沢町教育委員会 教育課 中田様のご厚意こうい(あずか)りまして掲載が許されております。小説家になろうの運営様にも、本文以外でのURL明記の許可を得ております。


光信公の館

〒038-2725

青森県西津軽郡鰺ヶ沢町大字種里町字大柳90

http://www.town.ajigasawa.lg.jp/mitsunobu/

TEL 0173-79-2535


鰺ヶ沢町教育委員会 教育課

〒038-2792

青森県西津軽郡鰺ヶ沢町大字本町209-2

TEL 0173-72-2111(内線431・433)

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