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異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜  作者: 盆ちゃん


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89/100

第89話:時空を超えた凱旋と、大日本・多元宇宙商会の『究極の大宴会(ボーナス)』

第89話:時空を超えた凱旋と、大日本・多元宇宙商会の『究極の大宴会ボーナス

 地球・西暦1582年6月2日、京都。

 かつて織田信長と森蘭丸がその身を焼かれ、無念の死を遂げるはずだった『本能寺』は、歴史の絶対修正力システムが完全に買収・粉砕されたことで、ただの静寂な夜の寺院へと戻っていた。

「……終わりましたね、御館様」

 蘭丸は、白銀の神気を纏った『天叢雲』を静かに鞘に納め、主君の背中を見つめた。

 燃え落ちるはずだった御殿は無傷のまま夜風に吹かれ、遠くからは京の都の静かな虫の音が聞こえてくる。歴史の強制力が消え去ったこの世界は、これから全く新しい、誰にも予測できない「白紙の歴史」を歩んでいくことになるのだろう。

「ああ。これで俺たちの『過去の決算トラウマ』は完全に帳消しだ」

 信長は、愛用の『魔力火縄銃』を肩に担ぎ、夜空にポッカリと開いたままの【真・戦国宇宙へと繋がる時空のゲート】を見上げた。

「この世界の連中がこれからどう歴史(商売)を転がすかは、俺の知ったことじゃねェ。……俺たちの会社シノギは、あのゲートの向こう側だ。帰るぞ、蘭丸」

「はっ!!」

 信長は、振り返ることなくマントを翻し、蘭丸と共に時空のゲートへと足を踏み入れた。

 全次元の覇王たる二人の姿が光の中に消えると同時に、時空の穴はパチンと音を立てて完全に消滅し、本能寺の夜に永遠の平穏が訪れた。

時空を超えた凱旋

 パァァァァァァァァンッ!!!!!

 信長と蘭丸が時空のゲートを抜け、【真・戦国宇宙カオス・ユニバース】へと帰還した瞬間。

「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!!」」」

 鼓膜を破るほどの、いや、大宇宙そのものを揺るがすほどの規格外の歓声が二人を包み込んだ。

 ゲートの先、真・戦国宇宙の星海には、無量大数を超える大日本・多元宇宙商会の超次元艦隊がズラリと整列し、黄金と漆黒の祝砲を無数に打ち上げていた。

「ガハハハハ! お帰りなせェ、御館様ァ! 過去の借金取り(システム)を完全にブッ飛ばしてきやがったなァ!」

 オークの猛将・権六ゴルグが、満面の笑みで巨大な酒樽を掲げている。

「へっへへへ! さすがはウチの代表取締役トップでさァ! 時空の向こうで御館様が放った『完全買収』のおかげで、我が社の株価(存在価値)が計測不能なレベルまで爆上がりしやしたぜ!」

 大蔵省長官の猿ことトックス(猿獣人)が、天文学的な数字を叩き出すソロバンを抱きしめて感涙に咽び泣く。

「御館様、そして蘭丸。ご無事で何よりです。……これで名実ともに、大宇宙の全次元に我々を縛るルールは存在しなくなりましたわね」

 金柑ことルーギス(ハイエルフ)が、恭しく頭を下げて出迎える。

 又左マティアスキール市松フリント五郎左ダン官兵衛クロード、そして四方の魔帝たち。

 信長が異世界で拾い上げ、鍛え上げ、共に数々の修羅場カチコミを潜り抜けてきた最強の役員(家臣)たちが、誇らしげな顔で主君の凱旋を称えていた。

「……フン。てめェら、社長がちょっと席を外したくらいで騒がしい連中だ」

 信長は、極悪な、それでいてどこか嬉しそうな笑みを浮かべ、星海の中央に鎮座する『究極の玉座(大宇宙のコア)』へとドカッと腰を下ろした。

「だが、よく俺の留守を守り抜いた。過去も、未来も、平行宇宙も、神々も、バケモノも……これで大宇宙のすべてが【大日本・多元宇宙商会】の完全子会社だ!」

 信長は、愛用の火縄銃を天高く掲げた。

「さあ、全社員(家臣)ども! 死ぬ気で働いた後は、死ぬ気で遊ぶのがウチの社風だ! これより、全次元を巻き込んだ【究極の大宴会(社内表彰式)】を開幕するぞ!!」

究極の大宴会ボーナス

 信長の号令と共に、狂暴だった真・戦国宇宙が、瞬く間に「規格外のパーティー会場」へと強制リフォームされていく。

「さあさあ! 飲み足りねェ奴は前に出な! アザトスのボイラーで醸造した『超次元・神殺しの大吟醸』だァ!」

 五郎左が、次元融合炉から直接パイプを繋ぎ、星雲サイズの巨大な盃に黄金の酒を注ぎ込んでいる。一口飲めば魔力が万倍に跳ね上がり、神格すら獲得できるというトンデモない代物だ。

「ガハハハハ! 効くぜェ! 五臓六腑どころかデータの底まで染み渡りやがる!」

 権六が、巨大な盃ごと酒を飲み干し、上機嫌で炎を吹き出している。

「食事の心配も無用ですわよ! 先日買収した『バイオ食品生産部門(旧・進化の暴食女王カルマ)』が、宇宙最高の栄養と美味を無限に生産し続けていますからね!」

 ベルゼビュートと金柑が、黄金のコンベアから次々と流れてくる「星サイズの超高級霜降り肉」や「次元海鮮盛り合わせ」をキメラ社員たちに振る舞っている。

「へっへへへ! 宴会の余興はあっしにお任せを! 『絶対リスク管理部門(旧・ラプラス)』のルーレットを使った、勝率100%の超絶カジノ大会の始まりでさァ! 賞品はなんと……『お好きな銀河系のオーナー権』ですぜ!」

 猿が、純金のマイクを握りしめて会場(宇宙)を熱狂の渦に巻き込んでいる。

 神々が創った宇宙の法則も、無限に進化するバケモノたちも、すべてが大日本商会の「慰安旅行の設備」として完璧に機能していた。

 キメラ軍団、機鋼重工部隊、腐海医療部隊、そして武功派の将たち。何億、何兆という社員たちが、己の野心と暴力で勝ち取った「究極の報酬ボーナス」を腹の底から楽しんでいた。

次なる野心ブルー・オーシャン

 宴もたけなわ。

 宇宙の果てまで響き渡る喧騒の中、究極の玉座に座る信長は、アザトス大吟醸の注がれたグラスを揺らしながら、果てしなく広がる黄金の星海を静かに見渡していた。

「……御館様。お酒が足りておりませんか?」

 傍らに控えていた蘭丸が、スッと酒瓶を持って近づく。

「いや、味は極上だ。……ただ、少し『静か』になったなと思ってよ」

 信長は、グラスの酒を飲み干し、口角を吊り上げた。

「静か、ですか? これほど盛大な宴ですが……」

「そうじゃねェ。この大宇宙の『市場マーケット』の話だ」

 信長の言葉に、近くで騒いでいた佐吉、猿、権六、金柑たちが、ピタリと手を止めて玉座の前に集まってきた。

「市場を完全に独占モノポリーした。神も、歴史の強制力も消え去った。大日本商会は、絶対に潰れない永遠の繁栄を手に入れたわけだ」

 信長は、葉巻に火をつけ、紫煙を細く吐き出した。

「だがな。競争相手ライバルがいねェ市場ってのは、これ以上パイがデカくならねェ。……つまり、完全に【停滞(凪)】しちまってるってことだ」

「……御館様。まさか、この全次元を支配してなお、まだ『退屈』だと仰るのですか?」

 佐吉が、信じられないというように眼鏡を押さえる。

「当たり前だ。俺は『現状維持』って言葉がこの世で一番嫌いなんだよ」

 信長は、玉座から立ち上がり、マントを大きく翻した。その眼には、歴史の修正力を叩き潰した時以上の、狂気に満ちた野心の炎が燃え盛っている。

「てめェら、酔いを覚ませ! 次の『事業計画』の発表だ!」

「「「おおおおおおおっ!!!」」」

 休むことを知らないブラック企業の役員たちが、宴会の熱気そのままに歓声を上げる。

「この大宇宙ハコの資産はすべて俺たちのモノになった。なら、次に俺たちが進出すべき市場シノギはどこだ?」

 信長は、愛用の火縄銃で、星海の彼方――全次元の壁のさらに外側、【絶対的な虚無(何もない場所)】を指し示した。

「神々すらも足を踏み入れたことのない、キャンバスの外側。……概念も、時間も、空間すらも存在しない【究極の白紙地帯ブルー・オーシャン】だ!」

 それは、既存の宇宙を支配するだけでは飽き足らず、「無から全く新しい大宇宙(市場)をゼロから創り出し、そこすらも商圏にする」という、創造主のさらに上の次元を行く常軌を逸した野心であった。

「さあ、準備しろ! この宴会が終わったら、大日本商会の総力を結集して、次元の壁の外側へ【新規開拓カチコミ】に行くぞ!!」

 全次元を完全独占した第六天魔王は、安寧の玉座に座り続けることを拒絶し、未知なる究極の虚無ブルー・オーシャンへとその矛先を向けた。

 全100話の完結へ向けて、大日本・多元宇宙商会の終わらない野心と、大宇宙の枠すらも飛び越えた「真の神話の創造」が、いよいよ最終章のクライマックスを駆け抜けていくのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!

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