第45話 ごめん、俺のせいだ…
「それでスタイン、東堂さんはどこまで知っているんだ?」
列車のボックス席で足を組んだバリウスが、あい向かいに座ったスタインを見る。
島中の店を周り全ての料理を得ることができた4人は、帰りの列車に無事乗り、本島の都内へと向かっている。
「花蓮様の記憶が失くなったのは分かったが、東堂さんはどうなんだ?前の主人だったときに、君が禁忌魔法を使い勝手に願いを消費し、花蓮様を助けたことを知っているんじゃないか。そうでなければ、花蓮様に接触してこようとしないだろう」
バリウスの言葉に、花蓮、涼太は無言でスタインを見つめる。2人とも、バリウスの話に納得してしまったからだ。
「ああ、おそらく知っているだろうな」
スタインは低い声でゆっくりとそう話すと、窓の外に視線をやる。
「俺が勝手に使った魔法の内容を知っているのは、おそらく前主人と親父だろうな。まあ親父に関しては俺が脱走したことにも怒ってあるだろうが…外の景色を見る限り、親父はひとまず怒りはおさまったようだが」
穏やかな快晴の空と海を眺めながら、スタインは鼻から息を出し冷めた笑いをする。
涼太はじっとスタインを見ながら、淡々と話をまとめようとする。
「つまりだ、東堂さんは全てを把握していて、それに加え花蓮の所へ来たスタインの存在を知り、またまるで主人かのように接触してきたってことか」
「いえ、それはおかしいですね」
バリウスが顎に長い指を当て、じっと考え込む。
「我々が召喚されたという事は、主人以外の人間が知る術はありません。つまりは、スタインの前主人がどのようにして、スタインがこちらの世界に来ていると知ったか…考えられる方法は……」
バリウスは少し顔を上げ、花蓮を見つめる。
スタインと涼太も、心配そうに花蓮を見つめ、3人に視線を向けられた花蓮は、ドキドキして挙動不審になる。
「えっ、えっ、なに、皆んな…どうしたの…?」
3人は目を合わせると、スタインが座り直して手を伸ばし、膝の上にある花蓮の手に自分の手を重ねる。
「怖がらないで聞いて欲しい。恐らくだが、前主人はずっと…俺との契約が終了した後から今まで、花蓮を見張っていたんだと思う。でも、これは俺のせいだ。俺が禁忌魔法なんて使って、勝手な真似をしたからだ。…前主人から花蓮を助けたつもりが、それが逆に前主人の花蓮への執着を強めたかもしれない。本当に…悪かった」
「えっ……」
咄嗟に両手で口を抑え絶句した花蓮だったが、ゆっくりと手を下げ、スタインの手を握る。
「大丈夫だよ、心配しないで」
「花蓮…本当にすまない……」
そう言い瞳が少し潤んだスタインは、花蓮から視線を逸らし下に俯いた。




