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第四十四話 恥じらいについて

「ただいまー」


 孤児院に帰宅したわたしが挨拶すると、奥の方から子供たちが駆け寄ってくる。

 両手を広げ、子供たちを受け止めれば、その様子を見ていたサクラは羨ましそうな顔をしていた。


「あらあら。お連れの方はどちら様ですか」


 子供たちに遅れてやって来たマリアは、サクラを見てそう尋ねられたので、ダングルフと同じ内容を伝える。


「わたしの冒険者仲間であり、大和連邦国の宰相を務めているサクラです」

「サクラと申します。よろしくお願いしますのっ」


 サクラは軽くお辞儀をすれば、マリアはおたおたする。


「さ…宰相様がなぜ、このような場所に…?」

「大和王国の君主にして、あたしのご主人様についてきましたのっ」

「えっ!? 大和王国の君主? ご主人様!?」


 子供たちは動じてないが、マリアは目を白黒させながらわたしの方を見るが。


「ご主人様は何も伝えてなかったですのっ?」

「ええ。この大陸にない国ですし、伝える必要もありませんから」

「ご主人様らしいいうか、なんというかですのっ」


 なぜかサクラは溜息を吐く。


「肩書きを伝える必要なんて、ないじゃないですか!」

「それはそうでしたのっ」


 わたしがサクラをむぅと睨んでも気にせずに、マリアへ声を掛ける。


「それから、貴女にお願いがありますのっ」

「な…なんでしょうか」

「あたしもここに滞在させて欲しいのっ」

「えっ…。部屋はありますのでよろしいですが、良いのですか?」


 サキの肩書を知ったマリアは、おそるおそるわたしへ確認してくる。


「大陸を渡る手段もありませんので、泊めさせて頂けると助かります」

「わ…わかりました。サキ様の部屋の隣をご用意いたしますわ」

「あたしはご主人様と同じ部屋で良いですのっ」

「別々の部屋でお願いします。それから様を付けずに今までどおりに接して欲しいです」


 サクラはがっくりと肩を落とすけれど、今のサクラと同じ部屋で寝たら何をされるか分からない。また、行き成り様付けで呼ばれるのは慣れないし、何か寂しいのだ。


「わかりました。では、部屋へ案内しますわ」


 マリアに案内されながら部屋に向かっている途中、カミアがわたしに「サキお姉ちゃん。早く着替えてお風呂に行くの」と言えば、肩を落としたままだったサクラの目がキラキラと輝きだした。


「あたしが背中を流させていただきますのっ」

「…。子供たちと流し合いするので間に合っています」

「サクラお姉ちゃんも、流し合いっ子するの!」


 ……カミア!?


 カミアの一言で、一緒に入浴することが決まってしまった。むぅ。


 部屋に案内されたサクラは魔法を使い、一瞬で掃除をすましてから、ストレージから家具と共に、小動物のぬいぐるみを飾っていく。そう、サクラの見た目は仕事ができるクールな女性だけど可愛いものが好きなのだ。


「なにこれー可愛いの」

「うんうん。さわり心地もいいよ」

「抱きしめれば。フワフワで気持ちいいよ」

「見る目がありますのっ。あなたたちの分も作って上げますのっ」

「「「わーい。ありがとうー」」」


 ぬいぐるみを見た、カミア、マリ、リアが触りながら絶賛すれば、気を良くしたサクラは女の子たちにぬいぐるみを作る約束をしていた。


 部屋の準備も終えて、入浴しに向かっているとサクラは、一緒についてくるゲルトとレオンを見てから、わたしに質問してきた。


「ご主人様、男性もついて来てきますが、浴場は分かれていますのっ?」

「分かれていませんよ。薪代の節約に子供たちは一緒に入浴しているのですよ」

「それはいけませんのっ」


 サクラはそう言ってから、子供たちに恥じらいについて説明する。

 家族同然で育ってきた子供たちは、行き成り恥じらいを説明されても理解できずに首を傾げている。それでも、サクラはそう言うものと強引に納得させていた。


 そして、入浴の順番は女の子たちがレディーファーストとして先に入ることに決まった。

 男のたちと一緒に入浴をすることが恥ずかしいわたしは、その様子を無言のまま眺めていたのである。


 すぐお風呂に入れなくなった、ゲルトとレオンは頬を膨らませ。少しだけ不貞腐れているように見えた。


 脱衣所につくと、先ほど恥じらいについて教えていたサクラの鼻息が荒くなる。

 わたしは何とも言えない身の危険を感じるのであった。

読んでいただきありがとうございます。

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